人工甘味料は血糖値に影響しない可能性 | 薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

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薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

2019.06.06

人工甘味料は血糖値に影響しない可能性


科学的栄養学 No.57

人工甘味料は血糖値に影響しない可能性



人工甘味料は砂糖の代替として飲料や菓子などの食品に広く用いられているが、人工甘味料を摂取しても血糖値には影響を及ぼさないことが、29件のランダム化比較試験(RCT)を対象に行った統計解析で示されているので紹介します。

ただし、研究を行った米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校食品栄養科学部のAlexander Nicholは「この結果から、血糖値が気になる場合でも人工甘味料の摂取は安全だと言えるが、人工甘味料入りの飲料や食品を好きなだけ食べてよいという意味ではない」と強調しています。
これは全く同感です(^^)/。


 砂糖の替わりに人工甘味料(非栄養甘味料とも呼ばれる)を用いると、甘みを減らすことなく食品や飲料のカロリーを抑えられることから、人工甘味料は肥満や心臓病、特に糖尿病のリスクを低減させると期待されている。

米国では、その使用量は急激に増えており、1999~2000年から2009~2012年にかけて子どもでは約3倍に、成人でも約1.5倍に増加した。

現在では、子どもの4人に1人、成人の5人に2人が人工甘味料を習慣的に摂取しているとの推計もある。

 米国では8種類の人工甘味料が認可されており、これらには今回のRCTで検討対象とされたサッカリンとアスパルテーム、ステビオール配糖体、スクラロースが含まれる。

また、「無糖(sugar-free)」と表示された食品の一部には、糖アルコールと呼ばれる甘味料(ソルビトール、マンニトール、キシリトール、イソマルトース、水素化デンプン加水分解物)が含まれているという。

 今回の研究で、対象者が人工甘味料を他の食品やカロリーを含む飲料なしで単独で摂取したRCT論文を抽出。
計741人が参加した29件のRCTを対象に統計解析を実施し、4種類の人工甘味料(アスパルテーム、サッカリン、ステビオール配糖体、スクラロース)が血糖値に及ぼす影響について調べた。

対象者のほとんどは健康な人で、2型糖尿病患者は69人、健康状態が不明だった人は150人だった。

 その結果、人工甘味料を摂取しても血糖値の上昇はみられず、人工甘味料は血糖値には影響しないことが分かった。
また、4種類の人工甘味料の間で血糖値への影響に差はみられなかった。

 論文共著者の一人で同校食品栄養科学部のMaxwell Holleは「過去の研究の多くでは、他の食品と一緒に摂取した場合の人工甘味料の影響のみが検討されていた。

今回の結果は、人工甘味料を単独で摂取した場合を検討しており、信頼性が高いと言えるだろう」と述べている。

 さて、市販の食品の「無糖」表示については誤解が多いですね。
「たとえ砂糖が含まれていなくても、食品や飲料そのものには炭水化物や脂質、たんぱく質が含まれており、摂取すれば血糖値に影響します。

また、カロリーもあるので体重にも影響を及ぼすことに気を配る必要があります。

また、糖アルコールの表示についても、糖アルコールを摂取し過ぎると腹部膨満感や下痢の原因になることにも注意する必要があります。

なお、人工甘味料の安全性という面では、議論があるところです。

原著論文はこちら
Nichol AD, et al. Eur J Clin Nutr. 2018 May 15. [Epub ahead of print]

 
 

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