「〇〇は体にいい」を一度疑ってみる | 薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

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薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

2018.11.07

「〇〇は体にいい」を一度疑ってみる


科学的栄養学 No.8

「〇〇は体にいい」を一度疑ってみる

日本では病気を予防する栄養学よりも、病気を治す医学が重視されてきました。

しかし、高齢化の進展や生活習慣病の増加に伴う医療費の高騰により、近年は、「予防」が注目されるよう変わってきました。

日本の国民皆保険は素晴らしい制度ですが、この制度が予防に対する国民の意欲を損ねてしまったという一面があると感じてます。

もし病気になっても、少しの治療費で治してもらえると思ったら、努力して健康になろうとは思いませんよね。

私は永年、製薬会社で医療用医薬品の研究開発に携わってきましたが、例えば錠剤1錠にしてもあの中には、開発に要した高度な知的財産と技術、そして莫大な費用が凝縮されているのです。

ですから、抗がん剤などの先端医療のお薬には1錠数万円もするものもあるのです。

しかし、保険制度に守られて通常のお薬代は廉価で、患者さんの多くは薬が高価なものとの意識は持っていないのではないでしょうか。

でも、治療や処方箋に数10万円かかると言われたらどうですか? 

おそらく必死に予防に取り組みますよね。

それがアメリカ社会です。


アメリカ人は収入が多い人ほど健康で、少ない人ほど不健康な傾向があるという。

それは、収入が多い人は知識があり、問題を切実に捉える理解力があることが多いからです。

30年後の自分と今の自分を同等に捉える力があれば、未来のために、今、何をするべきかが分かります。

しかし、知識や理解力が欠けていると、今が幸せならいいや、と何もしません。


日本も本気で予防に取り組む時代になってきたのは、このままでは保健医療制度が維持できなくなるという背景があるのです。

そこで、予防が大切だからといって、本当かどうか分からない情報を簡単に信じたり、自分の体を使って試したりすることは、命や健康を軽んじる危ない行為でもあるのです。

今、それをやると将来どうなるのか? と客観視することが大切です。


私たちは、家のローンを組む際に、未来のシナリオを想定しリスクを考える。

当たり前だが、宝くじが当たることを前提にローンを組む人はいませんよね。

ビジネスシーンでも同様。

宝くじに当たることを前提に収益の予測をする人はいない。

学問的に真偽が明らかにされていない情報をうのみにして、特定の食材や食事法、健康法にのめり込むことは、宝くじに当たることを前提にローンを組んだり、収益の予測をするようなものです。


食べ物は生活に密着した存在なため、私たちは「何を、どれだけ、どのように食べるか」について無頓着な人が圧倒的に多いのです。

しかし、真剣に「予防」に取り組むなら、その情報を真剣に見極める必要がありますね。

そのためにも、食や健康については「原則」を学ぶということがますます大事で、その情報をしっかり伝えていきたいと思うのです。
 

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