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横浜こどもホスピス代表の田川氏に聞く

2021.12.08




はるかの生まれてきた意味

代表理事:田川尚登

1997年に遡ります。

これまで元気に幼稚園に通っていた二女はるかが6歳になったばかりの初夏の頃、朝「頭が痛い」と訴えました。

でも起きると症状は改善します。小児科を受診し風邪薬を処方されましたが、症状は落ち着きません。

2軒目の小児科でも同じことを言われ、絶対に重い病気ではありませんとも念を押されました。

原因がわからずの日々が続きました。夏も終わろうとしていた頃、ふと右足を引きずっていることに気付きました。

すぐに総合病院で受診したら、担当医から画像診断の指示。MRIに映った画像を見て「脳幹に腫瘍があり、治療方法がなくあと半年くらいしか生きることができない」と告げられ状況が一転しました。

「これからは家族で楽しい時間を過ごすことです」との主治医の説明は、あきらめるしかないと言わんばかりに聞こえました。
 

5か月後に娘は旅立ちました。娘と過ごした時間から娘の生きた意味を考え始め、見えてきたものは当時の医療が子どもの気持ち(立場)に立っていないということでした。


娘が亡くなって5年が過ぎて私の転機が始まりました。

課題はいくつもあり、友人とNPO法人スマイルオブキッズを設立して入院している子どもに付き添う家族の宿泊滞在施設を開設したり、病児のきょうだいの気持ちに沿った預かり保育や音楽支援をしたり、NPOとして病院機能の不足部分の支援をしてきました。

しかし、最終的な課題であった娘と過ごした余命の時間の大切さ、命の脅かされた子どもとの豊かな時間ついては、まだ改善が必要です。

目指すのは、英国から世界に広がった「こどもホスピス」を横浜に設立することです。諦めの場ではなく、楽しい時間を過ごす場を創り、病気と闘う子どもとご家族を社会全体で支えていければと願っています。

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はるかちゃんから出された宿題は2021年11月、横浜市にこどもホスピスとして完成しました。

ぐるっとママ横浜は一昨年前から、このこどもホスピスを掲載させていただいており、このように施設(家)が出来上がり、いよいよ子どもたちとそのご家族を迎えようとしていることに感動でいっぱいです。

田川さんは先日、こどもホスピスの近くにある小学校で講演をされ、その模様がNHKで放映されました。

















そしてその日の夜、あるパーティで田川さんとご一緒させていただき、少し話を伺いました。




山本:自分の愛するわが子が難病や障害を抱えてしまった。どのようにしたら、わが子が「幸せ」と思ってもらえることが出来ますか?

田川氏:ごく自然に子どもに寄り添い、母親とのつながりが特に大きいが、家族一緒、一体となって楽しい時間をつくる。そのことは万が一なくなるという事があっても良い思い出となってお子さんは胸に次はこういうことをする・・という意思を持ち、生まれかわる。

山本:母親はどうしても自分を責めてしまいがちだと思いますが、母親にかける言葉をください。

田川氏:全然、母親のせいではなくて子どもが母親の許にきて病気や障害になったとしてもそれは母親に愛されたいという思いできていると思うので、そのような気持ちを受け入れていけば、きっと子どもにとって幸せな時間が過ごせて感謝の気持ちになっていると思う。ですから、受け入れてほしい。

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すでに利用の申し込みなども入っているそうです。この施設の運営は皆様の募金で成り立ちます。

ぐるっとママ横浜では皆様からの募金を募るページを作成中です。今しばらくお待ちください。