2019.06.20
梅雨時に頭痛やめまいが起きるのはなぜ?
脳科学的栄養学 No.59
梅雨時に頭痛やめまいが起きるのはなぜ?
梅雨時に起こる頭痛や関節の痛みを訴える方が増加します。
また、めまい、気分の落ち込み(抑うつ状態)など体の不調を經驗される方も多いのではないでしょうか。
実はこれらの症状は「気象病」の可能性があるといわれてます。
そこで、この「気象病」の原因と考えられているのは、次のうちどれだと思いますか?
(1)気温
(2)湿度
(3)気圧
正解は、(3)気圧です
2005年に日本で初めての「天気痛外来」を開設した、中部大学生命健康科学部の佐藤純教授によると、気象病を引き起こすのは気温や湿度ではなく、気圧だとして次のように述べています。
「医学の世界では昔から“気象病”と呼ばれている病態があって、慢性痛、気管支喘息、脳卒中などいろいろな病気が気象の影響を受けます。頭痛など痛みが主に現れる場合は、私はとっつきやすい“天気痛”という用語を考案して使っています」と。
また、「天気痛は、気圧の変動によって、痛みや周辺症状(めまいなど)が発症、増強するような病態です」とも。
具体的には、頭痛、膝痛、腰痛、古傷が痛むといった痛みのほか、めまい、抑うつ状態などが起こります。
この気象病の原因は、内耳の前庭(三半規管の根元)に気圧センサーがあり、気圧が低くなると自律神経にストレス反応が起きて交感神経が優位になることによります。
例えば、乗り物酔いという現象があります。
これは目から入ってくる情報があまり変化しないのに、体が揺れることで内耳が受け取る平衡感覚にズレが出てくることで脳が混乱する結果、血圧が下がり、気分が悪くなる。
気圧センサーの感受性は人によって異なるのですが、気象病を起こす人は内耳が敏感なので、体が揺れていないのに気圧の変化により感覚にズレが生じて脳が混乱するからです。
交感神経優位とは、すなわち緊張している状態のこと。
頭痛や古傷など慢性的な痛みは、ストレスを感じて交感神経が優位になると強くなります。
気圧が低くなると、交感神経が優位になることで、血圧や心拍数が上がります。
さらに、気圧が下がるとヒスタミンの分泌が増えるという説もあります。
ヒスタミンは体内の炎症反応を促進する性質があるため、痛みや腫れが出てくることになります。
では、どうすれば気象病の症状を予防・改善できるのでしょうか?
佐藤先生は以下の5つの具体的な対策を勧めています。
◇気象病から逃れるための5つのコツ
・天気日記」をつける
気象病対策のアプリや家庭用の気圧計などを使って、毎日の天気、気圧、体調を記録し、最低1カ月間続けてみましょう。「気圧と体調に関係があることが分かれば安心するでしょう。まず、その安心感だけでも症状が改善します。
・規則正しい生活を心がける
朝食を食べたり食べなかったり、睡眠時間が日によって違う、といった不規則な生活をしていると自律神経が乱れてしまいます。
・乗り物酔いの薬を飲む
佐藤先生の天気痛外来では、治療の基本は「めまい薬」。
内耳のリンパ液の循環を良くすることで、過敏になっている内耳の反応を抑えられるといいます。
また、薬局などで市販されている乗り物酔いの薬でも効果があります。ポイントは「ジフェニドール」などの成分で、内耳のリンパ液の循環を改善する作用があります。
・首のストレッチ
首の骨の横には椎骨動脈があり、これが内耳の動脈につながっています。したがって、首の筋肉をゆるめて血行を良くすると、内耳のリンパ液の循環も良くなり、頭痛やめまいといった症状が抑えられます。
・運動をする
運動の習慣を持つと、自律神経のバランスが整いやすくなります。特にウォーキングや水泳など、負荷が少なく、長時間続けられる有酸素運動が効果的。心肺機能のアップや血圧が下がることに加え、ストレスの解消作用もあります。
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