女性の脳卒中リスクを高める要因とは? | 薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

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薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

2019.03.07

女性の脳卒中リスクを高める要因とは?


科学的栄養学No.40

女性の脳卒中リスクを高める要因とは?



脳卒中のリスクは一般に男性が女性に比べて高く、女性には妊娠や経口避妊薬の使用、ホルモン補充療法といった特有の危険因子が存在します。

しかし、近年、女性の社会進出に伴ってライフスタイルの差異も小さくなってきています。

そんな状況の中で今回、女性は男性と比べて脳卒中を発症するリスクが高いとする研究論文がありましたので紹介します。

さて、女性の中でも特にそのリスクが高い人にはどのような特徴があるのだろうか。

米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のKathryn Rexrodeらは、これまでの研究論文のレビューに基づき女性の脳卒中リスクを高める因子を特定し報告しています。

報告によると、米国では脳卒中の年間発症者数は女性が男性を5万5,000人上回る。

しかし、女性は男性と比べて脳卒中リスクが高く、死亡率も大幅に高いことはあまり知られていないという。

確かに、日本では他の心血管病と同じく、脳梗塞は男性に多く、女性に少ないです。

しかし女性の脳梗塞患者は男性に比べ、高齢発症で、発症時の重症度が高く、予後不良となりやすいことが知られていました。


論文では、なぜ女性は男性と比べて脳卒中リスクが高いのか、どのような要因が女性の脳卒中リスクを上昇させているのかを調べるため、女性に特徴的なさまざま因子と脳卒中リスクとの関連について検討した複数の研究データを収集し、分析。


その結果、女性の脳卒中リスクに強く関連する複数の因子が浮かび上がったという。


 そのリスク因子とは、

・「初経が早い(10歳未満)」
・「閉経が早い(45歳未満)」
・「デヒドロエピアンドロステロン(DHEAS、男性ホルモンの一種)の分泌量が少ない」
・「避妊用ピルの使用」
・「更年期障害に対するホルモン補充療法(経口エストロゲン製剤)」
・「妊娠中/周産期」
・「妊娠糖尿病」
・「妊娠中の高血圧/妊娠高血圧腎症」


などだったという。

 論文では、これらのリスク因子がある女性は珍しくないが、このうち1つあるいは2つ以上の因子があったとしても、実際に脳卒中を発症する女性は極めて少ないとのこと。

ただし、医療従事者に対しては「こうしたリスク因子がある女性は注意深く経過を観察すべき」とした上で、「本人にもリスクが高いことを認識してもらい、高血圧リスクを低下させ脳卒中を予防するために健康的な生活習慣を身につけるよう促すことが望ましい」と助言している。


原著論文はこちら
Demel SL, et al. Stroke. 2018 Feb 8. [Epub ahead of print]
 

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