空腹時血糖値が高い、体の中で起きていることとは?⑦ | 薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

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薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

2023.07.13

空腹時血糖値が高い、体の中で起きていることとは?⑦



科学的栄養学No.237

102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座

◇空腹時血糖値が高い、体の中で起きていることとは?⑦

 HbA1c6.5%を超えたらもう一度検査の機会を

 

HbA1cは、6.5%を超えるとそれだけで糖尿病とは言えないものの、その可能性が高い「糖尿病型」と呼ばれる状態になります。HbA1c6.5%以上で、かつ空腹時血糖値も126mg/dL以上であれば、糖尿病と診断されます。

 

つまり、糖尿病とは、高血糖が継続している状態を言うわけです。

 

なぜ、高血糖状態が継続するといけないかの一つは、血中を流れる様々なタンパク質や血管に糖がくっついて、それぞれの機能障害のきっかけになることですが、それ以外にも理由があります。

 

その一つは、余分な糖は、通常の処理過程だけでは追いつかないため別の処理をスタートさせ、その過程で、体にとっては好ましくない物質が産生されて、血流低下や細胞死を引き起こすきっかけになることです。

 

ほとんどの場合、糖尿病そのものは自覚症状がありません。しかし、高血糖のまま放置する期間が長くなればなるほど、上記のような変化が起こりやすくなり、結果として様々な合併症につながっていきます。

 

そうした合併症が起こる可能性が高くなるレベルの目安の一つがHbA1c7%です。これ以上であれば「細小血管障害」といわれる糖尿病特有の合併症、つまり、網膜症、腎症、神経障害が起こる可能性が高まります。

 

これが、皆さんが耳にされたことがある、「糖尿病だと失明したり、透析なったり、足を切断したりする」、というものです。

 

考えてみれば、13カ月間もHbA1c7%を超えるくらい血中に糖があり、そんな状態が何年、何十年と続けば、血管にもベタベタくっついて不具合が出てくるのは当然だとイメージできます。

 

目の網膜に栄養を送る血管や、神経に栄養を送る血管の流れが悪くなると網膜症や神経障害が起こるのは納得できますし、それに加えて、通常以上の量の糖を処理する途中でできた物質の影響で血流障害さえも起こしてしまうので、臓器は傷んでしまいますよね。

 

 HbA1cは過去13カ月間の血糖の状態を示す数字ですが、通常の健診は1年に1回しかなく、それだけだとHbA1cがどう変化していくかを追えません。

 

ですので、薬を飲むか飲まないかは別にして、定期的に血糖の状態を調べるという意味でも、HbA1c6.5%以上であれば、一度受診をしてみることが大切だと思います。

 

メタボ型の高血糖の場合、減量して内臓脂肪が減ればインスリン抵抗性が良くなるので、薬物治療でなく、生活習慣の見直しだけで血糖値が改善することも多いのです。

 

糖尿病の手前の段階、5.66.4%の人も安心はできません。このくらいの数値の人たちは、網膜症などの細小血管障害は起さなくても、動脈硬化が進みやすくなります。

 

心筋梗塞や脳梗塞を発症しやすい状態と言えます。
 

これも糖尿病による「大血管障害」です。
 

HbA1cが基準値の5.5%を超えているというのは、血糖の処理がうまくいっていないということ。
 

食べすぎていないか、運動不足なんじゃないかなど、生活の点検が必要です。

 

糖尿病とは慢性的な高血糖状態のこと。その時間が長ければ長いほど体に悪影響が表れます。
 

「血糖の量×時間の長さ」でダメージが増えていくと考えてください。
 

もし、HbA1c6.5%を超えていたら、もう一度検査の機会をつくる、そして、生活習慣を点検してみる。空腹時血糖が126mg/dL以上なら、医療機関受診を考える。

糖尿病が重症化してインスリン分泌が減少してしまう前に改善することが肝心です。

 

糖尿病と一口に言っても、単に、甘い物の食べすぎが原因ではありません。一人ひとりの原因を探るのに、ぜひ、保健師や管理栄養士などの専門職を活用してください。

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