まなみさん「人生観が180°変わった出産体験」 | 第1回ぐるっとママ懸賞作文

「私の出産」~母から子へ伝えたい言葉~

第1回ぐるっとママ懸賞作文

まなみさん「人生観が180°変わった出産体験」

『子どもを育てる、のではなく、子どもに育ててもらっている、と言ってもいいくらい君が産まれてママも成長しています。』

 
「あなたは子ども好きですか?」
そう聞かれたら、あなたならなんと答えますか?
2018年の私なら即、こう答えたでしょう。
「いいえ。」

初めて妊娠する前の私は子どもが苦手でした。私は化粧品販売の仕事をしていたので、お客様が連れて来る小さなお子様は天敵でした。
お母さまとお話をしたいのに、騒いだり、勝手に商品を触ったり、しまいには「帰ろうよ~」とぐずり始める。そうするとお母さまは「子どもが騒いでいるからまた今度来ます…」と帰ってしまう。
他人の子どもを可愛いと思うこともありませんでしたし、正直言って迷惑でした。身近に小さな子どもがいなかったので、どう接していいかもわからなかったというのも大きかったと思います。

そんな私なので、27歳で結婚しても別に子どもが欲しいとも思わずに、昇進したばかりのマネージャー職をがむしゃらに頑張って、休日は気の合う同僚と都内のおしゃれなランチに行ったり、日帰り旅行に行ったり、好きなバンドのライブに行くために遠征したり、自由なお金と時間を満喫していました。
一方、私の夫は昔から子ども好きで、甥っ子や姪っ子をはじめ友達の子どもと楽しそうに遊んだりする人でした。

2018年のある日夫からまじめな話があると急に言われ、何かと思ったら、
「やっぱり子どもが欲しいんだけど、どうかな?」と。

結婚から約4年。自然に妊娠することなくここまで来てしまったので、私たち夫婦はいわゆる「不妊」という状態にあたりました。そのため夫からこの言葉を聞いた私は=不妊治療に踏み込もう!と言われていると解釈しました。
今の充実した生活を崩し、好きでもない子どもを妊娠するために不妊治療を続けられるだろうか?自分の子どもは可愛いと思えるのだろうか?向こう20年以上子どものために生きていけるのだろうか?私は黙り込んで頭の中でぐるぐる考えました。そして、気が付いたら私は泣きながら夫にこう伝えていました。

「一生子どもがいらないかと言われればそれはわからないけど、今すぐに不妊治療をするよ!とはどうしても言えない。私と結婚なんかさせてしまって申し訳なく思ってる。子ども好きな奥さんだったらこんなことにならなかった…」
夫はすぐに「そんなつもりで言ったわけではなかったんだけど、追い詰めてしまったなら本当にごめん。たとえ子どもがいないままだったとしても君と結婚しなければよかったなんて思わないよ。本当にごめん。子どものことは考えなくてもいい」と言ってくれました。私はさらに申し訳なくなりましたが、とりあえず、向こう半年は今まで通り無理せず、自然に任せさせてほしいと頼み、夫も快諾してくれました。
そして、その月、私はなんと妊娠しました。

その妊娠は残念ながら8週で流産となってしまうのですが、そのことがきっかけでやっぱり赤ちゃんを産みたい!という気持ちが私に芽生え、約半年後幸運なことに再び妊娠することができ2019年10月8日、無事に長男が生まれました。とっくに赤ちゃんを迎える心構えができていた夫はもちろん、子ども嫌いの私も十月十日の妊婦生活中に急激に母性が目覚め、産まれてきた赤ちゃんは毎日毎日可愛くて仕方がない存在となりました。

よく、ドラマや映画で悪者に襲われた母親が「私はどうなってもいいのでこの子だけは…!」というシーンを見かけますが、今ならその気持ちが痛いほどわかります。この子のためならどんなことでもしてあげたいし死んだって構わないと思うのです。

街ですれ違う人に「今が一番かわいい時期ね」なんて言われますが、息子が三歳になろうとしている今でも毎日一番今が可愛いです。そして、不思議なことに他人の赤ちゃんにも自分の子どもの姿を重ね合わせて愛しいと思えるようになりました。息子の存在が、私を人として成長させてくれ、今まで見えていなかった世界をたくさん見せてくれているんだなと感じています。

生まれてきてくれて本当にありがとう。

 

神奈川県 まなみさん
題名:人生観が180°変わった出産体験
子ともへ伝えたい言葉「子どもを育てる、のではなく、子どもに育ててもらっている、と言ってもいいくらい君が産まれてママも成長してい」