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断熱リノベで資産価値が大きく上がる!

2021.08.26

断熱リノベで資産価値が大きく上がる!

今回は「断熱リノベで資産価値が大きく上がる」をテーマに、お話していきたいと思います。   先日、弊社代表の高橋が、鎌倉常盤にある築45年の戸建住宅へ、買取再販事業をされている株式会社プレイス・コーポレーション浜田伸社長にご案内いただきました。   (一緒に、ラクジュの本橋さん、YKK APの岩崎さんとお伺いして来ました。)   この建物は、プレイス・コーポレーションの浜田さんが「G2リノベ」として取り組まれて います。   既存の築45年の住宅を、断熱性能に関してはUA値0.42(G2レベル)を確保し、耐震は許容応力度計算の上で等級3、気密にC値1.2を程度確保したというプロジェクトです。   以前お伺いした際は、上図のようにほぼスケルトン状態となっており、基礎の補強から実施されていました。   そして、工事中は下の写真のような状態となっていました。   断熱材や、YKK APの樹脂サッシが入っている状態です。   また、こちらが完成予想パースになります。 とても築45年とは思えないような住宅になります。   本題ですが、この住宅に関して「断熱リノベで資産価値評価は上がるのか?」についてお話していきたいと思います。   実は当社は国土交通省から「住宅の性能向上に関わる仕組み作り」についての補助金をいただいており、その補助金の一環として、この住宅をモデルにして不動産鑑定評価とそれに不随する調査を行っています。   こちらの調査を依頼した鑑定機関には、「従来の不動産鑑定評価にはない考え方で面白い」ということで、鑑定評価にご協力いただき、不動産鑑定評価書と調査報告書を出していただきました。   まず前提として、不動産鑑定評価には3つのアプローチがあります。   1つは原価法、2つ目は取引事例比較法、3つ目は収益還元法です。   これまでの戸建住宅の評価については、取引事例比較法が中心であり、住宅の断熱性能の違いは、住宅の評価額には反映されてはいませんでした。   そこで、今回は、断熱性能向上による光熱費の削減メリットを評価額に反映するように、収益還元法での評価を行いました。 戸建住宅で、このようは不動産鑑定評価の取り組みは、初めてのケースのようです。 具体的には、下記3つの仕様を想定し評価を行いました。   所有物件では、光熱費削減メリットを評価額に反映することが難しいため、こちらの住宅を賃貸住宅にした場合を想定しています。   ですので、築45年の戸建住宅の家賃を周辺相場から評価すると、下記の通りになります。   現在の賃貸住宅のマーケットでは、性能が高いからといって家賃に反映されることはないということなので、②・③は同じ家賃評価となっています。   一方で、光熱費について、どのように収益還元法として考えていくのか、ですが、①・②・③それぞれの住宅について、エネルギーパスというものを使用してシュミレーションしております。 ①の光熱費を共益費として想定します。そしてこの共益費は②・③のように性能を上げても値段は変わらないということにしています。   そうすることで、性能が上がるとオーナーさんが電力会社等に支払う値段が下がり、差益が出るため、収益になるという考え方です。   光熱費の差益を現在価値に割り戻すと、どのくらい評価に差が出てくるのか、ということを計算してみたということです。   その結果が下図の表の通りになります。   この結果、スケルトンリノベを実施するのであれば、断熱・気密に関しても併せて実施し、光熱費を下げた方が、収益還元法の考え方では資産価値が大きく上がるということが分かります。   ただし、光熱費の想定は「全館連続冷暖房」としています。築45年の家では普通あり得ないことですので、仮に「間欠冷暖房」ではどうなるのかも併せてシュミレーションしています。   全館連続冷暖房で評価を行うべきか、間欠冷暖房で評価を行うべきか議論はあったのですが、今の日本では間欠冷暖房が当たり前ですので、調査報告書には併記いただいております。   この結果から言えることは、スケルトンリノベをして、耐震や内装や水回り等全て綺麗にするのであれば、断熱も併せてやった方が資産価値が大きく上がるということが言えるかと思います。(収益還元法の評価の場合)   もちろん、これは、あくまでも、机上の評価なので、実際に不動産市場で、このように評価されるかどうかは分かりませんが、コストを余分にかけた分以上に、評価額が向上するという有益な結果になりました。     なお、高橋が完成後に再度訪問してきました。 (https://www.place-re.jp/property/view/13)   普通の新築分譲住宅をはるかに上回る高性能ととてもしゃれたデザイン。そして二階には、築45年の歴史を敢えて見せるような、素晴らしい梁を現しで、見せていて、普通の新築住宅ではとても感じられない味わいのある建物になっていたそうです。   このような取り組みが、今後どんどん増えていくといいと思います。  

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日本ボレイト浅葉健介社長に聞く シロアリの対策のポイント②

2021.08.18

日本ボレイト浅葉健介社長に聞く シロアリの対策の...

日本ボレイト株式会社の浅葉社長に聞く、シロアリ対策のポイントです。後半をお伝えしていきたいと思います。   高橋 合成殺虫剤で防蟻処理していた既存住宅もホウ酸で処理することはできるんですか?   浅葉社長 もちろんできます。 ただ、スケルトンリノベーションでなければ、床下のアプローチしかできないですけれども、殺虫剤でやるよりは100万倍良いですよね。   高橋 それから工務店によっては防蟻処理の考え方で「うちは土台をヒノキを使ってるので大丈夫です!」というお話を聞きますが、これはどうなんでしょうか。   浅葉社長 よくいらっしゃるんですけれども、ヒノキというのはD1特定樹種と言われてですね、無処理でも土台として使えるんです。でも、我々の業界だとヒノキはシロアリに対しては強くないというのは常識なんです。なので、私はヒノキを無処理で使うというのは怖いですね。   この表は国交省のHPから引用してきたものなんですけれども、各樹種の耐蟻性を大中小で評価したものです。ヒノキは心材であっても中なんです。ヒノキあろうが、ヒバだろうが、辺材はすべて小なんです。 なので樹種に頼ってシロアリ対策をするというのはちょっと怖いかなと。私はよく言うんですけれども、弓矢が飛び交っている、つまりシロアリがいる戦場ではやはり鎧を着たほうが良いと思うんですよね。鎧を着て、その弓矢が当たっても跳ね返せるくらい。 ただ合成殺虫剤だと、どんどん効果は薄れていってしまいますし、住んでいる方の体に悪影響を及ぼす恐れがある。お子さんの脳の発達に悪影響を及ぼす可能性もある。ましてや、ヒノキを無処理で使うというのは素っ裸で立っているようなもんですから、もし当たってしまったら致命傷になりかねない。 やはり、ホウ酸やACQ(加圧注入材)とかそういったものできちんと長持ちする鎧を着せて、しかも人体に悪影響を及ぼさないものでやっていく必要があると思う。ただ、そういった鎧も空いているところはありますので、そういったところは5年ごとに床下を点検するとかですね、そういったものでメンテナンスをする必要があるかと思います。   高橋 アメリカカンザイシロアリについては改めて、詳しく話を伺いたいと思っているんです。ただ、アメリカカンザイシロアリはむしろヒノキを好むという話を聞いたことがあるんですけれども、どうなんでしょうか?   浅葉社長 そうですね、おっしゃる通りで、普通のヤマトシロアリとかイエシロアリという土壌に生息している地下シロアリは松とヒノキがあったら、まず松を先に食べるんですね。松がなかったら、ヒノキを食べる。杉とヒノキがあったら、杉を先に食べるんですね。ただ、アメリカカンザイシロアリは逆で、松とヒノキがあったら、ヒノキから食べます。ヒノキ大好きなんですね。 我々もアメリカカンザイシロアリの駆除を年間70件くらいやっているんですけれども、現場に行くと和室の化粧柱ありますよね、あれが大体ヒノキなんですけれども、ペコペコに食われているというケースをよく見ます。   高橋 そうなんですね! アメリカカンザイシロアリについては改めて詳しく伺いますけれども、要は今までの「ヒノキだったら大丈夫だよ。」っていう話はさらにリスクが高まってきているということですね。   浅葉社長 そうですね、アメリカカンザイシロアリ対策という意味で言っても、やはり選んじゃいけないと思います。   高橋 一方でヤマトシロアリ、イエシロアリ、これらのシロアリは湿った環境を好むという話を聞きますけれども、家の中の壁の中の湿った環境ということでいいますと、壁内結露、住宅の気密性能とか、そういったものと蟻害リスクとの関係について伺いたいのですが、   浅葉社長 はい。日本にいる土壌に生息している地下シロアリのヤマトシロアリ、イエシロアリというのがいるというお話をしましたけれども、中でもヤマトシロアリというのは水に誘引される傾向があります。ヤマトシロアリの駆除にいくと、雨漏りや壁体内結露と一緒にいることが多いんですね。やはり壁体内結露というのは、気密性能をおろそかにしたことでおこります。ただ、シロアリリスク以外にも、木材というのは濡れたら必ず腐りますので、そういう意味では、壁体内には起こしちゃダメということが言えると思います。腐ってしまいますから。   高橋 なるほど。そういう意味でいうと、家の耐久性の維持のためには、気密を確保するのは非常に重要ということですね。   浅葉社長 もちろん、はい。蟻害もそうですし、腐朽もそうですね。   高橋 まあ、気密というと省エネ、快適性という観点から議論されがちですけれども、家の耐久性という意味でも非常に重要だということですね。   浅葉社長 そして今、高気密・高断熱が増えてきています。そうするとですね、今度使った薬剤が部屋の中に引っ張られるというケースが出てきますので、使う薬剤は気を付けないといけないなと思います。   高橋 これ聞いて良いのかわからないんですが、今ホウ酸やACQのメリットを聞くと、なぜ5年で防蟻効果がなくなる、それに人体によろしくない薬剤が7~8割の住宅で使われているのか、素朴な疑問を感じてしまいます。これはどういったことなのでしょうか。   浅葉社長 えっ、言うんですか?(笑)  ざっくり言うとですね。まだ、合成殺虫剤が90%以上使われているんですよね。ただ、住まい手さんにホウ酸処理と合成殺虫剤並べて、どっち使いますかと聞くと、100人中100人がホウ酸と答えるんですよね。では、なんで実際の市場が逆なのかということなんですけども、これまでエンドユーザー、住まい手さん、お施主さんを置き去りにして、業者間で決めていたという背景があるかと思うんですね。 合成殺虫剤は新築の時は非常に安いんですね。そうすると住宅会社はイニシャルコストを非常に抑えられるんですよね。シロアリ防除業者さんは新築の時は儲けられないけれども、住まい手さんから5年ごとに再処理費用を数十万円、90%以上の売り上げが見込める。この業者間の論理でずっと使われてきた。 ただ今は、YouTubeで情報を発信できるようになって、住まい手さんも積極的に情報を取りに来ていただけるので、我々の会社も住まい手さんから毎日数件ご連絡いただきます。 また、工務店さんからもお施主さんから言われたんですけれども、といって問い合わせいただいたりして、今やっとエンドユーザー、住まい手さんがシロアリ対策に参加できているということになったんじゃないかなと思いますね。 YouTubeのおかげで、我々ホウ酸業界にとっても非常に画期的な転換期なんじゃないのかなと期待しています。   高橋 私の実感値としては、当社が提携している高気密高断熱の工務店・ハウスメーカーさんは農薬系の防蟻処理を行っている会社の割合は低いんですよね。 なので、意識が高い会社であれば、感覚的には、ホウ酸とかを使っている率も高いんだろうなと感じています。 住まい手のことを考えたら、住宅の気密断熱も大切だし、耐震性も大切だし、防蟻処理も重要だと。このバランスの中できちっと考えているかどうかということだと思うんです。 そういう観点からすると、工務店選び、ハウスメーカー選びの時に防蟻処理どうしてますか?と聞くのは非常に有効なんじゃないかと思っているんです。   浅葉社長 まさに私もそう思います。住まい手さんにどういった工務店選びをしたら良いかと言われた時にも、私は断熱性とかシロアリ対策、見えなくなるところにいかにこだわってきちんと考えて、選択しているのか、それを見極めてくださいとお伝えています。見えなくなるとこって、結局手抜きたい放題なわけですよね。断熱は今省エネがブームになっていますから、“うちはセルロースファーバー、うちはウレタン”というのを広告に載せたりしますけれども、特に劣化対策・防腐・防蟻対策についてはまずチラシとかに載らないですよね。そうするとあまり考えていない、コスト重視のところなんかは合成殺虫剤か無処理のものを使ったりしますので、皆様が住宅選びをするときの一つの判断基準にしていただけると良いかと思います。   高橋 一方で先程ちらっとおっしゃいましたけれども、通常合成殺虫剤を使っている工務店と契約しちゃったと。でもこれらのことを知って、やっぱりホウ酸に切り替えるというのは可能ですか。   浅葉社長 はい、もちろん可能ですね。それに最近多いですね。工務店さんから直接問い合わせがきて、住まい手さんからの依頼で工務店さんから見積もらえますか、というのは増えていますね。   高橋 この場合、工務店さんが自らホウ酸処理の施工をするんじゃなくて、例えば浅葉さんなら浅葉さんのところが施工代理店としてやってくれるという?   浅葉社長 はい、我々はトレーニングを受けて資格を取った人間にしかホウ酸を触らせませんので、ホウ酸というのは濃度だったり、しっかり処理をするというのはそうなんですけれども、雨対策というのが非常に重要で雨で溶けて流れてしまう恐れがあります。なので、我々はブルーシートで覆ったり、撥水加工をしたりして、ホウ酸が抜け出ないような処理までしています。これって、今までのインフラであるシロアリ防除業者さんって、なかなかそこまでできないんですよね。なので我々は自前でそういうインフラを作って、施工をしてもらっている。それに対してシロアリの15年保証というのをお付けして、全国で提供している、そんなことをやっています。   高橋 なるほど。それから、最近中古住宅を購入してフルスケルトンリノベというケースが増えていますが、事前にシロアリにやられているかどうかをチェックしていただくことが可能なのか。もしやられていた場合に構造の補強は必要だと思うんですが、ホウ酸で処理していただくことは可能なんでしょうか。   浅葉社長 はい、もちろんできます。検査というのは見えるところになってしまいますけれども、ただ食われているような感覚というのはあるわけなんですよね。我々はプロフェッショナルですから、雰囲気で何となくわかるというのがありますし、あとはフルスケルトンになっていれば住宅会社さんに補強をしていただきながら、あとはそこに木部にホウ酸処理をしたり、ちょっとした隙間があればホウ酸入りのシーリング材をしたり、そこで最善と考えられる施工をすることができます。   高橋 それから、基礎断熱についてですが、床断熱、内基礎断熱、外基礎断熱があります。 高気密高断熱の住宅性能という観点からすると温熱的には外基礎断熱が良いわけです。 ただ、蟻害リスクがあるのでやめたほうが良いという話をよく聞きます。そのあたり、私今一つわからないのが、7~8割の会社が5年しか効果が続かない農薬系の防蟻処理をやっている中で、ホウ酸であったりACQであったり、永続的に続く防蟻処理をやっているのであれば、外基礎断熱でも良いんじゃないのかなと思うんです。 専門の立場からはどう思われますか。   浅葉社長 一概には言いづらいところではあるんですが、まずシロアリ対策の考え方なんですけれども、無責任なようなんですが、どんなことをやっても絶対ということはないんですね。シロアリ対策というのは費用対効果を考えながら、どれだけシロアリリスクを低くして、時の経過でリスクが上がってこないように低く抑えるかがシロアリ対策の肝だと思うんですね。なので、これやったから絶対大丈夫ということがないということでいうと、なかなかやはり基礎外断熱はそこから入ってくるリスクを消せないのがこわいかなと。あと、もしシロアリが入ってきたときに簡単に補修ができるというのもひとつ、重要なんですね。 基礎外断熱でシロアリが入ってきてしまうと、断熱材を全て外したりしないといけない難しい工事になったりしまうので、私は基礎外断熱はきちっと考えないといけないと思います。ただ、基礎外断熱でもこうやれば、ある程度のリスクを下げる方法はありますのでまたお問い合わせいただければと思います。なので、先程のご質問ですが、基礎外断熱で木部にこうしたから大丈夫というのはちょっと違う気がします。やっぱり足元から止めないといけないです。   高橋 アメリカカンザイシロアリについては浅葉さんのチャンネルの動画で詳しく伺いたいと思います!   高橋・浅葉社長 今回はありがとうございました!!   ▶高性能な住まいの相談室はこちら

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日本ボレイト浅葉健介社長に聞く シロアリの対策のポイント①

2021.08.11

日本ボレイト浅葉健介社長に聞く シロアリの対策の...

今回は日本ボレイト株式会社の浅葉社長に聞く、シロアリ対策のポイントです。 前半と後半に分けてお伝えしたいと思います。   高橋 今回は日本ボレイト株式会社浅葉健介社長にお越しいただいています。よろしくお願い致します。 シロアリ全般についてお話を伺っていきたいのですが、まず日本の一般的なシロアリについてご説明をお願いできればと思うんですけれども。   浅葉社長 はい。日本でシロアリと一口で言うと、大体土壌に生息しているシロアリのことを言うのですけれども、日本に生息している土壌性の地下シロアリはヤマトシロアリとイエシロアの2種類がいると考えていただければと思います。 ヤマトシロアリというのは全国にいる一般的なシロアリです。イエシロアリというのは世界最凶の一種ともいわれているシロアリです。なので我々も、もしシロアリの被害があった場合にはヤマトシロアリなのかイエシロアリなのかを把握し、それで駆除をどのようにするか計画を立てていく必要があります。   高橋 世界最凶ってなにが最凶なんですか。   浅葉社長 加害力ですね。イエシロアリというのは英語ではFormosan termiteといって、台湾シロアリと言われているんですね。台湾由来のシロアリです。相当やばいということで、アメリカでも物凄い被害があります。   高橋 日本では寒いところではそんなに被害がないイメージがありますが、気候区分でいうとどのくらいの地域までがシロアリに注意したほうが良いですか。   浅葉社長 シロアリというのはやはり暖かい地域の方の活性度が高いので、おっしゃる通り沖縄や鹿児島のほうが活発です。喰うスピードも速いです。 しかし、ヤマトシロアリは北海道の北部を除く、全国に分布していますので、どこだと安全ということはまずないです。   高橋 札幌までを含めてということですね。   浅葉社長 一方、世界最強の一種のイエシロアリは寒さに弱いので関東から西の暖かい地域に生息をしているということになります。   高橋 地図で見ると東京や大阪がちょっと微妙ですね。   浅葉社長 やはり暖かい海側・南側のほうが被害が出ていますね。赤いラインは生息しているところではなく、被害が確認されたところになりますので、実際の生息はその北側になります。これをイエシロアリ前線といって、私が業界に入った20年くらい前は伊豆半島あたりでした。それが、地球の温暖化が関係しているのか、あるいは高気密・高断熱化が関係しているのか、どんどんイエシロアリ前線が北上していって、今最北の生息地は茨城県になります。   高橋 被害でいうと、さいたま市あたりは地図上では微妙かなと思いますが、いかがでしょうか。   浅葉社長 このイエシロアリ前線は北上する傾向にありますので、今いないからといってイエシロアリのケアをしなくて良いという考えは辞めたほうが良いです。必ず家を建てたら、そこから何十年も住むわけですから、その時にはイエシロアリ前線に入る恐れがあるので、シロアリ対策はやっていかなきゃいけないと思います。 例えば、この地図で北海道だったら、イエシロアリがこれから100年以内に北上するかといったらそれはわからない。   高橋 まあ、防蟻処理については後程具体的に伺いますが、ヤマトシロアリとイエシロアリで対応が変わってくるっていうわけではないという理解でいるのですが。   浅葉社長 はい、予防的にはある程度同じく考えていただいて、ただイエシロアリのほうはもうちょっと強めにケアをしたほうが良い。駆除になったら、今度は多少やり方が違うんですよね。   高橋 わかりました。現在の、建築基準法で要求されているシロアリ対策はどういった内容になっているのでしょうか。   浅葉社長 はい、地面から1メートル以内の木部に対して何らかのシロアリ対策をしなさいというように決められています。ずっと日本ではそれで対策をしていたんですけれども、最近になって品確法という法律ができました。この品確法による住宅性能表示制度において、より事細かく決められています。   高橋 そうすると、制度的には建築基準法で要求されているのはかなり曖昧で、性能評価を取ろうと思うと要求されているのはかなりきちっとしたルールがあると。   浅葉社長 はい、住宅性能表示制度の劣化対策等級1,2,3とあるんですけれども、1が建築基準法と同レベルという建付けにはなっています。ただ、建築基準法はざっくりと1メートルには何かしろと書いてあるだけなので、それこそ塩水撒いて「これが防蟻だ」と言ったらそれが防蟻になってしまうんですね。だけど住宅性能表示制度だと、どこそこの指定の認定薬剤を使わなければいけないなど、かなり細かく決められています。   高橋 具体的に一般的な防蟻処理はどんなことをやるんですか。   浅葉社長 大体ですね、この写真のように木部の下のほうに薬剤を塗布する方法が一般的です。   高橋 これはどういう薬剤なんですか。   浅葉社長 日本の防蟻対策の闇なところだと思うのですが、虫がいないのに合成殺虫剤を使うんですよ。合成殺虫剤というのは有効成分が農薬登録されているものになりますので、イメージ的にまず身体にも悪そうだなと思いますよね。 地面から1メートルまでというのは昭和46年、1971年に制定されたんですけれども、その頃はそれまでは予防という概念がなかったんですね。シロアリが出たら、駆除ということをやっていました。建築基準法に1メートル以内に予防措置を取りなさいよといったら、駆除で使っていた薬剤を使うようになってしまったんですね。   高橋 そういう歴史なんですね。具体的にはどう身体に悪いんでしょうか。   浅葉社長 色々あるんですが、一番客観的でわかりやすいのは消費者庁と国民生活センターが開設しているWebサイトで事故情報データバンクシステムというのがあります。全国のクレームや事故・トラブル等の報告されたものが登録されていて、データベースになって見られるようになっている。 検索窓が出てきますので「シロアリ」といれていただくと、ずらーっとたくさん出てきます。そうすると、目が腫れたとか、喉が痛くて住めなくなったとか、様々な健康被害の事例が出てきます。   高橋 これが先程のオレンジ色の薬剤に起因しているということですか?   浅葉社長 ただ、それが本当に因果関係があるかというのはわからない。そこに報告をしている人はシロアリの薬剤が原因だと考えて、訴えている。   高橋 健康以外にもこの合成殺虫剤の防蟻処理っていくつか問題があるのかと思いますが。   浅葉社長 そうですね。合成殺虫剤の問題は私は3つあると思うんですね。まず、1つ目が「健康被害」。2つ目が、「ネオニコチノイド」という問題があります。   読んで字のごとくですが、ニコチンに似せて、ネオ=新しく、新しくニコチンに似せたニコチン様の殺虫剤なんですね。ニコチンというのは猛毒で人体にも猛烈に悪い。タバコは吸うのは良くても、食べちゃいけない。毒性がありますから。その人間に対する毒性を取って、化合したんですよね。これが猛烈によく効いて、世界中で農薬でよく使われたんですよね。ただ、これを使ったら世界中のミツバチがいなくなったんですよ。ただ、これ因果関係はまだはっきりわかっていないんです。だけれども、世界中のミツバチがいなくなったのは、ネオニコチノイドのせいだと考えられていて、EUを中心に世界中で農薬として使えなくなっているんですよね。   高橋 日本ではまだ許されているんですか。   浅葉社長 日本では農薬の残留基準が緩和されたりしてしまってですね、世界中で使えなくなったネオニコチノイドが日本で使われているような。悪い意味で日本らしい。   高橋 なるほど、住宅とは別の話ですがそういったところがあると。   浅葉社長 タバコって、子どもは吸っちゃいけないじゃないですか。あれなぜかって言いますと、これ受け売りなんですけども、ニコチンが脳の発達を阻害するらしいんですね。なので、先進諸国ではタバコというのは脳が大きくなってから、脳が発達しきってから吸いましょうということになっているわけなんですけれども、このネオニコチノイドもニコチンに似せて合成されているので同じような作用があるだろうと医学界から警鐘が鳴らされているんですね。 実は日本で使われているシロアリの薬剤の70~80%がこのネオニコチノイドだと言われています。ただ、これもきちんとした調査データがあるわけではない。我々の業界ではそのように考えられている。 3つ目は効果の持続性がないということです。先程、申し上げたように農薬は化学的に非常に不安定に合成されていますから、分解されるようになっているんですね。そうじゃないと、残留農薬として食卓にあがってしまうわけです。 その同じ有効成分を使って、先程の写真のオレンジ色にように塗っていくんですが、やはりもたないんですよね。農薬というのは畑とかに撒いたら、10日くらいでなくなっちゃうんですよね。紫外線だったりで。じゃあ、紫外線が当たらない壁の中にやったとしても、まあもたないですよね。 そんなにもたないんですけれども業界では5年ごとに再処理しましょうというようになっています。ということは、効果をずっと持続するためには5年ごとに再処理しなくてはいけないんですね。この再処理には数十万円かかります。そして、もしかしたらお子さんの脳の発達に悪影響を及ぼすかもしれない。   高橋 人が住んでるところに再処理を行うということですね。   浅葉社長 再処理は床下に潜って、大引きという見える土台に薬剤を吹き付けていくという方法が一般的です。   高橋 素朴な疑問なんですが、地盤面から1メートルの高さをというところに当初、防蟻処理をしていたと。再処理するのに壁があって、断熱材があって、この部分ってどうするんですか。   浅葉社長 さすがですね。そこも問題なんですけれども、先程の写真で見たようにオレンジ色に染められた柱というのは家が出来上がったら断熱材が入って、外壁、内壁が出来るともう触れないんですよね。 そこで5年でなくなってしまったら、もう手の付けようがないんですね。5年ごとに壁を壊して断熱材を引っぺがして、薬剤を塗って、またやるなんて日本でそんなのは1棟もやってないはずなんですよね。ということは5年も経てば、建築基準法で定められた箇所は効果が0ということになってしまう。もう床下しかできないんですね。なので、薬剤が今の日本の建築様式についていけなくなってきているんですね。昔は断熱材なんて入ってなかったので、外壁から穴をあけてシューッと吹いていた歴史もありますが、今はもうそれが出来ないですからね。   高橋 かなり色々と問題があるのはわかりましたけれども、じゃあ他に方法はありますか?   浅葉社長 大きくご紹介したいのは2つですね。まず、工場処理材を使うということです。 写真のように木材に穴がいっぱい開いている、これをインサイジング加工というんですね。工場で穴をばーっと開けて、窯に入れて薬剤を加圧注入したりですね、あるいはインサイジング加工して、薬剤が溜まっているプールにドボーンと入れたり。また、あるいはインサイジング加工した木材に油に溶かした殺虫剤をシューっと吹いてですね、養生と言って中にしみ込ませるような養生期間を置いて出荷する。こういったものがありますね。   この工場処理剤というのは、材表面から結構奥まではいるんですね。少なくとも1センチは入っているということですから、性能が非常に安定しているということがいえると思います。メリットとしては、そういった安定している。ここが薄いとか、これをやり忘れたというのがないわけですよね。あとは材の表面から10ミリ入っているのでしっかり処理されているということになるかと思います。   高橋 加圧注入材=ACQは工場処理剤のカテゴリの中に入ってくるのでしょうか。   浅葉社長 はい。ACQというのは緑色をしている特徴があるんですけれども、あれは酸化銅と第四級アンモニウムを工場で窯に木材を入れて、しっかりと加圧・圧力をかけてしみ込ませたという方法です。ACQは銅ですから、無機化合物ですから、非常に安定しています。何年か経ったらなくなっちゃうというものではありませんので、ACQというのは非常に良いんじゃないでしょうか。   高橋 もう一つの方法というのが、ホウ酸ですか?   浅葉社長 効果が長持ちするという意味でいうと、ACQとホウ酸処理という方法になります。ホウ酸というのは自然素材でですね、アメリカのカリフォルニアとかに鉱脈があって1900万年前に堆積したと考えられているんですけれども、それを掘ってきて精製して使われます。 例えばグラスウールの原材料だったり、ガラスだったり、こういったノートパソコンの液晶だったり、工業的には様々な使われ方があります。また、農業では肥料として撒かれていて、日本でも年間畑に3千トン、世界では6万トン撒かれていたりします。あとは、建築でいうとセルロースファーバーという古新聞紙をわた状にした断熱材、、あれをそのまま充填してもし火事になったら燃えちゃうじゃないですか。紙ですから。それを燃えづらくするためにホウ酸が重さで16%くらい入っています。結構しっかり入っています。 あとは、皆様がイメージされるのは薬局で売っているホウ酸。目薬やゴキブリ対策のホウ酸。そんないろんな使われ方があるわけですね。このホウ酸を木材に染み込ませるとゴキブリが死んじゃうようにシロアリも食えなくなるわけですよね。       高橋 シロアリやゴキブリは死んじゃうけど、人は大丈夫なんですか?   浅葉社長 そうなんです!人間は腎臓があって、水溶性のものは効率よく出せるんですね、尿で。ただ、昆虫は浄化作用が非常に進んでない。なので、水溶性のものをとっても細胞に入っていっちゃうケースが高いんです。ホウ酸は細胞に染み込んでいってある程度溜まると代謝が止まって死んでいく。生物は代謝していますので、死を待逃れないわけですね。なので、人間にとっては安全ですが、菌や虫にとっては致命的な成分になりますね。   高橋 なるほど。ホウ酸で防蟻処理した場合、効果はどれくらい持続するものなのですか?   浅葉社長 効果は理論的にはずっと持続します。ホウ酸と空気中に溶け込むこともありません。空気を汚さないわけなんですね。あとは無機鉱物ですから、分解されることもないんですね。例えば、アクリルは有機物なので紫外線に当たると恐らくボソボソになっていきます。どんどん劣化していくわけなんですけども、ガラスって、日光に当たろうが、紫外線に当たろうが、雨に当たろうが、薄くなっていかないですよね。あとボソボソにならない。あれは無機だからなんですね。同じく木材の中に入っていくホウ酸も飛んで行ったり、分解されたりするっていうことがないんですね。なので、効果が弱まっていかないんですね。なので、先程おっしゃった壁の中の柱、建てたら二度と触れないところ、そういうところはACQやホウ酸で処理するというのが非常に理論的なんですよね。   高橋 なるほど。   続きは後半でお伝えしていきます!   ▶高性能な住まいの相談室はこちら

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ウイルスの脅威に立ち向かう!プラチナチタン触媒+太陽光で窓を強力な空気清浄機に!

2021.08.01

ウイルスの脅威に立ち向かう!プラチナチタン触媒+...

  私たちの一番身近にあり、必要不可欠な空気。 人は1日に約20kgの空気を体に取り込んで呼吸をしています。 体に取り込む物質摂取量は重量比でなんと、57%が室内の空気です。 でも、この空気の中には様々なウイルスや有害物質が含まれていて、ウイルス感染症や集団感染、喘息・アトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患を引き起こします。   最近では、私たちの生活を一変させてしまうようなウイルスの感染が広がり、どのように室内の空気を清潔に保つかが大きな課題となっています。   施設内感染を防ぐためにこまめな換気が推奨されていますが、急激に室内の温度変化が起きてしまいますし、空調の費用もかさみます。   また、こまめな消毒作業や拭き掃除も大きな労力がかかります。 エアープロットを使用すると、施設でも、また、ご家庭でも、太陽光が当たる窓さえあれば、ウイルスや有害物質を分解・無害化してくれます。   エアープロットは一般的なチタンの光触媒にプラチナ触媒の作用を融合したプラチナチタン触媒の技術を採用しています。 プラチナチタン触媒は一般的なチタン光触媒に比べて、耐久持続性・分解除去能力・夜間の分解効果等、あらゆる面で優れています。 エアープロットシステムは国土交通大臣の認定を取得している唯一の光触媒です。 一度窓に塗布すれば、ずっとお部屋の空気を綺麗に保ってくれます。 エアープロットの空気清浄の仕組みは、 ①吸着→プラチナの触媒作用が二酸化チタンの触媒反応を活性化し、化学吸着力の働きで空気中のウイルスや有害物質を窓ガラスに吸着させます。 ②分解→吸着されたウイルスやカビ・ダニのフンなどの有害物質はプラチナ触媒により、分子の結合が切られ、原子レベルに分解されます。 ③放出→太陽光が当たると分解された原子に強い酸化還元反応が働き、水蒸気や二酸化炭素などの無害な分子になって、空気中に再放出されます。 エアープロットは東京大学付属病院を始めとした全国各地の病院やグループホーム、ホテルなどの施設、学校や幼稚園をはじめ、一般のご家庭にも施工の実績があります。   実際に塗布した施設内ではインフルエンザなどの集団感染が出なくなり、ぜんそくや花粉症の症状が抑制される効果が報告されています。   また、ウイルスや有害物質だけでなく、部屋にこもりがちな臭いも分解・除去することができます。 アンモニア臭や体臭、食べ物のにおいや、ペット臭など、室内にこもりがちなにおいの悩みも緩和されます。   住宅に塗った場合は花粉所の原因物質の花粉、ぜんそく・アトピー性皮膚炎の原因物質のダニの死骸やダニのフン、シックハウスの原因になるホルムアルデヒドなどの化学物質を分解・除去することができます。 空気中のアレルギーや原因物質をなくして、綺麗な空気環境作りができるだけでなく、メンテナンスは1年に2回程度、窓ガラスを水拭きするだけ!   手間や維持のコストをかけずに快適な空気に包まれて、安心して生活したい! 労力をかけずに、感染リスクやクラスターのリスクを軽減したい!   そんな願いをエアープロットが叶えてくれます。   ▶高性能な住まいの相談室はこちら

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YKKAPさんに聞く良い窓の選び方⑤

2021.07.25

YKKAPさんに聞く良い窓の選び方⑤

  YKK APさんとの対談、全5回中の第5弾、今回で最終回となります。   高橋 ➣古い家では、玄関周りが寒いという話をよく聞きます。玄関扉の性能が弱点というケースが多いと思うのですが、玄関の扉自体の断熱性能を高めることは出来るのでしょうか?   米山さん ➣はい、出来ます。ここ5、6年で玄関ドアのリフォームが伸びております。先ほどの窓と同様に、はめ込むだけの工事は大体1日で出来ます。   高橋 ➣それは、窓のカバー工法と同じように、玄関のサイズも小さくなってしまんですか?   石川さん ➣ちょっと小さくなりますね。ただ玄関は元が大きいので、そんなに気にならないですね。5、6㎝小さくなります。   高橋 ➣それをやることで、今の性能の玄関扉自体は確保できるということですか?   米山さん ➣出来ます。デザインも性能も選んでいただけます。   石川さん ➣昔の玄関扉は断熱性能という概念が無いんですよね。今は性能が良くなってきているので、そういう意味ではリフォームは良いですよね。   米山さん ➣そうですね。玄関扉は、当社の製品の中で、唯一見た目が大きく変わる商品になりますので、外壁の塗装と一緒にやろうというニーズもあります。こちらのスライドをご覧ください。     昔の玄関は1,800㎜~1,900㎜くらいで、その上に欄間と呼ばれる部分がある玄関が多かったのですが、それを欄間まで打ち抜いて背の高い扉に取り替えることが出来ます。グッと玄関が際立って良くなった印象を与えてくれます。   高橋 ➣こちらの費用はどれくらいになるのでしょうか?   米山さん ➣工事込みで大体50万円~60万円くらいですかね。あとはデザインや性能が上がっていくにつれ、値段も上がります。 最近ではコロナの影響で、換気や通風について気にされる方が多くなっています。玄関の扉を閉めたまま、扉のガラスの部分が開いて、換気や通風が出来る商品がございまして、出荷数も伸びております。     高橋 ➣次に、マンションの断熱リノベについてお伺いしたいと思います。戸建とはまた違ってくるかと思いますが、マンションの場合はどのような選択肢があるのでしょうか?   米山さん ➣マンションの窓は専有部ではなく共有部になります。そのため、一般的には、施主様の意思だけで取り替えることは基本的にはNGになります。 この大規模修繕向けの商品は以下のように、なるべく段差がなくなるような商品となっています。   大規模修繕を待たずに戸別で窓の取り替えを行いたいとなると、戸建と同様にやはり「内窓」がコスパ良く出来るかと思います。   高橋 ➣この内窓というのも、戸建の時と同様の考え方でしょうか。特に手続きなく実施できるのでしょうか?   米山さん ➣はい、そうですね。基本的には専有部ですので大丈夫ですが、マンションによってルールがありますので、工事の届け出や搬入経路の確認等は必要になるかと思いますので、管理組合側の規約を確認いただければと思います。   高橋 ➣戸建よりマンションの方が、断熱性能の改善効果が高いかと思うのですが?   米山さん ➣そうですね。戸建に比べて、マンションの方が躯体性能の気密性能が高いので、内窓による改善効果は大きいですね。   石川 ➣マンションは、南側は快適なんですが、北側の部屋が寒いんですよね。なので、特に北側の部屋に内窓を入れると改善効果は大きいですね。   高橋 ➣一般的な75㎡位のマンションで内窓を入れるとすると、費用はどのくらいでしょうか?先ほどの戸建では120万円程ということでしたね。   米山さん ➣こちらのスライドをご覧ください。   78㎡で間取りも少し変更になっていますが、窓の取り替えは4箇所になります。大体平均的かなと思います。窓の種類はLow-E複層ガラスが入っており、施工費込みで約50万円になります。   高橋 ➣50万円で戸建以上に快適さの改善効果が大きいのならば、いいですね。戸建の場合は、窓だけやっても気密性能の改善は限られますが、マンションは窓だけで気密性能も大きく向上しますもんね。   米山さん ➣はい、内窓には補助金の制度も充実していますので、上手に活用するとお得ですよね。また光熱費でいうと、大きな削減とは言いにくいのですが、大体年間6,000円位の削減になります。   高橋 ➣今住んでいるマンションに限らず、最近多い中古マンションのフルリノベの際に、水回りなどは変えるのに内窓設置をやらない人が結構多いですよね。   米山さん ➣そうですね、我々としてはマンションリノベの際は内窓設置の当たり前化をご提案しております。 また、エアコンの選び方は、光熱費を考える上で凄く重要になるのですが、このようなサイトをご存知でしょうか? 電力中央研究所(ASST)『エアコン選定支援ツール』です。選択肢の中に畳数や構造の他に「窓」がどうなっているのか、と聞かれます。例えば内窓が付いているかどうかですね。これで何が分かるかと言うと、必要なエアコンの台数と、イニシャルコストとランニングコストが分かるようになっています。   最近は間取りを3LDKから2LDKに変更される方が多いということで、エアコンの台数を減らすことが出来るかと思います。今まで4台必要だったのが3台で十分になります。そして先ほどのツールで、リビングに内窓が付いているとなると、20畳用のエアコンは不要になることが分かり、エアコン設置に必要なイニシャルコストが大体16万円変わってくるのです。その差額分を内窓設置費用として考えてもらえればと思います。   高橋 ➣確かに、エアコンの畳数表示はかなり性能の低い家を前提にしていますよね。そのことを知らない方が多いかと思います。   米山さん ➣そうですね、中古マンションのリノベの際には、窓とエアコンをセットにして考えていただければと思います。   高橋 ➣最近は古いマンションだと、個人で申請をすれば窓を替えることができるようになってきていると聞くのですが、実際はどうでしょうか?   米山さん ➣そうですね、平成28年に国交省の告示によって、マンション規約の見直しの指針が出てきています。   マンション管理組合の規約を変えれば、本人の意思で窓を変更することが出来ます。   高橋 ➣現時点で管理規約が改正されていないマンションにおいて、改正をしようと思った時はどのような手続き、どの程度のハードルの高さなのでしょうか?   米山さん ➣我々も踏み込めないのですが、一般論としてはこちらのスライドの通りになります。   高橋 ➣あとは、戸建同様に弱点である玄関扉を替えたい時、マンションではハードルが高さそうですが、出来るようになっているマンションもあるのでしょうか?   米山さん ➣ありますね、今の考え方と一緒で、バラバラの扉が付いているマンションも現実的にあります。   高橋 ➣そうなんですね、それも規約を改正すれば出来るということなんですね。   米山さん ➣はい。古いマンションでは、鉄板1枚をプレスしただけの玄関扉が付いているのですが、もの凄く寒いんですよね。     ~最後の一言~   石川さん ➣私はAPWという樹脂窓を担当しているのですが、冗談抜きで絶対にやった方が良いと心の底から思っています。びっくりするくらい性能を体感できますし、もう10年経つとトリプルガラスが新築で当たり前の時代が来るのは間違いないと思います。今10年後を見据えて、新築を建てる人は樹脂窓、トリプルガラスをした方が良いよというくらいオススメしたいです。   米山さん ➣私はリフォーム・リノベーションを担当しているのですが、住宅取得の在り方っていうのも特に一次取得の方は少し変わってくるのかなと思っています。まず、一次取得の方は中古マンションを買うのか、または中古戸建を買うのか、新築分譲を買うのか新築注文をするのか、選択肢がいっぱいあると思います。どの選択肢を選んだ時にも、イニシャルだけでなくランニングまで含めて、自分達がこの先10年この家に住むのにどうしたらいいのかって考えた時に、一度窓辺を見ていただき、窓って大事なんだなって少しでも伝わったら良いと思います。人生100年時代と言われて結構変わりますけど、60、70で定年延長とかもありますけど、一旦60の時にご自身の家を振り返っていただいた時に、あと40年生きると考えたら、冬場は3ヶ月で過ぎるかもしれないですが、窓辺を見ていただいて、そこに手を加えるだけで随分快適になるんだなっていうのを是非知っていただいて、我々もその活動を一生懸命していきたいと思います。   高橋、石川さん、米山さん ➣ありがとうございました!   ▶高性能な住まいの相談室はこちら  

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YKKAPさんに聞く良い窓の選び方④

2021.07.17

YKKAPさんに聞く良い窓の選び方④

YKK APさんとの対談、全5回中今回はその第4弾です。   高橋 ➢内窓を設置した場合に、従前の外側の窓の結露については、変わるのでしょうか?   石川さん ➢かなり減りますね。性能の低い窓だと、部屋全体の湿度を持った空気が、冷たくなった窓に当たって結露をしていました。 それが、内窓をつけると内窓と外窓の間の空間に入っている水分量が最大で、部屋の中の湿度と温度の高い空気は移動しないので、内窓と外窓の間で少し結露するくらいです。   高橋 ➢つまり、内窓自体がある程度気密がとれていて、内窓と外窓の間と室内ではそんなに空気が行き来しないということですね。   石川さん ➢そうですね、よくハニカムスクリーンと比べられるのですが、ハニカムスクリーンは湿度が移動してしまいます。   高橋 ➢ハニカムスクリーンは結露が増えるとよく聞きますね。   石川さん ➢湿度が通ってしまうため、真ん中の空間が冷えてしまい、より結露が起こりやすくなります。内窓の場合は、湿度が真ん中には行かないので、結露が起こらないということです。   高橋 ➢なるほど、根本的にハニカムスクリーンとは違うんですね。   米山さん ➢素材が違うので、ハニカムスクリーンと違って、湿度を通さないのが大きいですね。   石川さん ➢内窓設置後の結露については、まったく無くなる訳ではないのですが、すごく減りますね。   高橋 ➢そうなんですね。内窓は、気密はそんなにとれていないとばかり思っていました。   米山さん ➢工事も1番簡単で、むしろガラス交換より簡単かもしれないですね。1箇所だと早くて30分程で終わるのではないでしょうか。我々のカタログ上では60分と記載しておりますが、設置自体は本当に簡単です。   高橋 ➢コストが約120万円っていうのは、30坪程度の家の全ての窓ということでしょうか?   米山さん ➢はい、そうですね。窓が19か所という想定です。   高橋 ➢当社に相談に来られる方は新築がメインで、40代の方が多いのですが、実家が寒いというお話をよく聞きます。120万円でご両親の家の性能をガラッと変えることが出来るのであれば良いですね。誰がお金を出すかは別として、ヒートショックで介護が必要になってしまったとか、施設に行かなければならなくなったとか、本来相続できたものが施設費用等になってしまう可能性を考慮すれば、120万円を投資と考えても悪くないと思いますよとお話させていただいています。   米山さん ➢本当にそうですよね。意外と普及してきたということもあって、マーケットの価格も少し落ち着いてきたのか、以前よりはお求めやすくなっているかと思います。 実は父の日に父親の寝室に窓のリノベをプレゼントしたんですが、工事をする前は「やってもしょうがないし、いらない」と言われていたのに無理やり付けた方がいます。工事後は効果がてき面で父親が「家中やって欲しい」という話になったという話も聞いたことがあります。   高橋 ➢そうなんですよね、お年召した方々って、「今更そこにお金を使う必要は無い。むしろ、我慢することが美学だ」と思ってらっしゃる方が多くて、すごくもったいないですよね。   ➢家1軒の工期はどれくらい必要なんでしょうか?   石川さん ➢3日間見ていただいているという感じですかね。   高橋 ➢工事は、住みながらで問題ないですよね。 断熱材を入れる断熱フルリノベと比べると、遥かに値段も安いし住みながらで済むんですね。   米山さん ➢断熱リフォームや断熱改修をお考えであれば、まずは優先順位は「窓」その次に「床」、夏のことを考えると「天井」。これだけなら壊さないで施工できます。それで軽自動車1台分くらいの費用でいけるのかなと思います。   石川さん ➢昔の家って、床が寒いですよね。点検口等を開けてもらうと下が土になってるじゃないですか、もうほぼ外ですよね。なので床は効果があると思いますね。よく床暖房を後から入れますって聞くのですが、確かに一瞬そこだけが快適になるのですが、熱がだだ漏れなんですよね。床暖房を後からするくらいなら、床断熱をした方が絶対に良いですよね。   高橋 ➢窓をリノベすることで、どれくらい快適になるかとか、光熱費がどれくらい変わるかをご説明いただけますか?   米山さん ➢こちらのスライドをご覧ください。1980年築の家を想定しており、オレンジ色がLDKの室温、緑色が洗面室、ピンク色が寝室、青色が外気温となっています。朝起きて23℃設定でエアコンを付け室温が上がりますが、夜寝る時に切ると次の日の朝までに大体13℃程下がっていることになります。これが80年代の平均的な住宅性能になります。 ここに、1階の窓だけに内窓を付けた場合、朝の温度が先ほどの5.4℃から7.6℃まで改善しています。大して変わらないように見えますが、2℃の差は体感ではかなり違います。 これらの家の暖房費の比較をしてみると、最初の家ではエアコン費用が年間7.1万円かかっていたのですが、内窓設置後は5.4万円となっています。年間2万円弱の削減になりますし、間違いなく体感も変わりますね。   高橋 ➢一般の方々は、暖房の光熱費よりも冷房の光熱費の方が高いと思っている方が多いのですが、圧倒的に暖房費の方がかかっているんですよね。   米山さん ➢そうですね。まず、冷房と暖房では、使っている日数が違いますよね。冷房は、7,8,9の3か月間。それに対して、暖房は、11月から3月くらいまで使うことがありますよね。 そもそも、冷房は、夏場の外気温32℃を28℃まで下げると4℃差になりますよね、冬は外気温5℃を20℃まで上げると15℃差になるので、やはり暖房費の方がかかりますよね。   高橋 ➢家の中で、熱中症で亡くなっている方と、ヒートショックで亡くなっている方を比べると、圧倒的にヒートショックで亡くなる方の人数が多いですよね。   米山さん ➢ニュースでの取り上げられ方が違いますよね。   高橋 ➢話が変わりますが、以前の家では「ジャロジー窓」をよく見たのですが、あれは隙間風が入ってきそうで良くないのかなと思うのですが、どうでしょうか?   米山さん ➢そうですね、以前の家では、水回りによく使われていましたよね。ジャロジー窓は、ガラスとガラスが接しているだけなので、ここに気密という考え方が存在していないんですよね。なので性能としてはかなり低いというのが事実です。やはりそこを塞いであげようとなると内窓をつけるか、カバー工法による外窓交換ですね。ただジャロジー窓にはハンドルが付いているので、内窓がつけにくいんですよね、なので、外窓交換で開きのものや上げ下げのものにしていただくと、特に水回りの体感はガラッと変わりますね。   石川さん ➢あれは、20年位前に流行りましたよね、脱衣所やトイレなど、ヒートショックが最も危険なゾーンによく使われているんですよね。なのでかなり問題視しないといけないですよね。そこを直してあげるだけで大分温度環境が良くなります。元々南国のハワイとか南の国の窓ですよね。お洒落ではありますけどね。   米山さん ➢もはや今はもう無いですね。   高橋 ➢そういった弱点を、住んでいる方がどれくらい認識しているかですよね。   この続きは第5弾(最終回)でお送りします!   ▶高性能な住まいの相談室はこちら

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YKKAPさんに聞く良い窓の選び方③

2021.07.07

YKKAPさんに聞く良い窓の選び方③

YKK APさんとの対談、全5回中今回はその第三弾です。   高橋 ➢日本の住宅の断熱性能は玄関が弱点だという話を聞くのですが、いかがでしょうか?   石川さん ➢そうですね、断熱にこだわった玄関では、当社の商品では2~3種類ございます。   玄関のそのものの性能もすごく大事です。 それに加えて、玄関は1日で何回も開くので、玄関ドアの性能以上に冬は寒く感じる人が多いと思います。引き戸であればさらに寒いですね。 そのため、玄関ドアの性能はもちろん、それに加えて、玄関とリビングとの間を仕切れるような設計をされた方が良いかなと、個人的には思います。   米山さん ➢最近の間取りは開放的なものが多くなってきています。 そのため、玄関の性能の重要性に対する意識が、昔に比べると、変わってきたなと感じます。   石川さん ➢昔の間取りは玄関を開けると階段がありますよね、そうなると冷たい空気が家の中を駆け巡る設計になってしまっています。そのため、そこにドアを置くとか、リビングにドアを置くプランが増えている理由も、そこで遮断出来るという理由が大きいかと思います。   米山さん ➢リビング階段の上から冷気が降りてくるという傾向があります。 建物全体の性能が良ければ良いのですが、1階だけに部分的な断熱して2階が手付かずの場合は、結局冷気が降りてきてしまうことになります。結局2階にドアを付けることになるという話もよく聞きますね。   石川さん ➢リビングに階段がある家が流行りだからと取り入れてしまうと、家の性能が足りていないと暖房も冷房も効かない家になってしまいますね。 断熱性能をきちっとした上で、玄関の性能はもちろん、且つリビングと玄関を遮断するような設計をすると、リビング階段も快適になるのかなと思います。     高橋 ➢窓を例えば、APW330を選んだ場合、それと組み合わせるべき玄関はどれになりますか?   石川さん ➢もちろん、玄関も性能が良い方がいいのですが、APW330とよく組み合わされているのは、VenatoD30ですね。   高橋 ➢D2仕様とD4仕様の違いは何ですか?   石川さん ➢扉自体は一緒です。主に枠の断熱性能の違いになります。   高橋 ➢先ほど、日射取得・日射遮蔽のお話がありましたが、YKK APさんのアウターシェード等の商品について教えていただければと思います。   石川さん ➢アウターシェードと外部ブラインドの商品がございます。   左側のアウターシェードは、日射取得型の窓に付けていただき、真夏の日射遮蔽に使っていただく形になります。6割程度の熱をカットすることが出来ます。   右側の外部ブライドという商品ですが、窓の外側にブラインドが付いています。部屋の内側にブラインドを付けている方がほとんどだと思いますが、ブラインド自体が熱くなってしまい、その熱で窓際がすごく熱くなってしまっています。原則として、日射による熱を遮断する設計をする場合は、ガラスの外側に設定することが望ましいです。   高橋 ➢アウターシェードと外部ブラインドでは、値段はだいぶ違ってくるのでしょうか?   石川さん ➢アウターシェードはお手軽で数万円からあるので、南面や西面に付けていただければと思います。一方ブラインドのメリットは、光の調整や通風のコントロールが可能なところですね。   高橋 ➢今度はリノベーションについて、お話をお伺いしていきたいと思います。 古めの戸建住宅だとアルミの単板ガラス、良くてもアルミのペアガラスだと思うのですが、そういった窓と最近の窓の性能だと、どう違うのでしょうか?   米山さん ➢こちらはカタログですが、「窓はここまで進化した」と整理されております。 今の最高水準の窓「樹脂フレーム+ダブルLow-Eトリプルガラス」ですと、1960年代頃比べて7倍もの断熱性能がアップしております。もう少しスタンダードな窓ですと「樹脂フレーム+Low-E複層ガラス」になり、約4倍の性能になります。   また、現在の新築住宅でスタンダードに使われているのは「アルミ樹脂複合フレーム+複層ガラス」でして、大体2倍の性能になるかと思います。   高橋 ➢築40年程の戸建やマンションについて、窓の断熱リノベっていうと、どのような選択肢があるのでしょうか?   米山さん ➢窓は熱的には最大の弱点です。しかし裏返すと、窓さえ何か手当てをすると、弱点はある程度防ぐことが出来ると言うことになります。   一般的に夏は74%、冬は52%もの熱が窓から出入りしていますので、窓の断熱リノベを実施することは効果が高いことが分かります。   石川さん ➢この数字は、実はアルミ複層ガラスなんです。築40年くらいですと、アルミの単板ガラスが一般的ですから、この数字はもっと大きくなります。   米山さん ➢そもそも、窓ってリフォームできるんですか?とよく聞かれるのですが、出来ます。   やはり、住みながらでコストパフォーマンスが高く、しかも効果が高い商品を望まれると思うのですが、そうなると内窓設置が一番効果が高くなります。ただ、内窓設置の場合は、窓を開ける際に、2枚の窓を開けなければならなくなります。   それに対して、外窓交換(カバー工法)という方法があります。これは今ある窓のガラスの戸だけを外して、新しい窓を枠ごと入れるというものです。そのため、窓の大きさが少し小さくなってしまいます。 ちなみに、当社は外窓交換に凄く力を入れております。外窓交換でトリプルガラスの樹脂窓に取り換えられることもできます。   高橋 ➢断熱性能でいうと、外窓と内窓はどうなのでしょうか?   米山さん ➢外窓交換では、はめ込む窓の種類を選ぶことが出来るので、その窓によって変わってきます。内窓について素材は樹脂になり、従前の窓の結露等も減らすことが出来ます。   この続きは第四弾でお送りします!  

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YKKAPさんに聞く良い窓の選び方②

2021.06.30

YKKAPさんに聞く良い窓の選び方②

YKK APさんとの対談、全5回中今回はその第二弾です。   高橋 ➢普通の暮らし方をする前提で、東京や横浜のような6地域で結露が起きない窓の選び方としてはどうすると良いのでしょうか?   石川さん ➢まず、結露についてご説明しますと、暖かい空気は多くの水蒸気を含むことができますが、冷たい空気をあまり含むことができません。水蒸気を含んだ暖かい空気が冷たい何かに触れると、急にその空気が冷やされて、水蒸気を保持できなくなり、水になります。これが基本的な「結露」の仕組みです。そして、その温度が「露点温度」と呼ばれています。   室温が20℃の場合、相対湿度40%だと露点温度は6.0℃、相対湿度50%だと露点温度は9.3℃になります。 つまり、室内の湿度によって、結露が起こったり起こらなかったりということになります。   図を見ていただくと、アルミ樹脂複合窓の場合、朝起きると窓の下の部分が結露を起こしている可能性は高いかと思います。 樹脂窓のAPW330では、普通に過ごす分には1年を通して結露が起こることはほぼ無いかと思います。 APW430になると、結露はまずしないと言って良いくらいだと思います。   高橋 ➢図のアルミ樹脂複合窓の1番下の部分が2.2℃となっていて、そこが弱点なのかなと思いますが、ここはどういう箇所になるのでしょうか。   石川さん ➢ 6.9℃部分が窓ガラス、その下は木の額縁と呼ばれる部分です。2.2℃の部分は壁の中ということになります。アルミ樹脂複合窓は、室内から見えているところは樹脂なので、結露はほぼ見えないのですが、他はアルミが使われているため、凄く温度が伝わりやすい構造になっています。   高橋 ➢では2.2℃の部分は「壁内結露」が起こっているということですね。 見た目では分からないが、実は見えない壁の中で結露が起きているということでしょうか? これは、かなり怖いことですよね。   石川さん ➢そうですね、なのでフレーム全体が樹脂で出来ている「樹脂窓」が海外ではよく使われています。   高橋 ➢聞いてみないと分からない話ですね。壁内結露が起きるということは、家の耐久性にも影響する話ですね。   当社のお客様は横浜や東京に建てる方が多く「防火窓」にせざるを得ないため、コストアップになりネックになりがちなのですが、大体どれくらいのコストアップが目安と考えると良いのでしょうか?   石川さん ➢樹脂窓の防火ではないものと、防火のもので比べると、大体2.5倍~2.8倍するので、前回、防火窓でなければ100万円くらいの価格アップと先ほどお伝えしましたが、防火の場合は150万円~180万円くらい価格が上がってしまいます。 ただ、準防火地域や防火地域であれば、アルミ樹脂複合の防火窓もそれなりに高価なので、それに比較すると、やはり100万円くらいのコストアップになります。   高橋 ➢また、UA値0.46(G2レベル)の高断熱にしたいというお客様が多いのですが、付加断熱が要るのか要らないのか微妙なラインですよね。 窓の選択も変わってくると思いますが、目安はあるのでしょうか?     石川さん ➢「窓の性能と家の断熱性能」というデータをご覧ください。ざっくりですが、APW330のガス入りを選んでいただければG2レベルの射程圏内になります。なので、付加断熱が無く充填断熱でも可能かなというところです。 ただし、ぎりぎりなので、補助金等で0.46以下が必須の方はAPW430のトリプルガラスを使っていただく方が無難です。   高橋 ➢次は気密性の確保について伺います。 窓は弱点になりがちですが、その観点から窓の選び方のポイントはありますか?   石川さん ➢気密の試験は数字がブレることが多いので、気密性能についてはあまり公表していないのですが、総論で言いますと下記の図のようになります。   北海道に行った時に周りの窓を見て欲しいのですが、引違い窓はほとんどついていないんです。(昔の家にはついている家もありますが。) 寒い地域では、縦すべりだし+FIX窓が当然のように使われている理由は、気密性能が良いからということです。   また、気密の性能が一番良い窓は?というとドレーキップ窓(ツーアクション窓)になります。 当社ではツーアクション窓と言っております。ハンドルの位置によって「内倒し」と「内開き」の2つの開閉方式をすることが出来ます。非常に気密性能が出しやすい商品となります。   普段は内倒し状態で換気等に使用いただき、掃除の際は内開きにすると外面も室内から簡単にふけるので、便利です。 実は、ヨーロッパ(主にドイツ)では年間の出荷の半分以上がこちらのタイプの窓のようです。   高橋 ➢それからガラスの種類について、日射遮蔽型と日射取得型のお話いただければと思います。   石川さん ➢Low-Eガラスというものがありまして、それは2枚のガラスの内側に金属の膜が吹き付けられているものです。この金属膜を張ることで入ってくる熱を防ぐし、出ていく冷気も防ぐような放射ガラスという位置付けになります。   この塗膜の仕方に2種類あり、ざっくり言うと強めにするか弱めにするかという違いになります。 強めにすると日射を遮断するので、夏に効果を発揮する「日射遮蔽型」になります。反対に、弱めにすると冬に日射を入れるようにする「日射取得型」になります。   高橋 ➢ではこれらの使い分けはどのようにすると良いのでしょうか?   石川さん ➢簡単に言うと、南面には「日射取得型」を使用し、東西北面には「日射遮蔽型」を使っていただければと思います。   高橋 ➢工務店やハウスメーカーに任せておけば、このように使い分けしてくれるのですか?   石川さん ➢実は、現在はあまり使い分けられていないので、そこは、課題ではあります。逆に言うと、その使分けをきちんと行っている工務店等は、建物全体のことをかなり考えている会社と思っていいと思います。   米山さん ➢南側に日射取得型を採用するということは、夏季の庇やシェードなどによる日射遮蔽をどう考えるかということと表裏一体なので、設計思想がきちんとしていないとだめなんですよね。   高橋 ➢実際に使い分けた時の住み心地であったり、光熱費の変化についての目安はありますか?   石川さん ➢こちらのデータをご覧ください。 東京だと、ガラスを使い分けて最適バランスにするだけで、冷暖房光熱費が年間5,000円以上下がります。 さらに、埼玉県や群馬県等、もう少し寒いエリアだと、この差はもっと大きくなります。   この続きは第三弾でお送りします!   ▶高性能な住まいの相談室はこちら

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YKKAPさんに聞く良い窓の選び方①

2021.06.19

YKKAPさんに聞く良い窓の選び方①

YKKAP株式会社 営業本部 住宅事業推進部 窓事業推進部長 石川 創さん YKKAP株式会社 リノベーション本部 事業企画部長 米山 浩志さん 以上のお二人をお迎えして、当社の高橋が窓の選び方について伺いました。 対談形式で全5回にわたって、ご紹介していきますが、今回はその第一弾です。   まず、お二人のプロフィールをご紹介します。   石川さんは樹脂窓部門の責任者をされています。   米山さんは窓のリフォームとリノベーションを担当されており、まだ充分に認知されていない窓のリフォームについて、ユーザーの方への需要・普及拡大を目指して活動されています。   高橋 ➢日本の住宅の性能は先進国の中でも非常に低く、中でも窓の性能は非常に重要なのですが、最初に諸外国と日本の窓の違いについて、教えてください。   石川さん ➢まず、日本には、家そのものに対して、適合させなければならない断熱に関する基準がありません。下の図は、それぞれの国の窓の断熱性能に関する基準です。   断熱性能基準は値が小さければ小さいほど、性能が良いことを意味します。 諸外国では、非常に厳しい断熱性能基準が定められており、しかも義務化されています。 一方で日本では、基準自体も非常に緩く、義務ではなくあくまで推奨数字でしかないため、基準に達していなくても家を建てることが出来てしまいます。また、そういった歴史背景が非常に長いため、窓の性能含め、良い性能のものが普及していくスピードが非常に遅いというのが残念ながら日本の現状です。   高橋 ➢つまり、日本は基準も緩く、義務化もされていない。他の国だと使うことが許されない低性能のサッシが使われているということですね。   石川 ➢そうです、他の国は法律で決められています。国によって、家全体の性能を定めているのか、窓の性能を定めているのか等の違いはあります。 棒グラフの高さは性能の高さを意味していまして、例えば、日本のグラフに【1,2,3地域】とありますが、それは北海道や東北などの寒い地域を意味し、U値2.33[W/㎡・K]という断熱性能基準になっていますが、それはドイツ全土の断熱性能基準である1.3という数字よりも2倍近く緩い基準です。 また、中国の南側にある比較的暖かい【夏暑冬冷地区】でも2.5~2.8という基準が定められていますが、その基準は日本における【1,2,3地域】である北海道や北東北のような非常に寒い地域とほぼ同じ数字であることからも、日本の基準は非常に緩いということがお分かりいただけるかと思います。   高橋 ➢日本の【6地域】である東京、横浜、名古屋、大阪、福岡という温暖な主要地域だと4.65という数字になるわけですね。   石川さん ➢はい。窓の性能基準の有無の結果として、各国で樹脂窓の普及率に差が出ています。 日本では、性能が最も良いとされる樹脂窓の普及率は22%(2020年度)です。一方で、ヨーロッパや韓国・アメリカなどの諸外国では6~7割が樹脂窓になっています。ヨーロッパでは、樹脂窓以外はほとんどが木製サッシです。海外ですと、高性能な窓を使用することは当たり前ですが、日本は普及が遅れています。今、日本では、アルミと樹脂複合窓という、アルミの内側に内側が樹脂で出来ている商品が最も流通しています。   米山さん ➢諸外国と比較するとまだまだですが、10年前の樹脂窓普及率は7~8%でしたので、この10年でも樹脂窓化は進んだという肌感覚はあります。   高橋 ➢YKKAPさんだけで見ると、樹脂窓の比率は上がっていますか?   石川さん ➢当社の10年間の樹脂窓の販売推移は次の図になります。構成比でいくと19年で26%、20年だと30%弱と、年々増えてきています。義務化されていないため、急激な増加はありませんが、高橋さんのように断熱の大切さを伝えていただいている方が増えてきたおかげで、「樹脂窓が良いよね。」というお声は増えてきています。       高橋 ➢今後のシェア目標はありますか。   石川さん ➢当面の目標として、市場全体の30%を樹脂窓にしていこうと考えています。そのためには、逆算するとYKKAPとしては、樹脂窓の構成比を4割にする必要があると思っています。   米山さん ➢実はリフォーム増改築での樹脂窓の伸びがあまり良くありません。リフォームは設備の更新という意識が強いため、シングルガラスがペアガラスになることはありますが、今アルミのものがついているとすると、同じアルミのものに取り換えるパターンが多いです。   高橋 ➢それは技術的に樹脂に取り換えることができないのですか?それとも、なんとなくアルミのままになっているのですか?   米山 ➢なんとなく同じものに取り換えているパターンが多いです。我々の努力不足を痛感しています。“せっかく更新するのであれば、より良いものを使っていこう”という活動が足りないと感じています。せめて、同じものではなくて、アルミ複合や樹脂という少しでも高性能なものに変えていただくだけで、住む方の暮らし方が随分変わってきます。感覚的にはリフォームの領域で見ると、素材別に見ると半分はアルミのままの更新になっていると思います。   高橋 ➢米山さんの役割は重要ですね!   石川さん ➢プロの方からも“高性能な窓は良いもの”というアドバイスがもっとあるとありがたいです。樹脂窓の良さは、びっくりするくらい体感できますので。   高橋 ➢YKKAPさんの樹脂窓の商品ラインアップを教えてください。   石川さん ➢当社の樹脂窓は、APWの330と430という2つのシリーズのラインナップになります。   地図の囲みは、新築住宅での使用を想定した商品ごとの推奨エリアで、青の囲みエリアでは高性能トリプルガラス樹脂窓、ピンクの囲みエリアではスタンダード樹脂窓を推奨しています。最近ではエリアを超えて、西日本や九州でも高性能トリプルガラス樹脂窓をご採用いただくことも増えてきました。暖かい地域では、びっくりするくらい冷房の効きがよくなるので、暑さにも性能を発揮します。それを考えると、このデータは古いかもしれないですね。   高橋 ➢つまり、6地域で430を使っても良いということですね! 例えば、約30坪の戸建て住宅でAPW330からAPW340に仕様を上げるとすると、大体いくらくらいのコストアップになりますか?   石川さん ➢工務店さんや窓種にもよりますが、大体プラス100万円、もしくはもう少し少ない金額くらいではないでしょうか。   高橋 ➢性能を上げると快適性や健康面のメリットだけではなく、また光熱費も下がりますよね。   石川さん ➢そうです。こちらをご覧ください。 こちらは東京と盛岡のデータになります。冬24℃、夏25℃のエアコン温度設定を前提とした場合に、東京のアルミサッシが元々付いていた場合と比較するとAPW330に付け替えると16,400円/年、APW440に付け替えると19,900円/年お得になるというデータがあります。もし、エアコンの冷暖房効果をさらに上げると、よりお得になるかと思います。 例えば、盛岡のように東京より冬は寒い・夏は暑いエリアだと、より冷暖房効果が必要になるので、お得になるという計算です。   高橋 ➢この計算の想定は、部分間欠冷暖房か全館冷暖房のどちらですか?   石川さん ➢部分間欠冷暖房で計算しています。あくまで充填断熱で、窓だけ性能を変更した場合を想定した計算になります。   高橋 ➢全館冷暖房にすると、よりメリットが出るということですね。   石川さん ➢そうですね、建物自体の性能が上がるとより効果は上がります。性能の悪い家を全館冷暖房にすると、光熱費がとんでもないことになるので、あり得ないと考えています。   高橋 ➢そうですね。そこの比較が難しいですね。   石川さん ➢この計算は従来の在宅時間を想定していていますが、今はテレワークも増えているのでこの数字以上のメリットがあるのではないでしょうか。   この続きは第二弾でお送りします! ▶高性能な住まいの相談室はこちら

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"WITHコロナ時代”住まいづくりが急速に変化している その③

2021.06.08

"WITHコロナ時代”住まいづくりが急速に変化し...

これまで、その①・その②では、「在宅時間が長くなる観点」「家の健康性能がより大切になるという観点」からお話をさせていただきました。 今回その③では、「家での仕事や学習が多くなるという観点」から、まずは「リモートワークに適した間取り」についてお話をさせていただきます。   まずは下のグラフをご覧ください。   株式会社リクルート住まいカンパニーが、2020年5月に実施した「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態」調査となります。   その中の「テレワークに対する不満」1位が「オンオフの切り替えがしづらい」、2位・3位は「仕事用のスペースがない」「仕事用のデスク/椅子がない」、そして「1人で集中するスペースがない」「遮音性が低い」など、住まいの間取り等に起因してテレワークがし難いという意見が出ています。   また「オンライン(Web)/テレビ会議実施場所」について、下図をご覧下さい。   1位が「リビング」となっており、独身や既婚、子どもの有無に関係なく多いことが分かります。個人的な意見としては、やりにくいだろうなぁと思います。   しかし、これからもテレワークというものは続いていくだろうと思われますので、そのための場所・環境を確保することは、非常に重要なことだと言えます。   とは言っても、中々実際には場所の確保は難しいかと思いますが、例えば収納スペースのような1畳の空間でも、オンライン会議が出来る空間にすることは可能です。 そして既存住宅の場合での遮音性の確保については「インナーサッシ」を入れると、遮音性がかなり上がります。 普通の大きさの戸建住宅の窓すべてのインナーサッシ化は、100万~150万円程度で可能です。遮音性だけでなく、断熱・気密性能の向上にもなり、夏・冬快適に過ごせるようになりますので、ぜひ検討してみて下さい。   新築される場合でしたら、高気密・高断熱住宅にしていただければ、それに伴い遮音性も上がりますので、こだわる意味はあるかなと思います。   そして、最後に「子どもが賢く育つ家」についてお話したいと思います。   現在、在宅での学習時間が増えてきているかと思います。   少し古い本ですが「頭のよい子が育つ家」という本があります。   中学受験で有名中学校に合格した子どもたちが、どのような自宅や子ども部屋で勉強していたのかを、徹底的にリサーチしたものとなっています。   そこで明らかになったことは、頭の良い子どもたちは、立派な子ども部屋で勉強してはいなかったのです。   多くの子どもたちは、お母さんが居るリビングやダイニング、またお母さんの気配が感じられる場所を選んで勉強しているということです。   お母さんとなんとなく繋がっている安心感を抱ける場所で、集中することが出来るということでした。   ダイニングに家族が自然と集まり、子どもが勉強するスペースとしてプランニングすることがとても大切だということです。   また、2階に子ども部屋を置く場合では、家中の室温を均質にできる、高気密・高断熱住宅が望ましいと思います。そうすることで家族の存在を感じられる、オープンな空間にすることが可能となります。   併せて、家族の絆を創る場所も、リビングからダイニングに移ってきていると言われています。   以前はリビングで家族一緒にテレビを見る光景が一般的でしたが、ここ近年では、家族それぞれがスマホやタブレットを見る場になってしまっており、家族のコミュニケーションの場ではなくなりつつあります。   そのため、家族一緒にダイニングで食事を摂る時間が重要になってきています。   家族が自然に集まる場としての、ダイニングの重要性を意識することが大切です。   ▼当社が連携しているダイニングコンサルタント黒羽雄二氏のサービスに興味のある方は下記サイトをご覧ください。 https://sml-support.com/dining ▶高性能な住まいの相談室はこちら

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"WITHコロナ時代”住まいづくりが急速に変化している その②

2021.05.31

"WITHコロナ時代”住まいづくりが急速に変化し...

前回は在宅時間が長くなるという観点から「快適に過ごせる家」が重要であるとお話しました。   同じ観点から「家事が楽になる家」も大切ですが、こちらは下記の動画で詳しく説明しておりますので、ご覧いただければと思います。   ▼住宅の性能を上げると家事も楽になる! https://youtu.be/88NXbN-XIFc     同じく、在宅時間が長くなるという観点から「光熱費が気にならない家」ということが重要です。   日本では、車に関しては燃費性能が重視されていますが、なぜか住宅の燃費性能はほとんど意識されていないというのが現状です。   しかし、ヨーロッパの国々では住宅の燃費性能を表示することが当たり前に行われています。     こちらはドイツの不動産屋さんの店頭ですが、この住宅の燃費性能が赤丸内の矢印で示されています。   日本では駅から徒歩何分であるか、という情報を重視していますが、それと同じくらい重要な情報として燃費性能を意識して、住まい選び・住まいづくりが行われています。   燃費性能を意識するとどう変わるのか?ということですが以前の動画で詳しくお話しておりますので、ご覧いただければと思います。   ▼燃費性能を意識すると住まいづくりの選択肢が変わる https://youtu.be/1INpf_wCzhs   それでは次に、家の健康性能がより大切になるという観点から、「健康寿命を延ばす家」であることの重要性をお話します。     WHO(世界保健機関)は2018年11月に「住宅と健康に関するガイドライン」を発表しています。そこでは、健康を保つ最低室温は18度でありそれを強く推奨すると言っています。 日本の既存住宅の多くは、冬に家全体を18度に保つことが出来ていないと言われています。 特に、日本の住宅は冬の脱衣室や浴室の温度が低いため、ヒートショックの発生リスクが極めて高くなっています。   高気密・高断熱住宅では、家全体の温度が均質になるので、そのリスクを減らし、健康寿命を延ばすと言われています。 こちらも以前に詳しくお話していますので、下記動画をご覧下さい。   ▼高気密・高断熱住宅に住むと健康寿命が延びるってホント? https://youtu.be/2I4-vVRTOeY   同じく、家の健康性能がより大切になるという観点から「カビ・ダニが発生しにくい家」「ウイルスに強い空間」についてお話します。     こちらのグラフですが「人体の物質摂取量」ということで、人の身体に取り入れられている物質の半分以上が、住宅の空気ということを表しています。     体積ベースではなくて、重量ベースで、57%が室内の空気ということですから、家の中の空気を綺麗にすることが、健康面でとても重要であると分かります。   住宅に発生するカビは、年々大きな問題になってきています。この住宅のカビに起因して、アレルギー等になっている方々が増えていることが明らかになっています。   下図は、近畿大学建築学部長の岩前敦教授の家を新築した方々24,000人に対するアンケート調査の結果です。   新築した家の断熱グレード別に、前の家では症状があったが新しい家では症状がなくなったという「改善率」を表しています。   より高断熱な家に引っ越した方々の方が、症状が改善していることが分かります。 つまり、アレルギーや喘息の症状を抑えるという意味では、省エネ基準レベルの性能では不足しているということです。   では、高断熱の家にするとなぜアレルギーや喘息の症状が抑えられるのかということですが、まだ医学的には立証されていませんが結露との関係と言われています。     EUの国々では「結露を引き起こすのは誤った設計であり、人の健康を害する瑕疵である」と言われています。   日本では、今でも新築の住宅で結露が起きるのが当たり前となっていますが、住宅に要求される性能レベルや考え方が、EUの国々とは根本的に違うということが分かります。     またカビやウイルスに関しては湿度が非常に重要です。   人間にとって快適な湿度は40%~60%の間となり、60%を超えるとカビの増殖が始まります。そして80%を超えると急速にカビ・ダニが増えると言われています。   一方で湿度が40%を切るとウイルスが活性化してしまうので、湿度をしっかりとコントロールすることが重要だと分かります。   内装の仕上げ材として、当社がオススメしている「漆喰」は、強いアルカリ性を持っており、カビ・ダニやウイルスを分解する能力があります。   こちらについても詳しくお話させていただいておりますので、ぜひご覧下さい。   ▼漆喰は理想の内装仕上げ材? https://youtu.be/wBqUJS4NspI それから「電気集塵機」というものがあります。   現在の建築基準法では、新築の住宅では24時間換気設備を設置することが求められており、吸気の部分でフィルターを通して粉塵等をある程度綺麗にし、室内に取り込むということを行っています。   フィルターでPM2.5やウイルスを除去しようと思うと、目が細かく値が張る「へパフィルター」というものを使用しなければいけません。 当然ですが、目詰まりを起こすと換気の効率が落ちてきてしまうので、お金も掛かってしまうし効率も良くありません。   それに対して電気集塵機では、吸気側の入口で空気に電圧をかけイオン化させて、吸着させるという方法です。     ウイルスやPM2.5等もほとんど除去することが可能となり、さらにフィルターが不要のためメンテナンスも簡単でありランニングコストが掛かりませんので、個人的には、この電気集塵機をお勧めしております。   ▶高性能な住まいの相談室はこちら

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"WITHコロナ時代"住まいづくりが急速に変化している その①

2021.05.06

"WITHコロナ時代"住まいづくりが急速に変化し...

WITHコロナ時代になり、住まいづくりの考え方は、大きく変わりつつあります。   まずは『新建ハウジング』という業界紙の「新型コロナ・ステイホームが住生活に与えた影響は?」というアンケート調査の結果をご覧ください。 1番多くの方々が「ステイホーム中は光熱費が高くなった(39.8%)」と回答しています。   2番目が「家族がリビングに集まって一緒に何かをしたり(見たり)会話する時間が増えた(31.8%)」   そして3番目に「家の間取や性能が原因で、ステイホーム中にストレスを感じた(30.3%)」   また「家で食事を作る機会が増え、キッチン(空間)の使い勝手の悪さを感じた(30.2%)」「在宅勤務を行ったが、家の間取りのせいで効率が上がらなかった(14.3%)」など、このように回答されています。   これらを踏まえると、WITHコロナ時代の住まいづくりの考え方は、これまでとは変わってきています。   では、一体どのように変わっているのでしょうか。   まずは、在宅時間が長くなるという観点からは「快適に過ごせる空間」「家事が楽になる家」「高熱費が気にならない家」であることが必要です。   次に、家の健康性能がより大切になるという観点では「健康寿命を延ばす家」「カビ・ダニが発生しにくい家」「ウイルスに強い空間」であることが必要。   最後に、家での仕事や学習が多くなるという観点からは「リモートワークに適した間取り」「子どもが賢く育つ家」であることが必要になります。 特に「快適に過ごせる空間」であることの重要性がより高まっています。住まいの快適性は、高気密・高断熱であることが重要であることは以前お伝えしましたが、「なぜ高気密・高断熱住宅は快適なのか?」と思われた方は、下記の動画で詳しく説明しておりますので、ぜひご覧ください。   ▼高気密・高断熱住宅の暮らしはなぜ快適なのか? https://youtu.be/gMsCWWMy-uM   そして、こちらは省エネ住宅の第一人者である、東京大学の前先生によるアンケート調査でしたね。     この結果から、家を建てた方々にとって「断熱・気密性能と省エネ性能」は2大ガッカリだということです。   言い換えれば、満足のいく家を建てるには、これらをきっちりと確保することが大切であると分かります。   また、写真のように「気密測定」を実施している住宅会社であるかどうかも重要なポイントでした。     この気密測定ですが、かなりの手間暇が掛かるため、実施している住宅会社が非常に限られています。   満足いく住まいづくりのためには、気密測定を実施し、気密性能を確保している工務店やハウスメーカーであるかを確認しましょう。   以上のように「快適に過ごせる空間」には高気密・高断熱の家を目指すことが大切である、ということが分かります。   ▶高性能な住まいの相談室はこちら

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漆喰は理想の内装仕上げ材?

2021.04.20

漆喰は理想の内装仕上げ材?

一般的にはビニールクロス仕上げの家が多いのではないでしょうか。   少し建築コストは上がるのですが、漆喰を選ぶことのメリットはとても大きいと思います。     まず「漆喰って何?」ということですが、こちらをご覧下さい。     上記に加えて、漆喰は「優れた調湿性」を持っています。   アレルギーの原因になるダニは、部屋の湿度が75%になると一気に増えると言われています。   こちらの図は、横軸が「経過時間」縦軸が「湿度」を表しています。   グレーの線が「環境湿度」を表しており、それに対し青色の線が「ビニールクロス空間の湿度」赤色の線が「漆喰空間の湿度」となっています。   ビニールクロスの空間に比べて漆喰の空間では、湿度の変化が穏やかなことが分かります。   ただし、漆喰の調湿能力というのは、漆喰自体にそれほど厚さがあるわけではないので、ある程度限定的です。そのため、調湿能力という観点から漆喰を選ぶということは、違うのかなと思います。   調湿性能をより意識したいのであれば、断熱材を「セルロースファイバー」にして、漆喰+セルロースファイバーにするということが望ましいです。セルロースファイバーについては、別の機会にご説明したいと思いますが、断熱性能以外に、調湿、蓄熱、遮音といった面も優れている断熱材です。   そして、調湿性能という点では、よく、漆喰と珪藻土が比較されています。   珪藻土の方が調湿能力は高いため、調湿だけにこだわるのであれば珪藻土が良いのですが、漆喰のようなカビの胞子を分解する能力はないため、「カビが生えるリスク」があります。   一方、漆喰は、優れた「防カビ性能」を持っています。     上記同様に、インフルエンザウイルス等のウイルスに対しても有効であることが証明されています。   コロナのウイルスに関しては、実験したという話は聞かないため分からないのですが「多分、有効である」と言われています。   このように、居住者の健康、カビやウイルスという面から有効だというのは非常に大きなメリットではないでしょうか。     こちらの写真は、それぞれ同じ温度・湿度条件にした「漆喰の空間」と「ビニールクロスの空間」に、食パンをぶら下げた実験です。   一定時間経過後のビニールクロスの空間では、食パンがカビだらけになってしまっています。 それに対して、漆喰の空間ではカビが全く発生していない状況になっています。   このように大きな違いが見て分かります。 漆喰の空間が、安心・安全であるということが言えるかと思います。   また、漆喰はイニシャルコストは少し高くなりますが、ビニールクロスでは20年程度で張り替えが必要になるのに対し、漆喰はほとんどの汚れは消しゴムで消すことが出来てしまいますし、家具をぶつけて欠けてしまったとしても、チューブ状のリペアセットで簡単に治せてしまいます。   中長期的に考えると、決して高コストではないのではないでしょうか。   是非、高気密・高断熱住宅にするのであれば「漆喰」というのも選択の候補として、ご検討ください。   ▶高性能な住まいの相談室はこちら

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住宅の性能を上げると家事も楽になる!

2021.04.12

住宅の性能を上げると家事も楽になる!

当社にご相談に来られるお客様で、ご夫婦で来られる方の中で多いのが、ご主人は高気密・高断熱住宅にこだわっているが、奥様があまりピンときておらず「主人がYoutubeばっかり見ているんですが、私はよくわからなくて。。。」という方が時折いらっしゃいます。   高気密・高断熱は論理的に、「合理的だな」ということを理解した男性が反応する率が高く、女性の印象としては感性で「ここの空間快適!」と反応する方が多いように思います。   奥様は住宅の性能よりも、キッチンなどにこだわりたい、という方が多いのですが、実は高気密・高断熱にすることは、奥様の方がそのメリットをより多く享受できるのです。   そういった意味では、体験宿泊をして実感することが1つ、もう1つは家事が楽になるということをいかに認識してもらうかが、ご主人が奥様を説得するポイントになると思います。   こちらは「だん」という雑誌です。 2019年03号では「暖かい家は家事楽ハウス!ママが楽しく暮らせる家」という内容で、高気密・高断熱の住まいづくりに関しての情報が分かり易く整理されており、とても良いものになっています。 (今でもAmazonバックナンバーで440円程度で購入可能だったかと思います。)   この本の中で『ママ100人に聞きました。暮らしてみて「変わった」と感じることは?』というアンケート結果があります。   第1位が「光熱費が下がった」こちらは当たり前のことですが45%、それとほぼ同率の43%の方々が「家事が楽になった」と回答しています。   では、どうして高気密・高断熱住宅に住むと家事が楽になるのかということですが、この本の中で書かれているいくつかの中からご紹介したいと思います。   まず、1つ目は「冬の朝にスッキリ起きてすぐに活動できる」     普通の性能の家では、暖房を切って寝ると朝起きた時には布団やベッドから朝抜け出すことが難しい、または朝起きてから暖房を入れ家が暖まるまで活動することが難しいなどで、冬の朝が辛い方が多くいらっしゃるのかなと思います。   それが高性能な家では、暖房を切って寝てもあまり室温が低下しないため、朝スッと起きられる、パジャマ姿のままですぐに朝食の支度に取り掛かることが出来る、これがメリットだということです。   次に2つ目は「冬にキッチンで換気扇を回しても寒くない」     性能が低い家では、換気扇を回すとキッチンがどうしても寒くなるため、長時間換気扇を回すことは辛いという声を聞きます。それに対して高気密・高断熱住宅では換気扇を回してもキッチンが寒くなることはないため、快適になると言えます。   3つ目は「冬の風呂掃除も寒くない」     性能が低い家では、冬のお風呂掃除は辛いのかなと思いますが、そういったことがなくなります。   4つ目は「ホコリがたちにくいので掃除が楽」     なぜホコリがたちにくいのかと言いますと、すきま風がほとんどなく、24時間の換気設備により外気もフィルターを通して入ってくるため汚れた空気が入ってこないことが大きな理由です。 また壁を漆喰の壁にすると静電気が帯びないのでホコリが生じにくいという話もあります。 いずれにしても、ホコリが少ないとはよく聞く話ではあります。   5つ目は「家中が均質な温度なので活動的になる」     6つ目は「結露が起きないので、拭く手間がない」     7つ目は「季節ごとの物の入れ替えの多くが不要に」     8つ目は「子どもが風邪をひきにくくなる」     これは働くお母さんにとって、大きなことではないでしょうか。   9つ目は「洗濯物が室内干しでも臭くならず、すぐに乾く」   これらのことが色々と積み重なって家事がすごく楽になり、生活の質が上がるということに繋がってくると思います。   ぜひ、女性の方々にも認識いただき、高気密・高断熱の住まいを実現していただければなと思います。 ▶高性能な住まいの相談室はこちら  

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高気密・高断熱住宅の過乾燥対策は?

2021.02.24

高気密・高断熱住宅の過乾燥対策は?

前回、高気密・高断熱住宅の1番大きなデメリットということで「冬の過乾燥」というお話をいたしました。   今回、過乾燥対策はどうすれば良いのか、をお話したいと思います。   一般的に考えると、加湿器を使えば良いのではないか?と考えるかと思うのですが、個人的には加湿器はお勧めしておりません。   その理由をお話したいと思います。     加湿器の加湿方式はいくつかあるのですが、一般的に「超音波加湿器」と呼ばれるものが比較的安く売られ、電気代も安く済むということで、1番多く使われています。   この超音波加湿器の1番の問題は、中にカビが発生しやすいということです。   きちんと定期的にメンテナンスをしていれば問題は無いのですが、内部のカビは見えないため、多くの方はなかなかお手入れ出来ていないかと思います。   高気密・高断熱住宅は結露が生じにくいのでカビ・ダニが発生しにくいのですが、結果として加湿器から家の中にカビをばら撒いてしまうことが起こってしまいます。   超音波加湿器以外の加湿方式でも、カビが生じやすいものもありますし、またそうでないものは電気代が高かったりするため、加湿器を使うとせっかくの高気密・高断熱住宅のメリットを活かしにくくなります。   過乾燥対策の有効な対策はいくつかありますが、まずは「室内干し」です。   冬は乾燥気味なので、洗濯物はあっという間に乾きます。     こちらの写真にあるものはパナソニック製のものですが、最初の設計時にプランニングしておくと、動線的にも見た目的にも邪魔にならない所に、室内干しの場所を想定していることをお勧めします。   実は私の自宅が失敗をしておりまして、パナソニック製の物干し竿を取り入れておりますが、プランしている際は「そんなに使わないだろう」と「梅雨時ぐらいじゃないかな?」と思っていたのですが、実際に暮らし始めるとずっと使っています。   2階にリビングがあり、リビング階段で各個室へ降りていくのですが、階段を登り切った所に物干し竿を付けてしまい、ほぼ毎日洗濯物がぶら下がっているため家族はのれんのようにくぐりながら行き来しているという状況になってしまっています。   我が家の最大の失敗だったかなと思っていますので、使う場所と思っているより使うと考えていただいた方が良いのかなと思います。 それからもう1つ、過乾燥対策としてお勧めしているのは、エアコンをダイキンの「うるるとさらら」を使うということです。     うるるとさららは、エアコンで唯一加湿する機能を持っているエアコンです。   給水は不要で、冬の外の空気の中の湿気を上手く取り込み、家の中に送り込んでくれるという仕組みの加湿方式になります。   またカビ対策についても、かなり考えられた仕組みが出来ているようですので、若干高くなりますが、こちらのエアコンを選定するのは有効かなと思います。   ただこれらだけでは、加湿量としては十分ではありませんが、過乾燥の感じは変わると思います。   そして、最後にお勧めしたいのは「壁に調湿機能を持たせる」ということです。   こちらに関しては、工務店・ハウスメーカーによって考え方は色々なので、何が絶対的な答えなのかは難しいところですが、私としては基本的には良いことだと思っています。   具体的には、断熱材に調湿機能を持たせる「セルロースファイバー」です。この断熱材についてはまた詳しく説明したいと思っていますが、新聞紙を粉砕してホウ酸で処理して燃えなくしたものです。     これを、壁に吹き込むという断熱材になります。   これに加えて、壁仕上げを「漆喰」にします。   高気密・高断熱こだわっている工務店では、セルロースファイバーと漆喰の組み合わせを選んでいる会社は結構多いです。 漆喰を使うことのほかのメリットについては、別な記事を参考にしてください。   この2つの組み合わせにより、壁が調湿機能を持つので、キッチンでお湯を使ったり、冬にお風呂に入った後、換気扇を回さずに扉を開けておくと、湿気が家の中に広がり壁が吸ってくれます。   そして湿度が50%程度で維持され、それ以上下がると逆に壁が湿度を放湿してくれるため、常にとても快適な環境に繋がります。   なお、セルロースファイバーで仕上げにビニールクロスを使用してしまうと、調湿機能が十分に生かせないので、調湿機能が生かせる仕上げ材を選ぶということが大切になります。   こういったことで、高気密・高断熱住宅の欠点である、冬の過乾燥対策に対応できるので、非常に快適な暮らしが実現できます。   ▶高性能な住まいの相談室はこちら

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高気密・高断熱住宅の欠点とは?

2021.02.04

高気密・高断熱住宅の欠点とは?

  高気密・高断熱住宅には、基本的にはメリットばかりであり、デメリットはほぼ無いと言って良いと思います。   最大のメリットは、経済的に得だということです。   建築費については少し上がりますが、その分以上に光熱費が安くなります。住宅ローンを組むのであれば、通常は住宅ローンの支払額の増加分以上に光熱費が下がります。   第2に、ヒートショックリスクがなく、カビ・ダニ等のアレルゲンが発生しにくいので、健康に暮らすことができます。 第3に、クオリティ・オブ・ライフ向上すると言って良いくらい、人生を快適に暮らすことができます。 これらのメリットについては、以前にご説明してきた通りです。   このようにメリットばかりですが、デメリットは2つだけあります。   1つ目は、大したデメリットではないのですが、高気密・高断熱住宅は遮音性が高いため、とても静かな環境です。   これは基本的にはメリットではありますが、逆に言うと家の中で発生する音がちょっと気になります。   特にトイレの配置だけは気を使った方が良いのかなとは思います。来客時にリビングの隣にあったりすると、なんとなく気まずかったりもします。   2つ目の方が、大きなデメリットですが、冬の過乾燥といって、室内が乾燥してしまうということです。   そのため、高気密・高断熱住宅は、調湿を考える必要があるのです。 では、どうして過乾燥が起きてしまうのでしょうか? 日本の冬は、多くの地域では、そもそも外気が乾燥しています。   普通に暮らしていても乾燥しがちではありますが、高気密・高断熱住宅に住むと、さらに乾燥してしまう理由は大きく2つあります。   1つは、通常はエアコンを使い、ガスファンヒーターや石油ストーブ等の燃焼系暖房機器(開放型暖房機器)を使わなくなるからです。   どういうことかというと、例えばプロパンガス。   このように、暖房すると同時に、化石燃料の燃焼は水蒸気を発生させますので、結果として加湿していることになっています。 高気密・高断熱住宅は、エアコンを使うため、これによる加湿がなくなります。   2つ目の理由は、高気密・高断熱住宅は、単純に「暖かい」から、ということなんです。 少し難しい話になりますが、湿度には「絶対湿度」と「相対湿度」の2種類があります。同じ絶対湿度ならば、室温が上がると相対湿度が下がってしまい、乾燥を感じるのです。 高気密・高断熱住宅が過乾燥になるのはこちらの方が要因としては大きいと思います。   では、高気密・高断熱住宅での過乾燥対策はどうすれば良いのか?   それについては、次回お話できればと思います。   ▶高性能な住まいの相談室はこちら

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​​​​​​​高気密・高断熱住宅の暮らしはなぜ快適なのか?

2021.01.20

​​​​​​​高気密・高断熱住宅の暮らしはなぜ快...

高気密・高断熱住宅の暮らしは、とても快適です。   個人的には「Quality of Life」人生の質が変わるといっても、過言ではないと思います。   ではなぜ快適なのか?   理由はいくつもあるのですが、その1つは「コールドドラフト」が起きにくくなるためです。     暖房した空気は軽いため上にあがり、性能が低い家では外気の影響で壁や窓が冷えていますので、そこに触れた空気が冷やされて足元におりてきます。   これをコールドドラフトといいます。   このために、日本の住宅は足元が寒くなってしまい、床暖房が好まれています。   高気密・高断熱住宅にすると、この現象が起きにくくなるので、床暖房が必要なくても快適に暮らすことができます。   床暖房は、設置費用、つまり「イニシャルコスト」や「光熱費」が結構高いため、そこにお金をかけるのであれば窓の性能を1グレード上げる方が、遥かに賢い投資かと思います。   もう1つは「輻射熱」の影響が少ないということです。   輻射熱とは、熱移動の三原則のひとつです。 そして、人の体感温度は、輻射熱が大きく影響するため、室温と壁面温度の平均値と言われています。 こちらの図をご覧ください。   これは、断熱性能が低いと壁や床等からの輻射熱で、冬は寒く、夏は熱く感じるということです。   この2軒の家ですが、左側が「低気密・低断熱の家」右側が「高気密・高断熱の家」となっています。   仮に、左の家を30℃まで暖房したとしても、壁の性能が低いため外気に冷やされ壁が10℃まで冷えているとし、ここに居る人は壁から冷輻射という形で、壁に体温を奪われていることになります。   その結果、室温と壁の温度の平均で、体感温度は20℃ということになります。   それに対して右の家では、高気密・高断熱住宅で壁が外気の影響で内側が冷たくならないとすると、室温を20℃まで暖房する、壁の温度も20℃とすると、体感温度も20℃ということになります。   温度計で測ると左側は30℃、右側は20℃になるのですが、人の体感温度はどちらも20℃となります。   どちらの空間が快適かと言うと、これは議論の余地なく右側ということになります。   これは輻射熱の影響がないということが、単純に快適さにつながるということもありますし、頭と足元の温度差がないということ、それからエアコンが頑張らなくていいため、穏やかな温度の風が穏やかに出てくるということになります。   エアコンの風が嫌いと言う方は多いと思うのですが、これはエアコンのせいではなくて、住宅の性能が低いためにエアコンがすごく頑張ってしまっているということです。   高気密・高断熱にするとそれがなくなりますし、また夏はこれと逆のことが言えます。   さらに、高気密・高断熱住宅にすると「睡眠の質」が上がることが明らかになっています。     夏に寝苦しいということが無くなりますし、冬も軽い布団で十分暖かくなります。   睡眠の質が上がることは、イメージし易いのではないでしょうか。   また、冬に軽い布団で済むということは、分厚い布団が不要になります。   同様に、炬燵やストーブも要らなくなるため、冬だけ使うような大きな物の収納スペースが要らなくなります。   ですので、高気密・高断熱住宅にすると、収納スペースは小さくて済むようになるため、経済的にお得になると言えるかと思います。   住まいが快適になるということは、「Quality of Life」すなわち、人生の質の向上に直結します。   ただ、言葉で説明しても「快適さ」というのをお伝えするのは、難しいです。   高気密・高断熱住宅を建てているハウスメーカーや工務店では、体験宿泊を行っているところもありますので、夏や冬の外気温との差が大きい季節に、ぜひ快適さを味わってみて下さい。   ▶高性能な住まいの相談室はこちら

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低気密・低断熱住宅は、アレルギーや喘息のリスクが高い!

2021.01.13

低気密・低断熱住宅は、アレルギーや喘息のリスクが...

高性能な家では、アレルギーや喘息のリスクが下がるという研究結果があります。   こちらの図は、家を新築した方々24,000人に対するアンケート調査結果です。   建てた家の断熱性能のレベルが「低断熱」「省エネ基準レベル」「高断熱」と分かれており、高断熱とは東京や横浜などの温暖地で、北海道仕様の断熱性能の家を建てた方々のことを指します。   一般的な注文住宅が中央の「省エネ基準レベル」、左は「低断熱」右は「高断熱」となっています。   アトピーやアレルギーや喘息が、高断熱の家に住み替えたところ症状が出なくなったという人が多くいるのが分かります。   グラフを見ると、省エネ基準レベルでは、アトピーやアレルギーや喘息を抑えるには性能が十分ではないということですね。   より高気密・高断熱の家にした方が、症状が出にくくなるということです。   では、どうしてなのかというと、医学的には立証されていませんが、一般的には「結露」との関係だと言われています。   結露が発生するとカビがはえる、カビはダニの餌になるため、カビ・ダニが増えます。 そしてそれがアレルゲンとなり、アレルギーや喘息を引き起こしていると言われています。   高気密・高断熱住宅の場合、普通の暮らし方をしていれば結露が起きないので、カビ・ダニが少ないということのようです。   ここでいう結露には、大きく分けて2種類あります。   1つは冬に窓ガラスなどで目にする「表面結露」です。 厄介なのがもう1つの「壁内結露」です。     黄色いラインが壁の断面で、ピンク色が冬の室内、グレーが冬の屋外を表しています。   気密をしっかりとっていないと、暖房で加湿した空気が壁の中に侵入してきます。 そこで外気で冷やされて、外壁材側の壁の中で結露が起きているということです。   これが壁内結露というものになります。   近年ではこの逆である、夏型結露も問題になっています。   夏に35度以上の日も多くなっていますし、特に日本の場合は高温多湿ですので、その空気が外壁側から壁に入ってきて、冷房をしている室内側で冷やされ、今度は室内側の壁の中で結露が生じてしまっています。   ですので、夏も冬も壁の中では結露が起こってしまっているということになります。   その結果、断熱材がカビだらけになっている、当然ダニが発生しています。     また、湿潤環境を好むシロアリも発生しやすくなります。   シロアリが発生すると、耐震性能や耐久性にも問題が出てきますので、そういった意味でも家が長持ちしにくくなります。   断熱と気密はセットで考える必要がある、ということです。   さらに、カビやダニがアルツハイマー病の原因になると言われています。   これは林先生のテレビでも紹介されていたようです。 結露が生じない家にすることが非常に大切だと、意識していただければと思います。   ▶高性能な住まいの相談室はこちら

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