竹内文香さん「あなたと出会えてママは幸せ」 | 第1回ぐるっとママ懸賞作文

「私の出産」~母から子へ伝えたい言葉~

第1回ぐるっとママ懸賞作文

竹内文香さん「あなたと出会えてママは幸せ」

『幸せのかたちが多様になった現代で、あなたはどんな幸せを見つけるのかな?あなたの人生が、笑顔いっぱいでありますように。』
 

あなたが産まれたのは2020年の年が明けた寒い冬の日です。ニュースでは「いよいよ今年はオリンピックイヤーです」という言葉が飛び交い、日本がワクワクした空気に包まれている一方で、中国では原因不明のウィルスが流行り始めていました。

ただの会社員だったママは、母親になり、人生が180度変わりました。
あなたと出会うまでの話をしたいと思います。

結婚前は毎日終電近くまで働き、仕事漬けの日々でした。毎日満員電車に飛び乗り、ヒールを履き重たいバッグを持って走り回っていました。
食事はだらしなく、朝ごはんはクッキー2枚とか、夕ご飯はいつもコンビニ。

自炊をするやる気もなくて、いつも体はだるく、髪もお肌もパサパサで、すごく太っていました。
ある日、ストレスで顔中に蕁麻疹が出てしまいました。ブツブツだらけの自分の顔を鏡で見たときのみじめな気持ちは忘れられません。

こんなママを変えてくれたのが、パパとの出会いです。パパは、車の運転が上手で話題が豊富で、少しぽっちゃりしてるけどとっても優しい。話していると時間があっという間で、デートは最高に楽しかったです。

パパといたら人生面白くなりそうだなぁと思い、お付き合いを始めました。出会った頃からパパは「家庭を持ちたい」と言っていて、プロポーズされた時はパパの夢を叶えてあげられると思いすごく嬉しかったです。

あなたを授かったのは、結婚して2ヶ月が経った頃でした。突然の妊娠に不安はあったけど、早く子育てがしたかったので、パパと一緒にとても喜んだよ。お腹の子はどんな子かな、どんな顔をしているのかな…と、毎日パパと話していました。安産のために、運動や食べ物すべてに気を配りました。あなたのことを考えなかった日はありません。

つわりは毎日辛かったけど、周りはみんなママのことを労ってくれました。パパは「通勤はグリーン車にしたら?」とお金をたくさん出してくれたし、電車に乗れば見知らぬ人が席を譲ってくれました。駅で嘔吐したときは、駅員さんが優しく介抱してくれました。あなたはお腹にいた頃から社会に見守られ、大切にされて、大きくなったんだよ。

いよいよ迎えた出産当日。陣痛はものすごく痛かったけど、あなたは3時間も経たずに産まれてきてくれましたね。お顔を見たときは「やっと会えたね」という気持ちでした。
小さくて儚いのに、産声は力強い。命が輝いている、という言葉はまさにこの瞬間を指しているようで、胸がいっぱいになりました。

出産からもうすぐ3年。
ママの生活はそれまでと別人のように変わりました。
あなたと思い切り走り回れるように、足元はいつもスニーカー。抱っこした時泥んこがついてもいいように、高い洋服は着ません。あなたが転んだらすぐに駆けつけられるように、ズボンばかり履いています。
あなたと朝から元気に思い切り遊べるように、朝ご飯もモリモリ食べます。

毎日疲れた顔で働いていたあの頃のママは、もうどこにもいません。
ヒールを履いて忙しくオフィス街を歩く日々は、もうママには訪れないでしょう。懐かしむことはあれど、寂しくはありません。

なぜなら、あなたにオムツを履かせようと追いかけ回したり、お漏らしを洗濯したり、ご飯を食べたり、そんなひとときがとても愛おしいからです。あなたの存在は、ママの幸せそのものです。

あなたが産まれた2020年は、みんなが自分の幸せを見失いかけた一年でした。
自殺者は増え、子どもの不登校、虐待が過去最多となり、大人も子どもも苦しそうでした。

このような年にあなたが産まれたことに、特別な意味を感じています。
大変な時代に生まれたからこそ、幸せを貪欲に追い求めてほしい。パパとママはずっとあなたの応援団です。長い人生、あなただけの幸せを見つけてね。

 

神奈川県 竹内文香さん
題名:あなたと出会えてママは幸せ
子どもへ伝えたい言葉:「幸せのかたちが多様になった現代で、あなたはどんな幸せを見つけるのかな?あなたの人生が、笑顔いっぱいでありますように。」