mikityさん「生きる」
『今は何も見えなくても、必ず道はひらけるから』 予定日1週間超えても、あなたはお腹でのんびりしていました。 医師からは、「とにかく歩いてください。来週まで生まれなければ促進剤です。」と言われ、あなたのおばあちゃんと私は、臨月の大きなお腹で6時間も鎌倉を散策しました。 後からおばあちゃんは、「内心、生まれちゃうんじゃないか」と気が気じゃなかったと笑っていました。その甲斐あって、その日の夜、陣痛が始まりました。でも、若かった私は、お産を甘く考え体重管理を怠り17キロも体重が増えたせいで、陣痛は微弱…34時間もかかりました。 あなたはお腹の中で苦しかったと思います。生まれたばかりのあなたの声が聞こえず…小児科の先生や助産師さんがなにか焦っているように見えました。 会陰の処置が終わると医師から「羊水の中で胎便をしてしまい、汚れた羊水が肺に入ってしまいました。胎便吸引症候群です。今から設備の整った病院に転送します。」と告げられました。 胎児仮死…頭が真っ白になりました。 転送前、あなたがクベースに入る直前にようやく私の腕の中に。ほんの一瞬の対面で離れ離れになりました。 1週間後、ようやく退院した私は、すぐにあなたに会いに行きました。たくさんの管が繋がっている姿を見て、私はボロボロ泣いてしまいました。その後徐々にあなたは回復して、元気に退院できました。呼吸器の障害が心配でしたが、保育園でも活発に成長し、小学校高学年からはバスケットボールを始めました。高校卒業までバスケ部で頑張りましたね。 あなたは決して華やかなプレイヤーではなかったですが、縁の下の力持ち的な存在で、周りのみんなを支えられたのではないかなと思っています。人から与えられるより人に与える方が難しい。あなたはそれができる人に成長してくました。私はそんなあなたがなにより誇りです。 今、あなたは人生の岐路に立たされています。19歳になり、自分の意思で意思決定し未来を見据えた行動を求められています。今この瞬間の判断が人生を大きく変えます。 だから今、頑張ってほしい。逃げずに壁を乗り越えて前に進んでいってほしいです。起こしてしまった失敗や過ちをきちんと受け止めて、落ち込んで、また前を向いてほしいです。生まれたあの日、一生懸命に生きようとしたあの力。体の奥底から目覚めさせほしいです。 そしていつか、あなたが人生を振り返った時に、槇原敬之さんの「僕が1番欲しかったもの」の歌詞みたいに、たくさんの人の笑顔で溢れていてほしいです。あなたはたくさんの人を幸せにできる力があるし、たくさんの人に愛してもらえる人だと思うから… 神奈川県 mikityさん 題名:生きる 子どもへ伝えたい言葉:「今は何も見えなくても、必ず道はひらけるから」