半年間のウォーキングで脳が若返る? | 薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

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薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

2020.01.17

半年間のウォーキングで脳が若返る?


科学的栄養学No.87

 

◇半年間のウォーキングで脳が若返る?

 

記憶力や思考力に衰えを感じたら、ウォーキングなどの適度な運動を半年間ほど続けると脳が若返るかもしれないという研究結果が報告されました。

 

米デューク大学医学部のJames Blumenthal教授らは記憶力や思考力が低下した55歳以上の男女が運動を6カ月間続けたところ目前の状況を把握し、物事を整理して考えて行動する「実行機能」が特に向上することを明らかにしました。

 この研究は、客観的な検査で記憶力や思考力に低下がみられた55歳以上の男女160人を対象としたもの。

 

参加者にはアルツハイマー病などの認知症はみられなかった実年齢の平均は65歳だったにもかかわらず、実行機能の成績は90歳代の前半に相当していた。

また、参加者は高血圧などの心血管リスク因子を有していた。

 研究では、参加者を
(1)適度な有酸素運動を行う群
  (2)高血圧予防の食事療法であるDASH食
を行う群
(3)運動に加えてDASH食を行う群
(4)健康指導のみを受ける群-の4つの群にランダムに割り付けて6カ月間観察。

 運動では、10分間のウォーミングアップに加えて、35分間のウォーキングまたはジョギング自転車こぎ運動などの有酸素運動を週3回行ってもらった。

 

また、食生活の改善には、果物や野菜、精製されていない玄米や全粒粉などの穀物不飽和脂肪が豊富で、塩分と糖分、肉類、飽和脂肪の多い乳製品を控える高血圧患者向けのDASH食を行ってもらった。

 

Blumenthal教授によると、運動も食事も高齢者が取り組みやすい内容だという。

 

*DASH食とは
 米国立保健研究所などが提唱する、高血圧患者のための食事療法が「DASH (Dietary Approaches to Stop Hypertension)」食です。

血圧を下げる作用のある食品は単独で食べるより、組み合わせて摂る方が効果が大きいためDASH食を続けることにより、軽症の場合は降圧剤を服用しなくても済むようになる人もいます。

 

DASH食の基本は 
①野菜・果物・低脂肪の乳製品を十分摂る  

②肉類および砂糖を減らす
の2点です。

具体的には、緑黄色野菜と淡色野菜を毎食取り入れ、果物はカリウムの多いバナナプルーン、リンゴなど、また鶏肉以外の肉を減らして魚を増やす、肉の調理は皮や脂を取り除き揚げずに網焼きしたり茹でたりする、低脂肪の牛乳・ヨーグルト・チーズ等でカルシウムを補いナッツ類や豆類も意識して摂り、パンは全粒粉を使ったものがいいとされます。 

 
 逆に、減らす食品は牛肉や豚肉(脂身)、甘いお菓子、砂糖を含むソフトドリンク類などです。 

 

その結果、運動を行った二つの群では6カ月後の実行機能が向上したのに対し健康指導のみを受けた群では、実行機能は低下し続けたことが分かった。

 

こうした運動による効果は、運動とDASH食を併用した群で最も高かった。
 

一方、DASH食のみを行った群では、6カ月後の実行機能に有意な変化はみられなかった。

 
この結果について、専門家らは、一般的に考えられている健康的な生活習慣は脳の老化を防止するという説を裏付けるものだとしている。

 

その一人で米アルツハイマー病協会のKeith Fargo氏は「今回の研究に参加した人は高齢で、既に認知機能の低下がみられ
心血管リスク因子もある人だった」と指摘した上で
運動を始めるのに遅すぎることはないと述べている。

 

また、同氏は「ランダム化比較試験で運動による認知機能への効果が示されたことは意義深い」と付け加えている。

 Blumenthal教授は、運動や食生活の改善が認知機能に好影響をもたらした理由は明らかではないが「今回の結果では、運動による体力向上とテストの成績の間には関連がみられたほか血圧などの心血管リスク因子を改善しても成績は向上した」と説明している。

 

ただ、教授は「運動や食生活の改善が認知症予防につながるかどうかは明らかになっていない」と強調しこれらの有効性を検証する大規模な研究を行う必要があるとしている。

 また、Fargo氏は、運動することで血流が改善し脳への酸素供給量が増えたことが認知機能の改善につながっているのではとの見方を示している。

 

Fragoによれば、同協会は今後、運動と食生活、社会参加
パズルやクロスワードなどの知的活動の組み合わせが、認知機能に
どのような影響を及ぼすのかを検証する研究を実施する予定だという。

 

原著論文はこちら

Blumenthal JA, et al. Neurology. 2018 Dec 19. [Epub ahead of print]    

 

 

 

講演会ご案内

118(土)10:00-12:30  群馬県熊谷 片倉シルク記念館

 胎児からのメッセージ「ママ僕のことも考えて〜」 経皮毒本当の意味と意義

    詳細⇨ https://www.facebook.com/events/487936958483308/

 

◇1月25(土)14:00-16:30  国立オリンピック記念青少年総合センター513号室

  102歳を幸せに生きる食事力と脳の使いかた②

    公開講座「脳と生命をあやつるタンパク質」

     詳細⇨ https://www.facebook.com/events/550552282461422/

 

◇2月27(木)10:30-13:00  東京西新宿

  経皮毒の本当の意味を知ろう

    環境化学物質から子供たちの脳を守るために

     詳細⇨ https://www.facebook.com/events/463359114603804/  

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