もえちゃんママさん「あなたは私のヒーロー」 | 第1回ぐるっとママ懸賞作文

「私の出産」~母から子へ伝えたい言葉~

第1回ぐるっとママ懸賞作文

もえちゃんママさん「あなたは私のヒーロー」

『いつも怒ってばかりでごめんね。そんなママのことをいつも大好き!って抱きしめてくれてありがとう。ママも大好きだよ。』
 

早く起きなさい!準備しなさーい!!
そんな私の怒号で始まるあなたの一日。

あなたは毎日私に怒られてばかりで「ママもえのこと好き?」ってよく聞いてくるよね。
大好きだよ。ぎゅー!って素直にしてあげられたら良いのになんだか照れ臭くてそれができない私。
けどねもえちゃん、覚えていてほしいことがあるの。
私はあなたのことが大好き、そしてあなたは私にとってかけがえのない世界でたった一人のヒーローだってこと。

私の母(ばぁば)は子供が大好きで世話好きで裁縫も料理もとっても上手だった。
地元の関西から離れて関東で働いている私の事をいつも応援してくれていて、結婚が決まった時もとても喜んでくれて、素敵なおばあちゃんになってくれるだろうななんて思ってた。

でもそんなばぁばにがんが見つかり、思い描いていた明るい未来は一瞬にして崩れ去った。
正直もうそんなに長くは生きられないと医師から言われていたけれど、少しでもばぁばの生きる希望になればと働きながら婦人科に通い、薬を飲んだり注射を打ってようやくあなたを授かることができた。
どんな子が生まれてくるかな、名前はどうしようかな、なんて一緒に絵を描いたり服はこれが可愛いかな、なんて言いながら病院のベットで希望に満ち溢れた楽しい話を沢山した。

生まれたらすぐ会えるようにとばぁばと同じ病院に通院し始めた矢先、ばぁばは天国に旅立ってしまった。
あなたを見ることも抱くことも叶わぬまま。
私はその時妊娠9ヶ月だった。

1番の味方だった大好きなばぁばがいなくなって私はもちろん、じぃじや家族皆んな悲しみでいっぱいだった。
毎日泣いて泣いて真っ暗な世界に閉じ込められたような日々だった。

でも1ヶ月後、あなたは元気に生まれて来てくれた。
初めての出産なのに4時間で生まれてきてくれたから関東にいたパパは立ち合えなかったけど、でもそのかわり、分娩室の外で待っていたじぃじが生まれて間もないあなたを抱っこしてくれた。

毎日毎日泣いていたじぃじの久しぶりの笑顔を見ることができた。
あなたが生まれた瞬間、私達の真っ暗だった世界にとっても明るい綺麗な一輪の華が咲いた。

あなたが生まれてからの日々は初めてのことだらけでとっても忙しく悲しさなんて感じる暇さえ与えてくれなかった。
じぃじや親戚、皆んなであなたのお世話をしてあなたの笑顔や可愛い泣き声に癒され、皆んなはまた明るい日常を取り戻すことができた。

今は3人姉弟の一番お姉さん。
下の子二人の世話に追われて、寂しい思いをさせてしまってごめんね。

「家族の中で誰が一番好き?」と尋ねるあなたに「皆んな大好き!」と答えると不満そうなあなた。
でもね、私のヒーローはあなただけ。
真っ暗で悲しみに溢れた世界から私達家族を救いだしてくれた、世界でたった一人のヒーロー。

あなたは笑顔や泣き声でぽっかり空いた心の穴を埋めてくれた。
私に将来の夢を与えてくれた。
じぃじに生きる希望を与えてくれた。
本当にありがとう。

あなたはばぁばに会うことはできなかったけど、ばぁばはプレゼントを置いていってくれたよ。
そう、それはあなたの名前。
人生で一番最初にもらう素敵なプレゼント。

萠ゆる華のような素敵な人生を。

萠華、生まれて来てくれてありがとう。
私の夢はあなたの子供のお世話をすること。
初めての子育ては大変で、ばぁばがいてくれたらなと思うことが沢山あったから、私はあなたにそんな思いさせないように頑張って長生きするね。

あの日からもうすぐ7年。
今までもそしてこれからもあなたは私にとって、私達家族にとって、世界でたった一人のヒーローだよ。

悲しみから救ってくれて、ありがとう。
生きる希望を、ありがとう。
生まれてきてくれて、ありがとう。

 

神奈川県 もえちゃんママさん
題名:あなたは私のヒーロー
子どもへ伝えたい言葉:「いつも怒ってばかりでごめんね。そんなママのことをいつも大好き!って抱きしめてくれてありがとう。ママも大好きだよ。」