室塚笑子さん 066 [私の出産] | 第2回ぐるっとママ懸賞作文

「私の出産」~母から子へ伝えたい言葉~

第2回ぐるっとママ懸賞作文

室塚笑子さん 066 [私の出産]

言葉のバトンを永遠に。
産んでくれてありがとう。産まれてきてくれてありがとう。
 

「なんでわたしを産んだの?」

昔わたしが母に言った言葉です。
当時のわたしは出来の良い兄、可愛らしい弟の真ん中の1番手のかかる娘でした。
毎日怒られているわたし、そしてそれを馬鹿にして見てくる兄、いつでも甘えさせてもらっていた弟。
子どもながらに「愛されていない」と思っていたわたしは構ってほしいという一心で親に対して試し行動でわざと我儘に接していました。
わたしにはわたしが生まれる前に亡くなった長男の兄がいました。それを知っていたわたしはいつもの様に母に怒られて泣いている時に
「わたしのこと嫌いなんでしょ!じゃあなんで産んだの!?お兄ちゃんじゃなくてわたしがいなくなればよかったね!」
と叫びました。
母の怒っていた顔は急に悲しい顔に変わり
「ごめん。ごめんね。そんなことない。あなたが産まれてくれて、今ここにいてくれてかーちゃんは幸せなの。」
と泣いて抱きしめてくれました。
初めて見た母の涙。わたしは罪悪感でいっぱいになりました。
そんな過去があるわたしは親になる事への不安がすごくありました。
妊娠している間の嬉しい気持ちとは裏腹にわたしは子どもをしっかりと愛せて子どもたちを幸せにできるのだろうか?と。
ずっと待ち望んでいた出産。そして我が子との出逢い。
「あー。不安なんていらなかった。わたしはこの子を世界で一番愛してる。」
そう思いました。そして生まれて来てくれた我が子に
「わたしの元に生まれて来てくれてありがとう。愛してる。」
と自然に言っていました。
その後は初の育児に苦戦しながらもとても愛しい日々を過ごして来ました。
その長男も下に双子の赤ちゃんが産まれ立派なお兄ちゃんになりました。そんな長男が年中の時急に
「かーちゃん、なんでくーちゃんを産んだの?」
と言ってきたのでドキッとしました。この子はどんな気持ちで言っているのか。わたしと同じ様に自分はいらない子と思わせてしまったのか。急に昔の自分と重ねて心臓が止まりそうでした。
「なんでそんなこと聞くの?」
と問うわたしに
「わからないの?くーちゃんがかーちゃんを選んだからだよ。かーちゃんってくーちゃんが大好きでしょ?くーちゃんね、かーちゃんならくーちゃんをずっとずっと大好きでいてくれるってわかってたから来たんだよ。かーちゃん、くーちゃんを産んでくれてありがとう。」
涙が止まらなくなりました。子どもの前では絶対に泣かないと決めていましたが涙を止めることはできませんでした。せめて泣き顔を見せない様にと息子を抱きしめて
「ありがとう」
と何度も何度も伝えました。産まれて来てくれたことにありがとうなのに産んでくれてありがとうなんて。
わたしの愛はこの子に伝わっている。自分の育児は間違っていなかったんだとすごく安心しました。
あれから4人の母になった今、子どもたちとは数分でも一人一人との時間を作り
「産まれて来てくれてありがとう。大好きだよ。」
と伝えています。
そしてわたしは自分の母にも
「わたしはお母さんの子どもとして産まれて幸せだよ。わたしを産んでくれて、わたしをこの子たちの親にしてくれてありがとう。」
と伝えました。自分が言われて嬉しかったから。そしたら母も泣いてありがとうと言うんです。わたしと同じでした(笑)
そして母は子どもたちにも伝えます。
「ばあちゃんの孫になってくれてありがとう。かーちゃんの元に生まれて来てくれてありがとう」
と。
伝えなくても伝わっているかもしれません。でも伝えないと伝わらないかもしれません。
わたしたち家族はありがとうの言葉のバトンをずっと繋いでいこうと思います。


 
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