金子 佐世子さん「尭年舜日〜穏やかな日々〜」 | 第1回ぐるっとママ懸賞作文

「私の出産」~母から子へ伝えたい言葉~

第1回ぐるっとママ懸賞作文

金子 佐世子さん「尭年舜日〜穏やかな日々〜」

『長男・舜が生まれて、仕事で追われていた生活が穏やかなものになり、次男・尭生が生まれて、家族が完成した。2人の母でいられることが幸せで、4人でいられる時間が最高に楽しい。』
 

私には6歳と4歳の息子がいる。

戦いごっこをし、YouTubeチャンネルを取り合う。
でも、いつの間にかピッタリくっついてテレビに向かい、戦いごっこの終盤はぎゅー。保育園では隣でお昼寝をしたがる、とても仲の良い素敵な兄弟だ。

長男は舜(しゅん)。次男は尭生(あき)。
中国の四字熟語『尭年舜日』=穏やかな日々を表している。
二人が過ごす毎日が穏やかで平和であるように、と、夫と考えた大切な名前である。
二人のお蔭で、私も夫も穏やかで幸せな毎日を過ごしている。

若い頃、イベント制作会社での激務に耐えながら、週末はホステスのアルバイトをしていた。
毎日飲酒をし、規則正しい毎日とはかけ離れていた。

結婚し、長く子どもはできなかった。粘膜下筋腫があり、手術をして子宮内を整えることから始めた。
2回の手術、タイミング法、人工授精、そして体外受精(顕微授精)をしたが妊娠せず。仕事との両立があまりにも辛くて、治療で処方されるホルモン関係の薬の副作用も辛くて、「もう消えてしまいたい」、夜中に突然泣き出すくらい不安定だった。

主人と相談し、その時取り組んでいた大きな案件を納品したら働き方を変える、それまでは治療を休む、と決めた。
腹をくくって仕事に専念できたことがストレス軽減になったのか、案件を納品できた1週間後、長男(=舜)の妊娠が判明。
激務の中、私の子宮にしがみついてくれていた舜。それだけで親孝行な息子だと感じた。

妊娠4ヶ月の頃、長年勤めた会社が倒産した。
別会社への移籍、案件の移行手続き…。
忙し過ぎて、夫に「それ以上無理するのは、お腹の子を虐待しているのと同じ。」と言われてしまうこともあった。

産前休暇に入った日に「切迫早産」で入院。
24時間点滴を打ち、子宮の収縮を防ぎながら、無理をしていた日々を悔い、何度も舜に謝った。

少し早めの帝王切開。その時またもやトラブルが…!
「赤ちゃん出ますよー」の時に「グッ」「グッ」と苦しそう。
テレビなどで目にしていた「オギャー」の声が聞こえない。何かが詰まったような、泣きたいのに泣けない、そんな声。
抱っこできずにすぐに保育器に入れられた。
小児科の先生から「長男くんは今日が山です。すぐに提携している大学病院のNICUに搬送します。」と言われ、パニックに。

なぜ正産期まで待ってあげられなかったのか、仕事を早く休めなかったのかと自分を責めた。
命に別状はないことはわかりホッとしたが、産科にいるほかのママさんたちのように抱っこしたり、授乳をしたり、面会に来た家族に会わせてあげたりができず、悲しかった。

保育器の穴に手を入れて、そっと撫でてあげることしかできなかった。
私が退院してからも長男は入院中だったので、毎日搾乳をして母乳を届ける日々。
約1か月後、長男は無事に退院した。

一方、次男(=尭生)の妊娠・出産は超スムーズ。
長男で時間がかかった分、長い不妊治療になると思ったけど、妊活をはじめてすぐに妊娠。
いまか、いまか、と順番待ちをしていたかのように。

トラブルなく出産の日を迎え、テレビに出てくるような元気な鳴き声の尭生が生まれた。

長男・舜が生まれて、仕事で追われていた生活が穏やかなものになり、次男・尭生が生まれて、家族が完成した。
2人の母でいられることが幸せで、4人でいられる時間が最高に楽しい。

妊娠・出産時に起きたトラブルは、そのときはつらく、苦しいが、ひとつひとつに対して向き合い、周りの人たちに甘えながら前に進むことで、自分の財産と言える経験に育っていくと実感している。

これからも色々なことが起こると思うが、家族の健康、自分の健康を第一に、仲良し家族でいられるように、ゆるゆるとママ業に励みたいと思う。

 

神奈川県 金子 佐世子さん
題名:尭年舜日〜穏やかな日々〜
子どもへ伝えたい言葉:「長男・舜が生まれて、仕事で追われていた生活が穏やかなものになり、次男・尭生が生まれて、家族が完成した。2人の母でいられることが幸せで、4人でいられる時間が最高に楽しい。」