いじめの問題について弁護士が関われること | 青葉台法律事務所 弁護士 佐々木博征

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青葉台法律事務所 弁護士 佐々木博征

2019.03.14

いじめの問題について弁護士が関われること

こんにちは、横浜市青葉区で法律事務所を開設している弁護士佐々木博征です。

今日は、いじめ問題について、弁護士が手助けできること、関われること、また、現在お子様がいじめに遭っている親御さんに弁護士の視点でお伝えしたいことについて、お話したいと思います。

 昨年11月、宮城県で小学2年生の女の子と、その母親が、子供が受けているいじめに悩み、無理心中により亡くなるという大変痛ましい事件がありました。

 報道によると、母親は、いじめについて学校側に対応を求め、何回も学校に通ったが学校側は対応しようとせず、むしろ周囲から「モンスターペアレント」のような見方をする人もいて、孤独感を強めていったとの見方もありました。


 また、この記事を書いている平成31年3月13日にも、愛知県豊田市で小学校6年生の女の子2名がマンションから飛び降り、いじめを苦にした自殺ではないかとの報道がありました。悲しいことに、いじめによる自殺の報道は後を絶ちません。


 なお、あまり周囲には話しておりませんが、実は私も小学校5年生の時に、半年以上不登校の時期があり、その時期に登校した際、いじめを受けたことがありました。

 自分でいうのもおかしいですが、小学校4年生の時、私はクラスの中心グループに所属し、勉強も運動も苦ではなく、楽しい学校生活を過ごしていました。

 私の家族は、祖父、祖母、4人の兄弟を含む8人家族で、母は専業主婦で稼ぎ手は父しかおらず、決して裕福な家庭ではありませんでした。

 私が5年生に進級し、クラス替えになった4月のことですが、父が子供の床屋代を節約しようと散髪セットを買ってきて、素人の父が子供達の髪を散髪し、案の定、私の髪型は、いわゆる「大五郎カット」のように、前髪だけちょこんと長く、その他は丸坊主のような、奇妙な髪型になってしまいました(笑)。

 今でこそ笑い話にできますが、当時は私も思春期で、しかもクラス替えになって友達も少なくなったタイミングだったので、私はふさぎ込み、仮病をつかって学校を休むようになりました。髪の毛が伸びるのはある程度時間がかかるので、長期間学校を休んでしまい、そのうちに学校に行けなくなってしまいました。

 数か月学校を休んで、やっと登校した私は、一部の男子クラスメートからいじめを受け、余計に学校に行けなくなりました。その後、そのクラスメートのグループに入れてもらい、友達のような関係にはなるのですが、その時期の出来事はトラウマとなり、今でも、小学校5、6年生の記憶がほとんどないほどです。当時は両親、特に母親には多大な心配をかけてしまいました。


 長々と自分の幼少期の話をしてしまいましたが、私自身のいじめの経験から思うことは、子供と大人では、見えている世界の大きさが異なり、子供にとって学校は、家庭を除けば、ほとんど世界の全てであり、学校に居場所がなくなることは、それはすなわち「絶望」ということです。もはや人生の落伍者で復活できないような真っ暗な気持ちになります。

 また、そのような子供を抱える母親も、どうしてよいか、誰に相談してよいかもわかりません。


 私は弁護士になってから、いじめに関するご相談を受けることもあります。

 ここからは弁護士的な話になりますが、子供同士のいじめの内容として暴力がある場合、精神的ないじめの場合など、いろいろな態様がありますが、いずれにしても、いじめは「不法行為」という違法な行為であり、子供の年齢により、子供自身が損害賠償義務を負う場合と、子供自身は幼少で責任無能力として損害賠償義務は負わないが、親が保護監督義務違反として損害賠償義務を負う場合があります(加害者が小学生の場合は、後者となることが多く、中学生の場合は、前者と後者のケースがあります。高校生の場合は前者となるケースが多いでしょう)。


 もちろん民事上の損害賠償義務だけではなく、加害者の年齢や、加害行為の内容によっては、傷害罪、暴行罪、脅迫罪、強要罪等の刑事犯罪が成立するケースもあります。


 そして、学校側にもいじめの防止について責任がある場合は、公立学校であれば、国家賠償法1条に基づく責任を、私立学校であれば、民法上の不法行為責任に基づく損害賠償義務を負うケースもあり、その意味で学校側にもいじめを防止する義務があると言えます。


 この点、私が思う、いじめを受けた際に被害者のお子さんや親御さんにとって重要なことは、相談する相手をなるべく多く、またいろいろな種類の相談相手を持ち、いじめの被害で真っ暗な気持ちとなって何も考えられなくなってしまったり、視野を狭めたりしない、ということが非常に重要なのではないかと思います。


 いじめに遭った時、一般的に考えられる相談相手としては、親族・家族、教師(特に他クラスの先生等)、習い事の先生、精神科のお医者さん、カウンセラー等が考えられると思いますが、私としては、深刻ないじめの被害については、弁護士も相談相手の一つに挙げて頂きたいと思います。

 弁護士ゆえに、加害者側や学校側に対して、対抗措置、法的措置、改善要求等、他の職業にはない視点でアドバイスできる部分があります。

 もちろん、学校や近所など狭い社会内での問題なので、弁護士を入れての交渉や裁判までは考えていない方がほとんどだと思います。

 しかし、いろいろなジャンルの人に相談して視野を広げるという意味で、弁護士に相談して、法的措置、手段があるということを知ることは、当該お子さん及び親御さんにとっては、気持ちの面でも大きな助けになり得るのではないかと思います。

 いじめの被害に遭われているお子さんとその親御さんは、弁護士に相談するということも選択肢の一つとして認識して頂き、それによって少しでも、子供達がいじめで自ら命を失うという痛ましい事件がなくなればと思います。

 
 
 
TEL:045-988-1240

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