改めて知る、肝臓とアルコールのこと 少量の飲酒でも疾患のリスクは上がる③ | 薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

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薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

2022.06.30

改めて知る、肝臓とアルコールのこと 少量の飲酒でも疾患のリスクは上がる③



科学的栄養学No.208

改めて知る、肝臓とアルコールのこと 少量の飲酒でも疾患のリスクは上がる③

◇悪酔い予防には血中アルコール濃度をゆっくり上げる!

 

前回からの続きですが、お伝えしたように活性酸素は、過剰になると老化やがん、生活習慣病にもつながると考えられています。

 

アルコールが原因のさまざまな疾患は、この過剰な活性酸素による細胞障害が引き起こすのではないか、という説もあります。

 

お酒が弱かった人が飲み続けるうちに強くなるのは、薬などを代謝するMEOSの酵素が誘導されて、アルコールの代謝に使われるようになるからです。

 

日頃からよくお酒を飲む人は、CYP2E1だけでなく、より多くの物質の代謝に関わるCYP3A4を含めたMEOSの酵素が多く誘導されているため、薬の作用にも影響すると言われています。

 

薬が効きにくくなったり、反対に効きすぎたりすることもあります。

 

酒飲みであれば、「大酒飲みには薬が効かない」という話をきいたことありませんか?

 

薬の説明書に「服用の際、アルコールは控えてください」と書いてあるのはご存知ですよね。

 

多くの薬は肝臓で代謝されるので、酒と薬を一緒に飲むと競合が発生し、酵素の取り合いになってしまうこともあるからです。

 

グレープフルーツでも、似たような作用があります。

 

グレープフルーツに含まれる成分がMEOS(特にCYP3A4)の酵素の働きを一部阻害し、降圧薬などの作用を強めてしまうのです。

 

健康なうちは薬にお世話になることはないかもしれないが、何かの疾患を抱えた場合、定期的に薬を飲む生活になる。その際、酒と薬を一緒に飲むのはもってのほかだが、薬の効果を弱め(あるいは強め)ないよう、アルコールの大量摂取にも要注意です。

 

ここまで、アルコールの2つの代謝経路、そして代謝によって生成された物質がカラダに与える影響について説明してきました。

 

では、次に、酒を飲んだときに起きる「酔い」という現象について説明していきます。

つづく

 

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