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第4回「私の子育て」インタビュー 尾花髙夫氏×ぐるっとママ

2020.05.26

「私の子育て」インタビューシリーズ、第4回目は、元プロ野球選手、コーチ、監督など数々の功績を残した尾花高夫さんです。
一年の内、大半を単身赴任で家族の元を離れているプロ野球選手。尾花さんはそのような状況でどのような子育てをしておられたのか?伺いました。

 

<尾花高夫さんの家族構成>
妻・長女・長男・次女

 
私が結婚をしたのは26歳の時でした。その時に女房と色んな話をしましたが、多くの時間を使って話をしたのは子育てのことでした。まず、子供は何人欲しいのか?どう育てるのか?学校は公立か私立か?子供が育つとはどういうことか?親の役割とは何か?など、多岐にわたりました。

そうした中で、私たち夫婦がお互いに決めたことあります。

・夫婦がお互いに仲良くすること。
・子供の前では悪口は言わない。ケンカもしない。
・夫婦がお互いに一番であり、子供は二番。
・挨拶は必ずする。
・最終決定権は父親の私。

一番重要に考えたのは、お互いに仲良くすることであり、子供の前では悪口を言わない(お互いだけでなく、他人の悪口も言わない)ケンカもしないということでした。

これは今思い返しても良かったと思います。子供達は明るく育ってくれましたし、人の悪口も聞いたことがありませんし、問題になるようなこともありませんでした。

それと、夫婦がお互いに一番にしていたことも良かったと思います。子供達には「ママが一番」ということをいつも言っていましたね。子供達は「エ~何で~」と言ってはいましたが嬉しそうでした。

例えば、子供が小さいときに私が出かけるときは全員とハグをして出かけたのですが、ハグをするときも女房から長女・長男・次女という順にしていました。外食するときもまず、女房に何が食べたいのか聞きます。女房が「お寿司が食べたい」と言えばお寿司で、女房が、「今日は私何でも良いわ」と言って初めて子供達に決めさせるのです。

仕事柄(プロ野球)遠征が多くありましたので、お土産を買って帰ることも多くありました。その時も、直接子供には渡さずに、まず女房に渡します。例え子供に買ってきたものであっても女房に渡してから子供に渡るようにしていました。

女房も私をいつも一番にしてくれました。食事・睡眠・タイムスケジュール、全て私を優先して動いてくれました。子供達はそういうことを見て育ちましたので、今でも私たちを優先してくれますし、誕生日や母の日・父の日なども必ず祝ってくれます。

これは我が家の習慣にもなっていますが、家族の誕生日には我が家に全員集まってお祝いをするのが当たり前になっています。よっぽどの理由が無い限り行っています。ですから年に5回は皆集まると言うことです。
 

思い出に残るエピソード

思い出に残っているのは、優勝旅行ですね。1997年のヤクルトの優勝旅行では息子と2人でラスベガスに行きました。2000年のダイエーホークスの優勝旅行では次女と2人でハワイに行きました。

長女は優勝旅行には行っていないのですが、これは小学校一年生の時から中学校三年生まで一日も学校を休んでおらず、学校を休みたくないということと受験が重なったためです。
女房も一回も行っていないのですが、これは常に誰かしら子供が家にいて面倒を見なければいけなかったからです。

息子とのラスベガスは、色々なホテルでのアトラクションで遊んだりショーを観たり、恐竜館に行ったりして楽しみました。恐竜館はラスベガスの外れにあり、行くことをためらいましたが、当時、息子が恐竜にとても興味を持っているときでしたので、意を決して行きました。帰り道が、来るときと違ったので何処かに連れて行かれるのかと思い、身構えましたがちゃんと帰ることが出来「ホッ」としたのを覚えています。

次女とのハワイは、ハワイ島が主でしたので海で泳いだり、海底を散策する船に乗って海の中を観たり、ヒルトンホテルの電車や池のボートに乗ったりして楽しみました。娘のしたいことや観たいところに行きましたので、とても疲れたのを思い出します。

オアフ島では金田正一さんのお店で、王監督と食事も御一緒にさせていただき、次女はこのハワイ旅行がとても思い出に残っていると今でも話をします。

7回のリーグ優勝と4回の日本一を経験し、優勝旅行に長女と女房が一緒に行けなかったことと、家族全員で優勝旅行に行けなかったのはとても残念ですね。

それと仕事柄、夏休みに何処かに遊びに行くことも旅行に行くこともほとんどありませんでしたが、唯一、オールスター休みだけは遊びに行けるのでキャンピングカーを借りて旅行に行ったことがあります。家族との旅行はしたいけれど、オールスターに出られないのは成績が良くないと言うことなので、複雑な思いで旅行に行っていました。

ですから、子供達との夏休みの思い出はキャンピングカーでの旅行ぐらいで、夏休みの写真に私はほとんど写っていません。
 

中学の頃の反抗期はどのようなものでしたか?

3人の子供は反抗期らしきものは無かったですね。強いて挙げるとすれば、長男が高校生になってから女房に対して口答えをするくらいで、私に対しては全くありませんでした。

女の子も2人いますが、世間でよく言うお父さんの物と洗濯一緒にしないでとか、お父さんキモいとかも全くありませんでした。これは女房が普段から子供達に、「パパは凄い人なのよ」「パパは皆のために休みの日も働いているのよ」「パパが頑張ってくれるから生活出来るのよ」と、言ってくれていたからだと思います。

ですから、子供達は私に対しては敬いの思いを持ってくれていたと思います。

私は仕事柄、一般の方がお休みの時に働かなければならないのと、遠征が多く1年の半分以上は家にいない生活をしていましたので、女房には本当に負担を掛けたと思います。しかも、子供達が多感な時期に(長女15歳~22歳、長男10歳~17歳、次女7歳~14歳)単身赴任で7年も福岡に行っていた時期もありましたので、ほとんど母子家庭に等しい位で、女房には感謝の言葉しかありません。

学校の行事にも行ってあげる事もほとんどありませんでした。これは仕事とはいえ、子供達には寂しい想いをさせたなと反省しています。そういう私に、子供達は不満を言うことは一度もありませんでした。私がいないのが当たり前と思っていたのだと思います。私がいない中でも反抗期もなく素直に育ってくれたのは全て、女房の子供達に対する関わりが良かったからだと思います。

勿論、私が何もしなかったわけではありません。遠征先から毎日電話をして、女房と子育てに関する話やその日その日の子供達の出来事を聞いたりして、子供達の様子は常に把握していました。子供達とも電話で話をしたりして、寂しい想いをさせないようにしていました。家にいる時も、朝6時には起きて子供達が学校に行くまでの1時間~1時間半、コミュニケーションを取る時間にしていました。
 

勉強についてはどのような指導を?

勉強については、私が勉強をしてことがなかったので何をどう教えて良いのか分からないので、教えることはなかったですね。物心ついたときから野球が好きで没頭していましたので、言い訳ですが勉強する時間が・・・小学6年生までは学校での授業を聞いていたらテストの点数もそこそこ取れていたので、「これでいいや」と、勉強しなかったです。

しかし、中学生になって英語や古文などが増えて、途端に分からなくなりました。でも、野球がまあまあ出来たので、「野球で高校に入って甲子園に出て、スカウトされてプロに行こう」と、軽々しくノー天気に考えていました。

ですから、自分が勉強しなかったので、教えることはしませんでした。それより何か一つ好きなものを見つけてそれを追求して行きなさい。ということは言っていましたね。

ただ、自分が大学に行かなかったので、息子には大学に入って欲しいという想いがありました。ですから、教えることはありませんでしたが「勉強しろよ」とは言っていたと思います。これが良くなかったのか、大学には行きましたが勉強は好きにはならなかったですね。子供に「勉強しろよ」と言い過ぎるのは良くないですね。

 

今、子育てをしているパパやママにアドバイスを

子育てにはリハーサルはありません。常に本番です。親の欲求を押しつけるのではなく、子供にとって何が最善かを常に考えて支援してあげて欲しいと思います。そのためにも、夫婦が仲良くお互いを尊敬し合う関係を子供達に見せてあげて欲しいと思います。子供にとって、両親が仲が良いという環境が一番幸せなのです。

子供にとって親は人生最初の先生です。

親は子供のお手本となるような行動を取る事が大切だと思います。挨拶・返事を気持ちよくする。ルールや約束は必ず守る。礼儀や秩序を重んじる。そして、2つのジリツ。自立と自律が出来る子供に育てば、親の役割は果たしたことになると私は思います。

「自立」とは、自分で稼いで自分で生活出来るようにすることです。

自立するためには働き、そして、その対価としてお金をもらい、そのもらったお金の範囲で生活をする。これが社会の基本です。お金は生活する上においてとても大切なものですが、この大切な事を学校では教えてくれません。これが不思議です。学校で教えてくれない分、家庭でシッカリ教えることが大切だと思います。

お小遣いもむやみにあげるのではなく、お手伝いの対価としてあげるようにしておくと、子供はお金の価値が分かり無駄遣いをしなくなります。掃除をしたり洗濯物をたたんで部屋に持って行ったり、後片付けやお皿洗いをしたり、お遣いなど、お手伝いはたくさんあります。実際、私の所もお手伝いの代価としてお小遣いをあげていました。

それと、お遣いに行って10円・20円とおつりがあるとき、そのままお駄賃として渡すときがあると思いますが、私の所ではおつりはいったん受け取ってから、お駄賃をあげる時は「ありがとう、これお駄賃」と言って渡すようにしていました。これは、おつりを貰わずそのままお駄賃として渡す習慣がつくと、返さないでお駄賃としてもらうのが当たり前になってしまうと考えたからです。

私の所では、家庭内でのお金の貸し借りもキチンと精算するようにしています。他人行儀と思われるかも知れませんが、お金は多い・少ない、他人・身内にかかわらずキチンと綺麗にすることが、信頼に繋がると思うからです。周りの人からするとちょっと異常かも知れないですね。

「自律」とは、ものの善悪が判断でき自分を律する事が出来るようにすることです。

子供は、嘘をついたり・悪口を言ったり・ルールや約束を守らなかったり・意地悪をしたり・友達を叩いたりと、無意識にすることがあります。こういうときにキチンと教えることが大切だと思います。頭ごなしに怒鳴ったりすると子供が親に恐れを持ったり、反感を持つことになりますので、子供の言い分を良く聞いてあげて、親の気持ちを伝えることが大切だと思います。

「パパはママはこう思うよ」と子供に親の気持ちを伝えれば、物の善悪の判断が付くようになって、自分を律するようになると思います。面倒がらずに子供達と接することが大切ですね。

最後になりますが、子供をたくさん褒めてあげて下さい。
承認してあげて下さい。
一緒に楽しんで笑って下さい。
そうすれば子供は親を大好きになりますし、明るい未来が待っていると思います。
 
  


 
(尾花様 この度は貴重なお時間を頂戴し、掲載にご協力して頂き、誠にありがとうございました。)