環境化学物質から子供たちの脳を守るために① | 薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

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薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

2018.10.09

環境化学物質から子供たちの脳を守るために①


科学的栄養学 No.1
環境化学物質から子供たちの脳を守るために①


近年、注意欠陥多動障害、学習障害、アスペルガー症候群など、いわゆる軽度発達障害を持った子供たちの増加が教育現場で問題になっております。さらには、いじめや差別、またそれが原因とされる子供たちの自殺など痛ましい事件が後を絶ちません。

加えて私が今一番心を痛めている問題があります。それは幼児や児童に対する虐待が増加し続けているということです。
また虐待死という悲惨な事件が新聞・TVで繰り返し報道されています。

警視庁のまとめによれば、警察から児童相談所に通告した人数は推定で、2004年の962人から、2017年には65431人と13年間でなんと68倍に急増しています。

高等哺乳動物は本来、子供をかわいがるという遺伝子にスイッチが入って生まれてきますが、この遺伝子がオフのまま出生すると、やがて育児障害、いわゆる虐待に走ると可能性が高くなります。

こうした事件が起こる背景には様々な事情があるにせよ、脳科学的にみますと、明らかに脳神経細胞の発生(胎児)や成長段階(乳児・幼児)における脳の軽度障害にあるとみています。

特に胎児期の脳内遺伝子発現(神経ネットワークの設計図)時に母体を通して環境化学物質に暴露され、遺伝子に微小な欠陥(設計図に微小な欠損)が生じると、出生後の人生に多大なる影響を与えることになります。

昨今の子供たちの異常行動や、いじめ差別、そして大人による児童虐待の要因は同じ共通した延長線上にあると考えております。

こうした「不幸な事例や痛ましい事件を世の中から少しでもなくしていきたい」、「子供たちの脳を身の回りの環境化学物質から守ってあげたい」、これが現在の私を突き動かしているミッションです。

長年の脳科学研究を通して私が生涯をかけて伝えていきたいとの想いから、2005年に世に出した本が「経皮毒」シリーズで、当時はその真意が理解されず、いたずらに騒がれましたが、今は静かに経皮毒の本当の意味と意義を伝えていく講座を通して情報が正しく広がり始めていることを実感しています。

こうした背景から私の最初のブログ記事は「子供たちの脳を環境化学物質から守る」という脳環境科学の視点からスタートさせて頂きます。

さて、
合成化学物質を中心にした環境化学物質が人体に及ぼす影響は、単に怖いということで済まされる問題ではありません。
 
この影響の重大さを、まだサイエンスとして正確に把握できていないからといって低く見積もろうとする風潮があるのは極めて危険に感じます。
 
厄介な問題に直面した時に、無視するか目をつぶりたくなるのが人情ですが、それが環境問題や生態への安全性に対する問題を長引かせている原因と云えます。
 
今から55年前にレイチェル・カーソンは合成殺虫剤の危険性を予測したのがきっかけで、殺虫剤の使用をめぐって一大変革がおこり、彼女が「沈黙の春」で予測した悲惨なストーリーは回避することができた歴史的事実があります。
 
そして、いままた新たな危機が発生しています。
 
それは、日用品に含まれる内分泌かく乱物質(ホルモン様合成化学物質)の問題なのです。

日用品に含まれる内分泌かく乱物質の経皮吸収の知識(経皮毒)は徐々に広がりつつありますが、この問題解決の糸口はそう簡単ではありません。

ホルモン様合成化学物質に関心がもたれてきた理由は、それが環境中に多量に残留していることにあります。

この手の合成化学物質は自然界で人畜無害な物質に分解されることはないのです。
 
その証拠に、残留性の高い札付きの化学物質が先進国で一斉に生産中止になってから、約50数年経過しましたが、いまだにその名残りは、食物や人や動物の体内にいまだに蓄積されています。
 
この中には、この先、何十年、或いは何世紀にもわたって環境中に残留する物質もあるでしょう。
 
一方で、あらたな別種のホルモン様化学物質もいまだに生産されてきています。
 
これらの、思いもよらない新たな汚染源が明らかになってきています。
 
何よりも厄介なことは、われわれが次の世代にまで危険を及ぼしかねないほど、すでにひどく汚染されてしまっているという事実なのです。
 
特に、胎児や乳幼児の脳に及ぼす影響は、その後の人生に深刻な問題を与えかねないからです。
 
脳科学的栄養学の視点から、発信し続けていくことが理解者の輪を広げていく唯一の道と信じています(つづく)。

 

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