離婚後、数年経ってからでも養育費は請求できる? | 青葉台法律事務所 弁護士 佐々木博征

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青葉台法律事務所 弁護士 佐々木博征

2019.02.22

離婚後、数年経ってからでも養育費は請求できる?

こんにちは、横浜市青葉区で法律事務所を開設している弁護士佐々木博征です。

今日は、離婚が成立してから数年経った後の養育費の請求についてお話したいと思います。



離婚をするとき、相手方に養育費を請求して、離婚の合意書、調停、裁判等の方法で養育費の金額を決めることができることは皆さんご存知だと思います。

 しかし、例えば夫から暴力を受けていたというDVのケースや、離婚当時、夫の収入が少なく、養育費まで請求できなかったというケースも実際には多いと思います。

 そのようなケースでは離婚から数年経ち、お母さんは、「もう養育費の請求はできない」ものだと思い込み、養育費の請求を諦めてしまっている方も多いのではないでしょうか。

 離婚時は養育費の必要性が低かった方でも、お子様が小学校、中学校へと進学し、教育費や生活費などで何かとお金がかかる時期、お母さん一人の収入でお子様を育てていくのは大変なことだと思います。

 この点、離婚時に協議や調停で、明確に「養育費を請求しない」という合意を書面などでしていない場合(養育費を貰っていないケースでも、そのような場合がほとんどだと思いますが)、離婚から数年経っても離婚した元のご主人に対して、今後のお子様の養育費の請求は基本的には可能です。
  
 ではどのように請求すればよいでしょうか。

 元のご主人と自分で交渉できる方は、交渉した上で、公証役場で養育費の公正証書を作成してもらい、その約束に基づき、今後の養育費を払ってもらうという手段が考えられます。

 また、自分での交渉が難しい方は、弁護士に依頼して、弁護士を通じて交渉するか、家庭裁判所に養育費請求の調停を申立て、そこで元のご主人と合意し、合意できなければ、家庭裁判所の審判という形で強制的に養育費の金額を決めてもらうという方法があります。

 なお、離婚から数年経過して元のご主人に養育費を請求した場合、認められるのは、基本的には請求時以降の養育費であり、既に経過している過去の養育費分については、なかなか認められにくく、あくまで請求した時以降の養育費を認めようという考え方が実務でも有力です(これを「請求時説」と言います)。

 なぜならば、過去分も数年分を一度に支払わなければならないとすると、養育費を支払ってこなかった親にとって負担が大きすぎることが理由です。

 但し、最近では過去の養育費であっても全く支払ってこなかった不誠実な親に有利に取り扱うことは不公平であるという考えの下、今後の養育費の金額を定めるにあたって、ある程度過去の養育費不払いの事実を考慮するケースもあるようです。

 しかし、現在でも請求したときからの養育費が認められることが基本であり、そのように考えた方が無難でしょう。
  
 よって、離婚時に養育費の取り決めをしていなかった方は、上記の方法いずれかで早めに養育費を請求することをおすすめします。

 元のご主人の現住所が分からない場合でも、弁護士に養育費調停の申立等を依頼すると元のご主人の住民票などを追って、現時点での住所を調べることもできますので、その様な場合でも弁護士に相談してみましょう。

 養育費の算定方法や、養育費支払いの対象となるお子さんの年齢の話などは、また別の機会に。

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