息子の自閉症が完治した | 選択理論心理学・柿谷先生のコラム

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選択理論心理学・柿谷先生のコラム

2020.02.17

息子の自閉症が完治した

カリン・セル-シー著

息子の一生が厳しい障害のある人生になるだろうと医者に言われたとき、私たちは彼らの間違を証明する取り組みを始めました。

私たちの18ヶ月になる息子を診察した心理学者が、マイルズは自閉症だと思うと言ったとき、私の心臓は早鐘を打ち始めました。私はその単語が何を意味するか、正確には知りませんでした。しかし、悪いことだというのは分かっていました。自閉症はあるタイプの精神病?ひょっとして少年期の精神分裂病のようなもの? 一層悪いことに、この障害は幼年期の情緒的な外傷経験によってもたらされたと聞いたことがある。ぼんやりと私はそんなことを思い出していました。一瞬にして、私の世界の安全がすべて崩れ去っていくように感じました。

私たちの小児科医は、1995年8月の『サイコロジスト』を紹介してくれました。マイルズが、私たちが言ったことを何も理解しているようには見えなかったからです。彼の成長は、15か月になるまで全く普通でした。しかしそれから、彼は覚えていた言葉を口にしなくなったのです。ウシ、ネコ、ダンスといった言葉を言わなくなって、彼は自分の中に閉じこもっていきました。私たちは彼の慢性的な耳の感染症のせいで、黙っているのだと思いました。しかし、3か月以内に、彼は完全に自分の世界に引きこもってしまったのです。

突然、私たちの幸福な小さな息子は、私たち親と3歳の姉を認識していないようになりました。マイルズは目を合わせず、指さしや身振りで意思の疎通をすることすらしなくなりました。彼の振る舞いはますます奇妙になりました。例えば、彼は床に自分の額をこすりつけたり、(自閉症の子どもによくありがちな)爪先立ち歩きをしたり、うがいをするような奇妙な音をたてたり、ドアの開閉を繰り返したり、砂場の砂のカップを満たしたり空にしたり同じことを繰り返す動作をするようになりました。彼は抱きしめられたり、可愛がられたりするのを拒否して、悲痛な叫び声をあげることも多くなりました。また、彼は慢性的な下痢をするようになりました

自閉症は精神病ではない

マイルズが成長しても、深刻な障害をもつ事は明らかだと言われました。友だちができることはない、意味のある会話はできない、特別な支援なしに普通級の学習は無理、自立した生きかたもできないだろうと言われました。私たちに望めることは、行動療法によって、独りでは身につけられない社会的な技術を、いくつか身につけさせることができるかもしれないということだけでした。

私は、誰にとっても最悪なことは、子どもを失うことだと常に思っていました。今それが私に起こっていたのです。しかも、それはゆがんだ不可解な方法で。慰めの代わりに、私は不快な一瞥、不適切な空元気づけを受けました。そして私の友だちの何人かは、留守電にメッセージを残しても、かけ直してくれなくなりました。

マイルズが初期診断を受けた後、私は図書館で彼の劇変の理由を探していました。そのとき、牛乳にによる「大脳アレルギー」によって自閉症が引き起こされた、と信じている母親について書かれていることを知りました。私はこんなことは初耳でした。しかし、マイルズがすごい量の牛乳を飲んでいたので、私の心にひっかかりました。マイルズは少なくとも1日で2リットル近く牛乳を飲んでいました。

さらに、私は思い出したのです。私の母が、数か月前に、耳の慢性感染症にかかっている多くの子どもは、牛乳と小麦にアレルギーであるという記事を読んでいたのです。「そのような食べ物をマイルズから遠ざけて、耳の感染症が良くなるかどうか確かめてごらんなさい。」と母は言いました。「牛乳、チーズ、パスタ、チェリオズ(シリアルの種類)しか、あの子は食べないのよ。もし私がそれらを取り上げたら、彼は餓死してしまうわ。」と私は反対しました

それから私は気づいたのです。マイルズが11ヶ月のときに耳の感染症が始まっていたのでした。それはちょうど大豆ミルクから牛乳へと変えたときだったのです。私の家族にアレルギー傾向があったことと、大豆のほうが良いかもしれないと読んだことがあったので、大豆ミルクを飲ませていました。彼が3か月になるまでは、私は母乳で育てました。しかし、彼は母乳をあまり好みませんでした。恐らく、私が多くの牛乳を飲んでいたからでしょう。失うものは何もなかったので、私は彼の食事から乳製品をすべて取り除くことにしました。

次に起こったことは、奇跡以外のなにものでもありませんでした。マイルズは金切り声を上げるのをやめました。彼は長い間同じ行動を繰り返すのを止めました。また、開始して1週間も経たないうちに、彼が階下に行きたくなると、私の手を引っ張るようになりました。彼は、手をつないで歌って遊ぶ遊戯をするために、初めて自分の姉に自分の手をとらせたのです。(訳注:日本の「カゴメ、カゴメ」のような手をつなぐ遊戯)。

2週間後、それは夫と私が心理学者に会った1か月後にあたりますが、自閉症の診断を確認するために、発達を専門とする有名な小児科医に会いました。スーザン・ハイマン博士はマイルズに様々なテストをし、また多くの質問をしました。乳製品摂取をやめてからのマイルズの変化を、私たちは話しました。最後にハイマン博士は、私たちを悲しそうな目で見て、「申し訳ありませんが、」と言いました。「息子さんは自閉症です。牛乳アレルギーの問題は興味深いと思いますが、それが息子さんの自閉症の原因とも、良くなった原因とも思いません。」

私たちはひどく落胆しました。しかし、日毎にマイルズはよくなり続けました。1週間後に、私が膝に彼を座らせようとしたとき、目が合って、彼は微笑んだのです。私は泣き出しました。彼はやっと、私が誰か分かっているように見えたのです。彼は姉の存在に無頓着でした。しかし今は、姉が遊ぶのを見ていたり、おもちゃを取られたときには、腹を立てたりするようにさえなりました。マイルズはぐっすりと眠るようになりました。しかし、彼の下痢は続きました。彼はまだ2歳になっていませんでしたが、私たちは1週間に3日間午前中、特別教育をしてくれる保育園に入れました。また、ハイマン博士が承認した集中的な一対一の行動・言語プログラムも始めました。

自閉症と牛乳・乳製品の関係性

牛乳がマイルズの行動に影響したという仮説をテスト

私は天性の懐疑論者で、私の夫は研究者ですから、私たちは、牛乳がマイルズの行動に影響したという仮説をテストしようと決めました。私たちは、ある朝彼に2、3杯の牛乳を与えました。その日は終日、つま先で歩き、床に自分の額をこすりつけ、奇妙な音を出し、私たちがほとんど忘れていた他の奇妙な行動をするようになりました。数週間後に、ちょっとした再発行動が見られましたが、マイルズが保育園でチーズを少々食べたことが後で分かりました。乳製品が彼の自閉症に関係があることを私たちは完全に確信するようになりました。

私は、ハイマン博士にマイルズがどれほど改善しているかを見てもらいたいと思い、彼が父親と姉と一緒に遊んでいるビデオを送りました。彼女はすぐに電話をくれました。「ただ、ただ、びっくりしているわ。マイルズの改善は驚くほどです。カリンさん、もし私自身が彼を診断していなかったら、同じ子どもだなんてとても信じなかったと思いますよ。」

私は、他の子どもが同様の経験をしているかどうかを知らなければなりませんでした。私はモデムを買い(1995年にはまだ珍しい事でした)、私はインターネットで自閉症支援グループを発見しました。少し気後れしながら、「子どもの自閉症は牛乳と関係があるでしょうか?」と尋ねました。

私の問いかけに対する反応はすさまじいものでした。私は今までどこにいて何をしたいたのか?何と私はノルウェーのカール・ライヒェルト(Karl Reichelt)のことを知らなかったのか?私は英国のポール・シャトック(Paul Shattock)のことも知らなかったのか?このような研究者たちは、親が20年にわたって報告したものを確認する研究をしていたのだ。つまり「乳製品は、自閉症の症状を悪化させる」というのです。

夫は化学で博士号を持っています。彼はインターネットで支援グループの親が提供している研究記事を入手し、注意深く検討しました。彼は私に説明してくれました。自閉症児のあるタイプは、牛乳の蛋白質(カゼイン)をペプチドに分解し、これが幻覚誘発剤のように脳に影響を与えている。少数の科学者、しかも、その何人かは自ら自閉症児の親であるが、自閉症児の尿に麻薬を含む物質(アヘンとヘロインを含む物質)を発見している。研究者は、これらの子どもがペプチド分解酵素を持っていないか、ペプチドが消化される前に何らかの理由で血流に漏れこむのではないかとの仮説を立てているというのです。

私は興奮で爆発寸前でした。この説明はとても納得のいくものでした。マイルズが最初の年に大豆ミルクだけで普通に成長していた理由の説明にもなります。この仮説はまた、なぜ彼がその後に牛乳を渇望したかの説明にもなります。麻薬はひどく習慣になりやすいからです。さらに、自閉症児の奇妙な行動は、LSDの幻覚症状とよく似ているからです。

夫は、有害物質に分解されるもうひとつ別の蛋白質がグルテンだと教えてくれました。グルテンは、小麦、オートミール、ライ麦そして、大麦に含まれており、その他数多くの加工食品に使われています。もし夫自身がマイルズの劇的な変化を見ておらず、マイルズが自ら選んで小麦と乳製品を好んで食べていたことを思い出さなければ、「科学者」を自認する夫にとって、この理論はこじつけに聞こえたに違いありません。私に関するかぎり、食事からグルテンをなくさなければならないことに、疑問の余地はありませんでした。忙しい身であるにもかかわらず、グルテンなしの食事を料理することを学ぼうと思いました。さらに、セリアック病(訳注:小児脂肪便症:大量の便には非分解の脂肪を含み、衰弱、蒼白、発育停止、筋肉萎縮を伴う小児病)の人々は、グルテンを食べてはいけないのです。私はインターネットでの情報集めに何時間も費やしました。

グルテンなしの食事にして48時間以内に、1歳10か月のマイルズは初めて固形の便をしました。そしてバランスを保ち、手足の動きが顕著に改善されました。1、2ヶ月後に、彼は話し始めました。 例えば、キリンを「キュリン」と呼んだり、象を「ジョウ」と呼んだりしました。彼はまだ私をマミーとは呼びませんでしたが、私が保育園へ彼を迎えに行ったとき、彼は、私のためにとっておきの笑顔をしてくれました。しかしながら、マイルズの行きつけの医者たち(彼の小児科医、神経専門医、遺伝専門医、そして消化器専門医)は、まだ自閉症と食事の関係を嘲笑していました。たとえ食事療法が自閉症の治療にとって安全で健康なやり方だとしても、多くの科学的調査が行われ確証が得られなければ、医学界のほとんどはそれを試みようとはしないでしょう。

そこで、夫と私は、自分たちがエキスパートになろうと決めました。私たちは自閉症会議に出席し、ヨーロッパの研究者に電話をかけ、電子メールを送り始めました。また私は、地元で自閉症児の親のための支援グループを組織しました。そのような親の幾人かは、はじめは食事療法による介入に興味を持ちませんでしたが、マイルズに会った後、考えを変えることがありました。自閉症児のすべてが食べ物に反応するとは限りませんが、最終的には、グルテンとカゼインを排除して、素晴らしい結果を得た子どもたちの家族は、その地域だけで約50家族にもなりました。また、インターネット支援リストの人々の数から判断して、この食事療法で良くなった子どもたちの数は世界中で何千人にもおよびます。

幸運にも私たちは、地元でとても理解のある小児科医を見つけました。マイルズがとてもよくなっていたので、私は彼の変化を見たくて、毎朝ベッドからほとんど飛び起きんばかりです。ある日、マイルズが2歳半のとき、彼は恐竜のおもちゃを掲げて、私に見せました。「見ちぇ、マミー、きょうゆうよぉ!(恐竜よ)」驚きのあまり、私の手は震えました。「あなた、今私をマミーと呼んだのね!」。彼は微笑み、私をじっと抱きしめてくれました。

彼の自閉症が完全に治った事を医者が認めた

マイルズが3歳になるまでに、彼のかかりつけの医者はみな、彼の自閉症が完全に治った事を認めました。彼は社会的能力、言語能力、自助能力、そして運動能力において、実年齢レベルよりも8か月以上であるという診断を得、普通の幼稚園に、特別な教育補佐なしで入園しました。彼の担当教師は、マイルズがクラスの中で最も朗らかで、おしゃべりで、積極的に参加する子どもの一人だと話してくれました。現在ほとんど6歳になりますが、マイルズは1学年クラスでとても人気のある子どもです。4年生レベルの本を読み、友だちつき合いがよく、最近クラスの演劇で演技力のあることを示しました。彼は、姉を深く慕い、想像的な遊びを一緒にしています。このような遊びは、自閉症児には見られないものです。

私の最悪の恐れは実現しませんでした。私たちはとても幸運でした

しかし、私は、食事療法のことを全く知らない不幸な他の親御さんのことを考えました。そこで、1997年に、もう一人の親御さんリサ・ルイスさん(『特別な子どもには、特別な食事を』(粘pecial Diets for Special Kids・Future Horizons, 1998)の著者)と一緒に、国際的支援組織「食事療法のための自閉症ネットワーク」(The Autism Network for Dietary Intervention: ANDI )を始め、ニュースレターの発行を始めました。世界中の親の皆さんからたくさんの手紙や電子メールが舞い込み、食事療法によって成功したとの報告を受けています。食事療法を実行する場合、専門家の指導を受けるのが最も良いのですが、悲しいことに、ほとんどの医者はまだ懐疑的です。

私が最新の調査研究を追跡しているなかで、自閉症が免疫障害の病気であることがますます明らかになっています。私の知っている重い自閉症児のほとんどは、牛乳と小麦に加え、いくつかの食物アレルギーを持っています。私たちのグループの親のほぼ全員が、少なくとも一つの免疫系の問題を抱えています。例えば、甲状腺異常、クローン病(訳注:消化管全体が潰瘍に冒される病気)、セリアック病、慢性関節リウマチ、慢性疲労症候群、ファイブロマイアルジア、またはアレルギーです。自閉症児は、恐らく遺伝的に免疫異常を起こしやすいのだと思います。しかし、何が実際の引き金になるのでしょう?

親の多くは、生後15ヶ月頃に、子どもの自閉的行動が始まったと断言します。子どもがMMR(はしか、耳下腺炎、風疹)ワクチンを受けた直後です。私は、マイルズが言葉や社交性を失い始めた頃の写真やビデオ・テープを検証した結果、MMRワクチンと一致している事を認めざるをえませんでした。マイルズはワクチン摂取を受けた後、摂氏41度(106°F)の高熱を出し、熱性発作のために緊急治療室へ行きました。最近、小さな研究が英国の研究者アンドリュー・ウェークフィールド医師によって公表されました。それによると「はしか」のワクチンが、小腸に障害をもたらすというものです。この研究は、幻覚を誘発するペプチドが血流へ漏れるメカニズムを説明してくれます。MMRワクチンが自閉症の引き金になっているとしたら、ある子どもたちはより高いリスクに直面している可能性があることを見つけなければなりません。そうであるなら、予防注射を受けるべきではないし、もっと成長してから予防注射を受けるべきなのかもしれません。

もう一つ新しい進展があり、私たちに希望を与えてくれています。:ジョンソン・アンド・ジョンソン社の臨床整合診断部門の研究者たち(実は夫もここに所属) は現在、自閉症児の尿の中にあるペプチドの異常値を研究しています。私の希望は、まだ幼い子どもが自閉症かどうかを確認する一般的な診断テストが開発され、自閉症の幾つかのタイプが代謝異常と認められ、グルテンや乳製品なしの食事療法が代替医療の領域から主流に変わるという事です。

自閉症という言葉は、かつて私にとってほとんど何の意味も持たないものでしたが、私の人生を深く変えました。それは奇怪で招かれない客のように、私の家へやって来ましたが、最終的には贈り物をもたらしてくれました。私は祝福を二度うけました。一度は、自分の子どもを取り戻すという驚くべき幸運を得たこと。二度目は、医者に見放され、親が悲嘆にくれる他の自閉症児たちを助けることができることです。(2000年2月)
 

(柿谷正期・岩井智子共訳2002年5月)

書籍『自閉症および広汎性発達障害のミステリーを解く』-調査そして答えを発見した母親の物語

カリン・セルーシー著。2000年2月出版。

(Unraveling the Mystery of Autism and Pervasive Developmental Disorder: A Mother's Story of Research and Recovery by Karyn Seroussi, Published by Simon & Schuster, February,2000)

この記事は著者の許可を得て翻訳されました。

 

食事療法で自閉症が完治!!―母の命がけの取り組みで奇跡が起きた真実の物語 単行本(ソフトカバー) – 2012/9/4
キャリン・セルーシ (著),

 





 

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