アルコールによって筋肉の合成率が下がる? | 薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

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薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

2022.03.24

アルコールによって筋肉の合成率が下がる?



科学的栄養学No.196

◇アルコールによって筋肉の合成率が下がる?

 

運動で汗をかいた後の、冷えたビールやハイボールはお酒好きの人にとってはたまらない楽しみですよね(^_-)-

 

しかし、筋トレ後に飲酒すると、せっかくの筋トレの効果に悪影響があるという研究があります。
 

今回は、「筋トレとアルコール」についてクイズ形式で学んでまいります。是非、日々のセルフケアにお役立てください。

 

【問題】

筋トレの効果と飲酒の関係について、以下のうち正しいものはどれでしょう。

 

1)筋トレ後に飲酒すると筋トレの効果が下がるので、

     筋トレ前に飲むとよい

 

2)筋トレ後の飲酒の影響は、男性に比べ女性のほうが

   大きい

 

3)飲酒による悪影響は、お酒の種類はあまり関係なく、
   トータルのアルコール量が問題

 

 

「解説」

筋トレ後にアルコールを飲むと、筋肉の合成に悪影響を及ぼすという研究結果があります。

ちなみに「筋トレ前に飲んでも、血中のアルコール濃度は急激には下がらないので、結果はあまり変わらない」と、立命館大学スポーツ健康科学部藤田聡教授は述べています。

 

では、なぜ筋トレ後にアルコールを飲むと筋肉の合成に悪影響を及ぼすのか気になるところです。

藤田教授は「筋トレを行うと、筋肉を合成する生理作用が高まる。

その際、筋肉の合成を高めるスイッチとなる
mTOR(エムトール)という酵素が細胞内で働き、たんぱく質の合成が活性化される。mTORを作用させるには、筋トレ以外に、たんぱく質を摂取して血中のアミノ酸の濃度が高まることが有効とのこと。

 

ところが、筋トレ後にアルコールを飲んでしまうと、このmTORの作用が抑制され、筋肉の合成率が3割程度も減る」という、研究報告を紹介しています。

 

それによると、研究はオーストラリアのRMIT大学で行われたもので、トレーニング後に

1プロテインのみ摂取、

2アルコール+プロテインを摂取、

3アルコール+糖質を摂取

という3つのパターンを比較しました。

 

その結果、(2)のアルコール+プロテインのパターンでは、プロティンのみ摂取した場合より、筋肉の合成が24%減少し、(3)のアルコール+糖質のパターンでは37%減少することが分かりました。
 

また、筋トレ後のアルコールの影響は、女性に比べ男性のほうが大きいと考えられるとのこと。

 

アルコールを飲むと、男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌が抑制されます。テストステロンは筋肉の合成と深い関わりがあるため、それゆえに男性のほうが筋肉の合成の落ち込みが大きいのではないかと考えられるようです。
 

それでは、どれくらいの量を飲むと悪影響が出るのか。
 

また、お酒の種類によって影響の大きさが変わったりしないのでしょうか。

 

藤田教授は 「研究では、体重1kg当たり1.5のアルコール摂取と、かなり多めの量を飲んでいます。体重が80kgの被験者が120gのアルコールを摂取しているということなので、ウォッカ60mL4です。

 

現在、どれくらいの量なら問題ないか、というデータはありません。

ただ、
筋トレから十分に時間を空ければ、ビール(350mL12缶くらいであれば影響が少ないのかなと思います。

 

夜にお酒を飲むのであれば、筋トレは朝に行うなど間隔を空けるようにしましょう」と、提案しています。

 

また、お酒の種類はあまり関係なく、トータルのアルコールの量が問題になると。
 

そして、血中のアルコール濃度が急に上がらないようにするのがポイントとのこと。

 

ワインのように食事とともにゆっくり飲めるお酒か、低アルコールのお酒を選ぶようにするのがいいようです。

 

 

正解は、

3)飲酒による悪影響は、お酒の種類はあまり関係なく、トータルのアルコール量が問題 です。

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