健康な「歯」は豊かな人生の土台 | 薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

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薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

2022.03.17

健康な「歯」は豊かな人生の土台



科学的栄養学No.195

◇健康な「歯」は豊かな人生の土台

 

年齢の「齢」の字には「歯」が用いられていますね。
 

これは、古来から人々が歯を命の象徴として大切にしてきたからではないでしょうか。

 

つまり、歯は豊かな人生を生きていく上の礎といえます。

 

「歯の一本位なんてことない!」と思う方もいるかもしれませんが、奥歯一本の喪失で、噛む効率が40%も損なわれるという報告もあります。

 

最近の口腔衛生の分野では、新型コロナウイルス感染症の重症化と歯周病との関連が指摘され注目されています。

 

昨年の2月にヨーロッパ歯周病学会は、新型コロナウイルスに感染した568人を対照にした調査結果を発表しています。

 

報告によれば、歯周病にかかっている人は、そうでない人に比べて、感染症による死亡リスクが8.81倍と高くなっていました。

 

また、集中治療室を必要とするケースも354倍に、さらに人工呼吸器などの補助を必要とするケースも4.57倍に及ぶという驚きの内容になっていました。

 

歯周病がインフルエンザのウイルス感染のリスクを高めるということが従来から言われてましたが、それは、歯周病菌が出す酵素が歯肉などの粘膜を痛め、ウイルスを侵入しやすくするためと説明されています。

 

本来、口腔内の常在菌はヒトと共生関係にあり、身体に悪影響を及ぼすことはありません。
 

しかし、菌があまりにも増加してしまうと歯周病になり、細菌の感染によって歯を支える骨や歯肉などを破壊していきます。

 

さらに、歯周病が循環器疾患などの全身疾患につながっていくことも分かってきています。

 

歯周病は万病の元とも言われており、誤嚥性肺炎も歯周病菌をはじめとする多くの細菌が肺で繁殖することで炎症を起こすことも明らかになっています。
 

アルツハイマー病や糖尿病、関節リウマチなどにも関連しているという調査もあります。

 

また、歯は食物を咀嚼するためのものだけではなく、会話を楽しむなど私たちが豊かな人生を送るための支えにもなります。ですから、歯の喪失は社会生活に支障をきたすことになりかねません。
 

特に、ミドル、シニアエイジには歯の重要性は増していきます。歯のケアーを怠らず歯周病を予防することが大切です

 

そのためにも、歯が痛くなくても定期的に歯科に通うことをお勧めします。

 

私は、以前は毎年、自身の誕生日を目途に歯科に通っていましたが、現在は毎月一回、特に問題はなくても歯科に通って歯のケアを怠らないようにしています。

おかげで今日まで、虫歯も歯周病も縁がありません。

 

また、歯科医とは親子2代の先生にわたって30数年以上のお付き合いになっています。

 

アメリカの調査では、歯にトラブルがなくても定期的に歯科に通院する人は76%で、日本ではその半分にとどまているとのことです。

 

日本では、55歳から64歳で歯周病の有病率は82.5%、そして60歳代で半分の歯を失い、80歳代では約半数の人がすべての歯を失っているのが現状とのことです

 

そもそも、自然界の動物には虫歯などの歯科疾患は基本的に見当たりません。

 

人間だけにみられるこの現象はやはり現代人の食生活に大きく関係していると考えれます。
 

加工食品や糖分の摂り過ぎなどがその要因のひとつです。
 

私のかかりつけの歯科医師の話によれば、歯科疾患を防ぐためには、やはり糖分を控えめに食生活を見直すこと、また、よく噛んで食べること、さらに最も重要なのはやはり日々の歯磨きであると指摘しています。

 

 

健康長寿社会を、102歳を目指して動けるからだでらくらく生きるためにも、みなさん、歯のケアを怠らないようにしてまいりましょう。

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