磯谷恵実さん「親と子の結びつき」 | 第1回ぐるっとママ懸賞作文

「私の出産」~母から子へ伝えたい言葉~

第1回ぐるっとママ懸賞作文

磯谷恵実さん「親と子の結びつき」

『家族の絆が深く結ばれたのは、あなたがいてくれたから。あなたという存在に感謝を伝えます。』
 

8歳になるあなたへ。
この文を読むのは、あなたの背がわたしにもう少し近づいた頃。

今日という日に感謝します。
今日はあなたが産まれてきてくれた日。

忘れもしない、
2014年2月20日
初めての出産。36時間の陣痛の末、産まれてきたのは2880gの元気な元気な女の子!

あの日、あなたが産まれてきてくれて
羊水と、胎脂と、お乳の匂いがする
頭をぎゅっと抱きしめて
こんなにもこんなにも愛おしい存在が、この世界にはいるんだ
って涙がとめどなく溢れてきたの。

だけどごめんね。

愛おしい、大事にしたい、あなたを世界で一番幸せな子にしたい
って溢れる気持ちに、
わたしはひとりで圧倒されてしまって。
嬉しい、幸せ、
と同時に、「ちゃんとこの子を幸せにできるのかな」って怖くなったの。

わたしはあんまりいいお母さんじゃないね。
この8年いっしょに過ごしてきて、きっとあなたなら知ってると思うけど。

 あなたを育てていると、
まるでわたしの人生を1からなぞるような感覚がありました。
小さなあなたが、幼い日のわたしに重なったんです。

そしてそれは、わたしの母の癒えない悲しみを辿る旅路でもありました。

母と娘。そしてそのまた娘。

とても不思議なつながりだね。

“苦しみの輪”だと思い込んでいたものは、わたしたち家族をつなぐ
深い、愛おしい、結びつきでした。

自分の今まで生きてきた道のりを愛おしく思えたとき、
娘であるあなたの人生を背負おうとしていた身体の緊張がほどけていくのを感じました。

わたしは母にされて嫌だったことを
娘であるあなたにしてしまうんじゃないのかって
とても怖かったの。
「悪いお母さん」になるのが嫌で、「良いお母さん」になろうとしていた。
「良いお母さん」になろうとすればするほど、「悪いお母さん」にそっくりな自分にガッカリする。

だけどね、そうじゃないんだってこと。やっと分かったよ。
母の最も嫌だったことを心から愛せたとき、あなたへの想いも大きく大きく変化しました。
「良い」も「悪い」も越えたところに、本当にあなたに渡したいものがみえました。

「色んな人の中であなたらしさを磨いて、人とつながりながら、あなたのいのちが輝くことをして社会に貢献していってほしい」
今は、心からそう思えます。


 本当に色んなことがあったね。
わたしはあなたに育ててもらっているような、そんな毎日を愛しく思えるようになったよ。
前はそれが情けなかったんだ。
「これでいいんだ」ってやっと思えるようになったよ。

“あなた”という存在を通して、
わたしは人生に向き合う覚悟が決まったんだよ。本当にすごいね。
あなたは、あなたのままで素晴らしい。

あなたが生きているというだけで
こんなにも人を変えてしまう“力”がある。


二重跳び、できるようになったね。
漢字、字がしっかりマスに入ってるね。
マル◎
カレーが作れるようになったね。
少しずつ、大人になっていくあなたを誇らしく思います。

この先
あなたの人生には優しさも厳しさもどちらもあります。
上手くいかないことや困難もあるし、
傷つくこともきっとあるでしょう。

ただただ、
あなたらしく生きることを、
その道のりを
わたしは愛します。

たまに口うるさく言うと思うけど、そしたらまた仲直りをしよう。

プレゼントのポケモンゲーム、やりすぎないでね。
整理整頓、がんばろう。
あんまり気を使いすぎんでもいいからね。

ほんのひととき、
家族でいられる時間を大切にしていこう。

わたしたちのもとに産まれてきてくれて、
本当に本当にありがとう。

お誕生日、おめでとう!大好きだよ。

 

愛知県 磯谷恵実さん
題名:親と子の結びつき
子どもへ伝えたい言葉:「家族の絆が深く結ばれたのは、あなたがいてくれたから。あなたという存在に感謝を伝えます。」