2020.01.11
頭を使わないと認知症になるって本当ですか?
脳科学的栄養学No.86
◇頭を使わないと認知症になるって本当ですか?
昔から、“知的活動をしないと認知症になる“といわれてきました。
今回ご紹介する論文は、実は「知的活動しても加齢による認知機能低下を予防できない」
とする内容です( ;∀;)
これは英国・アバディーン市の1936年生まれの子供たちをなんと11歳の時点から継続的に知能テストし続けたという超長期縦断研究からの報告です。
最新の調査は2013年であるから77歳に到達している。その結果、結論から言うとわかったことは大きく2つです。
第1は、時の流れには逆らえないということ。
加齢により、どんな活動をしようが、教育歴を調整しようが(認知予備能の文脈)、認知機能は低下していく。
第2は、かすかに低下を緩やかにしたものは問題解決型の活動であって知的活動ではないとのこと。
論文では知的活動は幼少期の能力と教育にそれぞれ関連があるとしている。
すなわち、知的活動は、後年の認知能力向上にわずかに関連が認められています。
24ポイントスケールで、1ポイント上昇につき標準認知能力スコアは情報処理速度と記憶力でわずかな上昇が認められている。
とくに問題解決型の活動が、認知能力の向上に最も関連があったとのこと。
一方、知的活動は、加齢による認知機能低下との関連は認められなかった。
また、知的活動は、幼少期の能力・教育とそれぞれわずかな関連が認められたというもの。
ただ、結論から言うと前述の2つのことに集約されます。
さて、この論文を読んでいると、なんとなく無常観が漂ってきますね。
ふと、鴨長明の「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
(中略)世の中にある人とすみかと、又かくの如し」を思い出しました。
年をとれば認知機能も徐々にその人なりに低下し、死が訪れる。
人生は有限だからこそ、与えられた時間の中で精いっぱい善く生きようとするこれが脳神経細胞の本能です。
今の医療は死や認知機能低下を撲滅することはできないが時にちょっとだけ遅らせたりすることには貢献していくと思われます。
そこでもっと重要なことは、私が「脳科学的栄養学」で伝えている私たち自身が脳の神経細胞の持つ3つの本能(よりよく生きる、好奇心、仲間を求める)を満たす賢い生き方に徹していくということに尽きるのだと感じました。
原著論文はこちら
Staff RT, et al. BMJ. 2018;363:k4925.
講演会ご案内
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