ゆうこさん「これから生まれてくるあなたへ」 | 第1回ぐるっとママ懸賞作文

「私の出産」~母から子へ伝えたい言葉~

第1回ぐるっとママ懸賞作文

ゆうこさん「これから生まれてくるあなたへ」

『人生で一番幸せな時間それはあなたを生んで一緒に過ごした時間』
 

「あ!また動いた」最近日増しにあなたの胎動がはっきり分かるようになって来ました。

私は毎日お腹を擦りながらあなたと会える日を待っています。そしてこれまでの長い道のりを思い返しています。

小さい頃、私は子どもが大好きな子でした。だから、将来は必ず結婚して子どもを育てるんだと考えていました。しかし、現実は希望通りにはいかず、大人になった私は30歳を過ぎても40歳が近付いてもなかなか良い結婚相手に巡り合うことができませんでした。焦った私は高いお金を払って結婚相談所に入会し、必死になってお見合いを繰り返しました。何度も何度もお見合いを繰り返しても上手く行かず諦めかけたのですが、ついに「この人なら…」と思える相手に出会いました。ただ気になることが一つ。相手の男性も40代後半と高齢なこと。子ども欲しさに婚活をしていた私は交際期間中に、その人に子どもを作れる体かどうかの検査をお願いしてしまいました。相手の男性は快く応じてくれて検査結果は問題なし。そのあと無事に結婚できました。

しかし、その時点で私は38歳。子どもを設けるのにのんびり時間をかける訳には行きません。すぐさま不妊治療のクリニックを受診しました。そして説明を受け人工授精での妊娠を決断しました。でも、これも想像していたよりも大変な道でした。直ぐに人工授精ができるのかと思っていたのですが、その前に様々な段階があり、母体の検査やホルモンのバランスの調整を行いました。また、子宮内ポリープが見つかったのでその除去手術も必要でした。そしてついに人工授精。これも必ずしもすぐに成功するものではないのです。最初のトライでは受精卵は全滅。二回目のトライでは受精卵は余り良好な分割状態では無く、移植手術はしたものの上手く成長せず流産。ここまで何度も何度もクリニックに通ったのですが、仕事との両立は多忙の極みでした。また、クリニックにお支払いするお金もとても大変な額になっていました。本当に心が折れそうになりました。

けれども三回目のトライ、クリニックに通い始めてから約一年が経とうとした時に、ついに受精卵が良好に分割してくれました!さっそく移植手術を行い成長を待ちました。「また失敗するのでは?」という不安もよぎりましたが受精卵は確実に胎児にまで成長してくれました。それがあなたなのです。その後は少しの不安と大きな期待の日々。初めてのつわりも経験しましたが、あなたに会える期待の方が大きくて、辛くても乗り越えられました。

だけど、実はね…。私は生まれてくる子は男の子がいいなと思っていました。だからあなたが女の子だと分かった時には少しがっかりしました。でもお腹の中ですくすく成長し、今では私のお腹を元気に蹴とばしてくるあなたのことを考えるとそんなことはどうでもいいことのように思えてきました。

現在妊娠6ヶ月。外の音が聞こえるようになっているそうですね。そんなあなたに毎日話しかけています。私の声は届いていますか?元気で優しい子に育ってくださいね。

最近は実家の母に電話で子育ての思い出話を聞く機会が増えています。母は妊娠、育児をしていた頃は大変だったけれど、人生で一番幸せな時間だったと言っています。私もこれから母と同じように人生で一番幸せな時間を過ごすことになると思います。育児は大変だと聞きますが、あなたに出会うまでの苦労を思い出して一日一日を大切に育てて行こうと思っています。

あなたに会えるまであと4ヶ月。その日がとても楽しみです。そして、もっと先のことだけれど、妊娠、育児をしていた頃がとても幸せな時間だったということをいつかあなたに伝えられればいいなと思っています。

 

神奈川県 ゆうこさん
題名:これから生まれてくるあなたへ
子どもへ伝えたい言葉:「人生で一番幸せな時間それはあなたを生んで一緒に過ごした時間」