2023.04.06
脳の大敵は慢性的ストレス⑥
脳科学的栄養学No.225
102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座
◇脳の大敵は慢性的ストレス⑥
そもそもストレスは、生きていく上での様々な要求に対する正常な心理的・身体的反応です。
言い換えれば、ストレスは自然な反応であり、悪影響だけでなく健康上の利点もあるということです。
体の闘争・逃走反応(ストレスに満ちた状況や、生命を脅かすような状況に不意に陥ったときに起きる一連の反応)は、例えば、捕食動物に追いかけられたときに素早く逃げるためや、暴漢に追いつめられたときに戦うため、大切な人を下敷きにした2トンの車を持ち上げるためなどに、必要なホルモンと化学物質の産生を促し、脳を活性化するのです。
ストレスは、生きるか死ぬかといった状況で役立つだけでなく、健康にとって有益な働きもします。
適度なストレスは、行動を起こすモチベーションになり、仕事を達成するために必要な集中力を高めます。
また、ストレスの多い状況が終わると、私たちは満足感や達成感を覚えます。
ここで重要なのは、「ストレスの多い状況が終わる」ということです。
ストレスの多い状況が終わらず延々と続くと、脳に悪影響が及ぶことになる。
動脈の内壁にプラークが蓄積して動脈が狭まり長期的なダメージをもたらす上、ストレスのせいで首の筋肉が緊張するため、脳への血流がさらに減ることに。
慢性的なストレスがニューロンに恐ろしい影響を及ぼすこともあります。
強いストレスが長期間続くと、新たなニューロンが生まれなくなり、それどころか、既存のニューロンが死に始めてしまう。
慢性的なストレスは、脳組織の老化ももたらし、脳震とうや神経変性疾患に似た形で、ニューロンの寿命を縮めます。
ストレスの強い時期を生き延びたニューロンも、健康というわけではありません。
ストレスはニューロンを過剰に活性化させます。
この状態が続くと、新たなニューロンの経路が形成されて脳の働きが変わることもあるのです。