妊娠中の有害なライフイベントと5歳時のADHD症状との関連 | 薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

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薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

2020.01.23

妊娠中の有害なライフイベントと5歳時のADHD症状との関連


科学的栄養学No.88

 

◇妊娠中の有害なライフイベントと5歳時のADHD症状との関連

 

ADHDAttention deficit hyperactivity disorder 注意欠陥多動性障害)は7歳ころまでに発症し不注意(集中力のなさ)、多動性落ち着きのなさ)、衝動性(順番待ちができないなど)の3つの特性を中心とした発達障害のことを指します。


ADHDは小児期に発症する病気ですが、学童期や成人になっても症状が持続することが多いといわれています。
 

決してまれな疾患ではなく、また、男児のほうが女児よりも多い傾向があります。


ADHDの明らかな原因については、現時点では明確にわかっていません(2017年時点)。

 

関係性が疑われる要因は、何かしらの遺伝的な要素、妊娠期間中における喫煙やアルコールの摂取ある種の化学物質、分娩前後で生じた脳への障害などです。


私は、脳神経細胞の研究を通して、胎児期の初期、すなわち脳神経系の遺伝子が発現する重要な時期に母体を介しての環境化学物質の影響を危惧しており
経皮毒でその意味をお伝えしているところです。


おそらく様々な要因が絡んで発症していることは間違いないところです。


今回、妊婦のライフイベントとADHDの関連についての報告がいくつかありましたので紹介していきます。


その一つに、これまで妊娠中の有害なライフイベントの経験は子供のADHDと関連があるといわれていますが、家族性の影響は検討されていません。


スウェーデン・カロリンスカ研究所のMina A. Rosenqvistらは、妊娠中の有害なライフイベントが子供のADHD症状と関連しているかを明らかにするため、家族性の要因について検討を行って論文発表しております。


人口ベースのノルウェー母子コホート研究(Norwegian Mother and Child Cohort Study)に参加した子供3万4,751例(6,427例の兄弟姉妹を含む)のデータを収集した。

 

母親からは、妊娠中に特定のライフイベントを経験したかどうかの報告を収集した。

5歳時のADHD症状は、Conners' Parent Rating Scale-Revised(CPRS-R)簡易版を用いて評価した。


ライフイベントと平均ADHDスコアとの関連は、全集団におけるデータを統計的に分析して行った。

 

主な結果は以下のとおり。

・有害なライフイベントに曝露した子供では、
5歳時のADHDスコア
が高かった。


最も影響が大きかったのは金銭的な問題で、最も影響が小さかったのは親しい人の喪失であったとしています。


・母親がつらいまたは困難な経験をした場合には、そのイベント数に応じてADHDスコアが上昇しています。

 

著者らは「本結果では、妊娠中の有害なライフイベントと子供のADHD症状との関連性が示唆されこれは家族性の要因によって説明される」としている。

 

 

原著論文はこちら

Rosenqvist MA, et al. J Child Psychol Psychiatry. 2018 Oct 27. [Epub ahead of print]

 

 

<講演会ご案内>

 

◇1月25日(土)14:00-16:30  国立オリンピック記念青少年総合センター513号室

  102歳を幸せに生きる食事力と脳の使いかた②

    公開講座「脳と生命をあやつるタンパク質」

     詳細⇨ https://www.facebook.com/events/550552282461422/

 

 

◇2月27日(木)10:30-13:00  東京西新宿

  経皮毒の本当の意味を知ろう

    環境化学物質から子供たちの脳を守るために

     詳細⇨ https://www.facebook.com/events/463359114603804/  

 

 

 

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