2024.04.15
【危険】学校の「いのちの安全教育」の欠点に気づいていますか?
全国の学校で「生命(いのち)の安全教育」スタート
──その大きな欠点とは?
2023年から文部科学省の指導により、
全国の小・中・高校で
「生命(いのち)の安全教育」というものが
始められたのをご存知でしょうか?
おそらく「いのちの安全」と聞くと、
「交通事故や災害から身を守る方法のことかな?」と
イメージする人が大半なのではないでしょうか。
ところがどっこい、ここで教えられる内容は、
「性暴力から身を守る方法」なんですね。
政府もその目的を、
「子どもを性暴力の被害者にも加害者にもしないこと」と掲げています。
そうとわかると、このネーミングに
なにか「モヤッとするもの」を感じる人は
少なくないのではないでしょうか?
そう、目的は性暴力の予防なのに、
名前には「性」や「暴力」を意味する言葉が入っていないという
回りくどさが感じられますよね。
この違和感に象徴されるように、
実はこの教育の内容には、ざっくり言って
「2つの困った問題点」が含まれているのです。
🌸年齢別に深まっていく指導内容をご紹介!
まず、「いのちの安全教育」の具体的な内容について
大まかにご紹介しましょう。
幼児期から高校までの4つの発達段階に分けて、
その年代にふさわしい伝え方をするようになっています。
【幼児期】
●「水着で隠れる部分」は自分だけの大切な所
(*夏目注:性教育でも教える「プライベート・ゾーン」のことですね。
ただし、この伝え方だと男子の胸が含まれないので、
私は男女共通の所として「口・胸・性器」と伝えています。)
●相手の大切な所を見たり触ったりしないこと
●イヤな触られ方をした場合の対応
【小学校】
●人との心と体の距離感
(*夏目注:心理的な「縄張りスペース」である
「パーソナルゾーン」の概念を伝えているようです。)
●SNSを使う時に気をつけること
【中学校】
●自分と相手を守る「距離感」について
●性暴力とは何か(デートDV、SNSを通じた被害の例示)
●性暴力被害に遭った場合の対応
【高校】
●セクシャルハラスメントの例示
●性暴力の二次被害について
こうして見ると、今まで
「性暴力防止」に関わる立場にある人たちの間で
共有されてきた専門知識の中の基本的な情報を、
一般常識として広く普及させる効果はあるように感じます。
実際に、1970年代から民間で行われてきた
「暴力防止プログラム」にのっとった内容に見えます。
🌸「性暴力」は教えたいけど「性」は教えたくない?
さて、それ自体は間違っていない内容ではあっても、
この教育方針は、ある大きな欠点をはらんでいます。
✅その1つは、
「性暴力とは何か」という
被害の例については教えるけれど、
そもそも「性行為とは何か」という
基本的なことについては扱わないということ。
これは、1998年の学習指導要領改定で追記された、
性交については取り扱わないという「歯止め規定」を
維持したまま性暴力を教えようとしているから。
そのため、文科省も「いのちの安全教育」について、
「性に関する指導と重なる部分はあるが、目的が異なる」
と明言しているから驚きました。
つまり【これは、性教育ではない】と言い張っているのです…!
なるほど、タイトルに「性」を意味する言葉が
一切入っていないのも納得です。
このため、現場の先生たちの間でも
「具体的な性の知識を避けた内容で、どの程度伝わるのか?」
という懸念の声が上がっています。
🌸本来の「暴力防止プログラム」は性行為の知識が必須
民間の「子どもへの暴力防止プログラム」の老舗として知られる
「CAP」は1978年にアメリカで始められ、
日本でも1995年から活動がスタートしました。
ここで言う「暴力」は性暴力を含めた大きな概念ですが、
それでも性暴力を防ぐための必須情報として、
たとえ幼児対象のプログラムでも、
「性行為とは何か」という基本的なことを
科学的に伝えることを柱としています。
もし、文科省の指導内容が、
CAPなどの暴力防止プログラムを参考にしていたとしたら、
肝心なところを骨抜きにして作ってしまったと言うほかありません。
🌸「暴力としての性」だけが必修項目となる影響は?
次に、2つ目の問題点として私が挙げたいのは、
このまま全国の学校で
「性については教えないけど、
性暴力についてだけは教える」
という授業が行われるとしたら、
子どもたちは「本来の性」を学ぶ前に
「暴力としての性」だけを
義務教育で学ぶということです。
すると、当然のこととして考えられるのは、
性に対して否定的なイメージを持つ子供たちが
増えるのではないでしょうか?
そうならないようにするためには、
「人と人をつなぐ、幸せな性」を
同時に教えるのでなければ、
まったくの片手落ちということになるのですが、
残念ながら学校の現場では
「性を扱うのは荷が重いし、そのノウハウもない…」
と逃げ腰の先生の声がよく聞かれます。
これも2000年前後に、
意欲的で良心的な性教育授業を行った教師たちが
「行き過ぎた性教育」という言いがかりをつけられ処分された
当時の政府主導の「性教育バッシング」が大きく響いていると言えます。
学校でもメディア情報でも期待できない、
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